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帰納法と演繹法をどう使い分ける?

投稿日:2015/06/15更新日:2019/07/26

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私たちはロジックを組み立てる時に、無意識のうちに演繹法と帰納法という2つのアプローチを用いています。これらをきちんと理解しておくことが、ビジネス上、非常に役に立つのです。

まず、帰納法について見てみましょう。これは、Aという事象、Bという事象、Cという事象が起きた場合に、これら3つに共通の法則を考えるというものです。たとえば社内で、AさんとBさんとCさんが出世しているとしましょう。3人はいずれも、海外経験を有します。すると、そこから帰納法的に考えれば、「我が社で出世するためには海外勤務が必要である」、という一つの仮説が成り立ちます。

次に、演繹法について見てみましょう。これは、あるルールに対してある事象を組み合わせた時に何を言えるかを考える、というものです。先ほど取り上げた「我が社で出世するためには海外勤務が必要である」という帰納法的に考えられたルールに対して、「私は海外赴任を経験していない」という事象を組み合わせると、「私は出世しない」との結論に達します。このように演繹法では、あるルールに事象をあてはめることでおのずと結論が導き出されてくるのです。

帰納法を使う際の注意点

帰納法を用いる際に大事なことは、経験やサンプルの幅をある程度持っていないと、考えることすらできないという点です。例えば、営業をほとんど経験したことがない人に営業の肝について尋ねても、サンプルがないために答えられないか、限られた極端なサンプルをもとに答える、ということになってしまいます。

また、帰納法によって導き出された結論は、過度に抽象的ではなく、具体的である必要があります。先ほどの営業の肝の話で言えば、「帰納法的に考えると、営業の肝は気持ちです」などと答えられても、抽象的すぎてよくわかりません。そこには具体的に考える力が必要とされるのです。

演繹法を使う際の注意点

一方、演繹法を用いる際には、知識を広げることが肝要となります。たとえば、ある飲料のマーケティングについて考えている人が、何か新しい商品を思いついたとしましょう。そこでさらに思考するためには、その消費財におけるマーケティングの基本となるルールを、ある程度は知っておく必要があります。そのルールに対して自分たちの商品をあてはめることによって、今後何をしたらよいかが分かってくるのです。土台となる知識やルールをどれほど学んでいるかという点が重要です。

以上を踏まえると、ロジックを作る力を鍛えようとするなら、演繹法の方が、短期的に効果が出やすいものと思います。事象に対して演繹法を適用させるためには、しっかりとした知識を身に付ければよいからです。

新しいチャレンジには帰納法的な考えが必要、そのためには…

一方、むしろ帰納法的な考え方の方が重要になるケースも少なくありません。それはなぜでしょうか。演繹法は過去に生じた事象をもとに結論を導き出すというものです。しかし、ビジネスは刻々と変化します。過去の事象から導き出されたルールが、すべてにおいて適応できるわけではありません。新たなチャレンジに直面するビジネスにおいては、目の前で起きている事象から新しいルールを生み出すという帰納法的考え方が重要視されるのです。

演繹法的な思考に必要な知識をしっかり身につけるのと同時に、目の前の数少ない手がかりから何らかの解釈を導き出していく帰納法的に考える力を鍛える。こういったことを反復しながら素早い意思決定ができるように、日々トレーニングすることが大切です。

※本記事は、FM FUKUOKAの「BBIQモーニングビジネススクール」で放送された内容を、GLOBIS知見録用に再構成したものです。音声ファイルはこちら >>

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