「起業への挑戦」 質疑応答 

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本荘:では、この辺で質疑応答に移ろう。(57:45)

会場A:出雲社長はご自身が平凡とおっしゃっていたが、起業に到るまでの心境変化や周囲の方の反応はどういったものだったのだろうか。(58:18)

会場B:ミドリムシの技術的ブレークスルーはどのように起こされたのだろうか。(59:01)

会場C:紺野さんが創業者の方にご自身の思いや志を伝えるうえで、特に鍵となったのはどういった要素だったのだろうか。(59:33)

会場D:ベンチャー企業として上手に仕事を進めていくため、大企業とどのような付き合い方を心掛ける必要があるだろうか。(01:00:03)

会場E:後藤さん以外にも多くの人が2000年前後のパラダイム変化を感じていたと思うが、そこで後藤さんが勝った理由は何だったとお考えだろう。(01:00:28)

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紺野:創業者と同じ思いを持っていたからアイレップを選んだわけで、「それを実現するため、誰を後継者に選ぶんですか?」ということは話したし、それで選んでもらえたということは、その思いが伝わったのだと思う。その辺は比較的すんなり進んだ。あと、大企業についてもお話しすると、たとえば親会社の親会社である博報堂DYホールディングスはトラディショナルな会社だ。そうした会社と一緒に仕事をする際は数字で結果を出すことが1つの絶対条件。そのうえで、彼らを理解する努力も必要だ。僕らがどれほど合理的なことを言っても、彼らには彼らの論理が存在する。その辺を理解する必要があるし、今もそのような考え方で仕事をさせていただいている。(01:01:22)

後藤:2000年にケンコーコムをはじめる前の5年間も、僕はベンチャーをやっていた。だから、インターネットのことも健康業界のことも分かっていたし、コンサルティング経験からビジネスモデルも知っていたつもりだ。では、「その条件を満たす人は日本にどれぐらいいるのかな」と。それで当時は、「まあ、10〜20人ぐらいだろうな」と思った。だから、あとはそれにパッションを乗せたらこの世界でも勝ち残れると考えた。インターネットの世界は1人勝ちにならなければ仕方がないと思うけれど、そのために自分がどれほどのパッションを持てるかが大事だと思っていた。(01:02:24)

出雲:まず家族や周囲の反応について。起業とは誰か他の人に頼まれて、あるいは応援してもらってやるものじゃない。それ以上のことはアルフレッド・アドラーの『嫌われる勇気—自己啓発の源流「アドラー」の教え』(ダイヤモンド社)という本を読んでみて欲しい。ただ、家族だって周囲の方々だって、「ミドリムシでベンチャーをやる」なんて言って、「あ、いいねミドリムシ。頑張って」なんて言う人はいない(会場笑)。でも、それでも私はミドリムシの可能性を信じて、できるところまでやりたい。自分の人生には自分が責任を取る。熱心にアドバイスをくれる人や真剣に相談を聞いてくれる人はいるかもしれないけれど、あなたの人生にはなんの関係もない人だ。(01:03:29)

あと、技術的ブレークスルーについては、コカ・コーラの社長に「どうやってコーラをつくっているんですか?」というのと同じぐらい激しい質問なので(会場笑)、詳細はお答えできない。ただ、そのエッセンスをお話しすると、今までも日本中でミドリムシの研究はなされていた。そのなかで私どもが実現した最大のバリューは、すべての大学を訪問し、ミドリムシ研究に関して何がうまくいかないのか、そして何が構造的問題なのかを洗い出したことだ。それを集合知・共有知にした。これまで、ミドリムシのような難しい研究については個別の大学が個別に実験をして、個別に討ち死にするケースがほとんどだった。私たちはそこで、ミドリムシ研究をしている全大学を訪れた。行かないと分からないから。そして、「なぜうまくいかないのかをすべて出し合いましょう」と。普通はそういうことをしない。しかし、学会やポスターセッションやペーパーのパブリッシュで共有される情報はすべて、うまくいった研究の話だ。うまくいっていないからイノベーションが必要なわけで、欧米はその点をオープンにシェアして細い道をつくる。あとはセレンディピティのような偶然も必要だけれど、少なくとも個別の大学が個別に研究するとほとんど成功しない。それを全体の集合知に変えて、私どもは世界で初めてミドリムシの培養技術を発明した。それから9年が経つけれど、いまだ世界中でそれに成功した人はいないという技術の発明につながった。(01:04:34)

会場F:すでに起業しており、ある程度の実績を挙げた事業プランを銀行に持ちこんでいるが、なかなかお金を貸してくれない。皆さまはそうした資金調達におけるストレスとどのように向き合っていらっしゃるだろうか。(01:07:37)

会場G:ウェブサービス分野で起業したが、立ちあげにあたって力を貸してくれたエンジニアに、そろそろストックオプションのような報酬を与える必要もあるかなと考えている。そうした報酬の設定はどのような観点で行うべきだろうか。(01:08:24)

会場H:「自分のここが好きだ」という点がもしあれば、ぜひお伺いしたい。(01:09:05)

紺野:ファイナンスについては知識を持つしかないと思う。銀行は1つの手段であって、ほかにもいろいろと手段はある。ただ、その辺は恐らく、たとえば本荘さんのような専門の方にご相談いただくのがいいと思う。それと人の処遇に関して言うと、ストックオプションであれば、「将来、この人が価値を生み出す」という人を、なんらかのロジックでつくってほうがいいと思う。で、キャラクターに関して言うと僕はかなりのオタクだ。ゲームでも世界のベスト10に入ってことがあるほどなので、その辺は恐らく今の仕事にも生きていると思う。(01:09:40)

後藤:資金調達に関しては、基本的に前もって動いたほうがいいというのが1つ。あと、正直に話すけれども、どうやって安心してもらうかをも考えたほうが良いのではないか。「相手の金融側がどう考えているか」と考えながら、たとえばその不安を取り除くといった作業をきちんとやっていく必要があると思う。で、処遇に関して言うと、基本的には考えてもどうしようもないものだと思う。正直、ストックオプションだって当たるも八卦当たらぬも八卦だし、結局は「一緒にやっていこうよ」という契りのようなものだと僕は考えている。だから、「一緒の船に乗っている」というチケットをどのように渡すかという考え方が大事だと思う。それと、自分のキャラクターはよく分からないけれども、運がいいというか、比較的恵まれていると思う。良いときに良い人に出会って、僕は本当に救われまくっている。だから周りの人に感謝しているところだ。(01:10:20)

出雲:資金調達のご質問された方は、これまで何件行かれただろう(会場:VC2件と銀行2店)。答えになるか分からないが、ミドリムシの研究費調達では、信用金庫、地方銀行、都市銀行、VC、個人のエンジェル投資家等々に、100回以上断られている。アポイントすら取れなかったところも多い。ベンチャーエンタープライズセンターというところが毎年出している「ベンチャーキャピタル等投資動向調査結果」を見て、片端から連絡して、それでほとんど断られていた。従って、2件で資金調達できたら本を書かれたほうがよろしいと思う(会場笑)。あと、ストックオプションなどの処遇については会社によってカラーが違うので、まずは自社をどのようなカラーにして、どういった文化を醸成したいのかを考えるといいのではないか。で、自分のキャラクターの好きなところは、まあ、私ほどミドリムシを好きな人はいない(会場笑)。ミドリムシと出会えてありがたい。そしてミドリムシのことを好きになって、さらには相思相愛になれた自分というのが、1番気に入っているポイントだ。(01:11:43)

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本荘:では最後に1言ずつ、会場の皆さまへメッセージをお願いしたい。(01:13:42)

紺野:ナイトセッションは「デジタルマーケティング」というテーマで行う予定だ。そういった分野にご興味のある方はぜひいらして欲しい。(01:14:02)

後藤:先ほど申しあげた通り、起業後は出会いやネットワークが次々変わっていくので、それを楽しみながら新しいことにチャレンジして欲しい。それにできるだけ多くの人がチャレンジすれば世の中は楽しくなると思う。(01:14:10)

出雲:起業というのは、私の理解では準備が整ってからするものではない。大切なのは、「やりたい」という思い。後藤さんがおっしゃっていたパッションに突き動かされて、「本当に起業しました」という人と、私はたくさんお会いしたい。「どうしたら起業できるか」「起業するために何をすれば良いか」と考えていらっしゃる予備軍の方々も、まずはやるしかないと思う。やるのが1番勉強になる。起業は誰でもできる。大勢の人がベンチャーを興し、それで日本が元気になれば素晴らしいと思う。(01:14:28)

本荘:私からも1冊、リード・ホフマンの『スタートアップ! シリコンバレー流成功する自己実現の秘訣』(日経BP社)という本をお勧めしておきたい。後藤さんのストーリーにも共通していて、ためになるかもしれないと思った。『こち亀』と併せて(会場笑)ぜひお読みいただければと思う。今日はありがとうございました(会場拍手)。(01:15:19)

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