チキン戦争勃発!勝つのはマックかケンタか? 

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マックが本気でチキンをとりにきた

7月8日、渋谷の公園通りにケンタッキーフライドチキンの次世代店舗がオープン。すぐ隣にはマクドナルドの次世代店舗があり、7月2日からマクドナルドではチキンの新メニューの販売が始まっている。「チキン戦争」の象徴的な光景だ。

そもそも、チキンメニューはBSE問題以来の牛肉離れや、世の低価格志向、健康志向に後押しされてここ数年、人気の高まりを見せている。低価格でボリュームが得られて、かつ、肉としてはローカロリーだからだ。ファミリーマートの「ファミチキ」に代表されるように、コンビニ各社は店内調理メニューとしてチキンを強化している。牛丼のなか卯もサイドメニューとして鳥の唐揚げを発売している。他にもオリジン弁当がから揚げ激安の日を設定したり、ほっかほっか亭が唐揚げ弁当の値引きをしたりという動きが見られる。

ケンタッキーフライドチキンの意図は明確だ。同社は今年日本上陸40周年。それを機に「オーブンローストチキン」というノンフライのメニューを開始した。特別な調理器を使うため、まだ渋谷公園通りの「次世代店舗第一号店」のみだが年内に100店を展開するという意気込みを見せている。

一方のマクドナルドは、7月に一気に3商品を投入。パリパリした薄い衣が特徴の「チキンバーガーソルト&レモン」は、従来のフライ系だが、ソースに凝ってさっぱりした味わいに仕上げた自信作となっている。サイドメニューも従来のナゲットに加えて肉感を高めた「ジューシーチキンセレクト」を発売して充実させた。さらに7月16日には、「チキンバーガーオーロラ」の販売も控えており、まさにチキン一色となる。

実は「チキン」をめぐる戦場の中で、マクドナルドは日本の「チキン販売量第1位」なのだ。そのシェア16.3%。しかし、日本マクドナルドの原田泳幸社長は、チキン市場3950億円のうち、マクドナルドは640億円。すでに16.3%のトップシェアを持っているが、まだマクドナルド=チキンという認知がされていない(J-CASTニュース6月20日)と製品発表会で述べている。つまり、今回の新製品で「チキンを食べたい」と思ったらまず、「マクドナルド」を思い出すというTopofmind(第一想起)のポジションを獲得するのが狙いなのだ。

クープマンの目標値で考えればマクドナルドの現在の16%強というシェアは、多数のプレイヤーがひしめき合っていて、いずれも安定的なシェアを占めることができていない状態を示している。そこから頭一つ抜け出した市場ポジションである「市場影響シェア」=26.1%を獲得しようというという意図が伺える。

記者会見では原田社長が「チキン市場3950億円のうち、マクドナルドは640億円」と言っている。そこから10%押し上げるとすれば、メニュー平均単価300円とすれば、チキンメニュー約1億3000万食を販売することになる。そのシナリオの切り札が、「試食キャンペーン」だ。

同社は発売1カ月前の6月4日から、「チキン宣言!おいしさ実感1000万人のお試しキャンペーン」を展開している。各種の新メニューを一口サイズのお試しで提供。7月には実施店舗限定ながら商品を丸々配布するTwitterとUSTREAM連動イベントを展開する。大人気になった限定メニュー・ビッグアメリカもTwitterで大きな盛り上がりを見せたが、さらにそれを上回る話題作りを狙っていることがわかる。

マクドナルドがキャンペーンで使っている動画を見て欲しい。原田社長が「クォーターパウンダーを超えるだろうと予想している」(同)という本気度がひしひしと伝わってくる。

こうして見てくると、果たして迎え撃つケンタッキーは大丈夫なのだろうかと心配になってくる。「ケンタ逃げてー」という感じだが、逃げ切るにはまず、ターゲットの棲み分けが重要だろう。

逃げるケンタ、女性にターゲットを絞る

「オーブンローストチキン」を扱うケンタッキーの次世代店は「主として若い女性をターゲットとしている」と同社はニュースリリースで述べている。

主として、若い女性層をターゲットに、お食事に、カフェタイムに、ちょっとしたブレイクにと、お気軽にご利用いただける店舗として、個食需要の獲得を狙いますとある。さらに、今後の予定も、主要なターゲットとなる若者層、女性層の集まる首都圏を中心に展開し、今期中に3店、3年間で100店の出店を目指しますとしている。

確かに白とシルバーを基調として赤を差し色にしたオシャレな店舗デザインは女性好みを意識したようにも見える。さらに、店舗デザインとあわせたシャープなイメージのユニフォームは、店舗スタッフの意見を取り入れてデザインしたと、細部まで抜かりはない。また、リリースを見ると同店は女性店長を起用しているようだ。

では、マクドナルドは誰をターゲットとしているのだろうか。そのヒントはCMにある。

キャラクターには笑福亭鶴瓶を起用した。CMは3種あるが特に「初恋編」に注目だ。鶴瓶が制服姿の女子高生グループとともに足湯に浸かりながら恋の話をしている。鶴瓶は1951年の59歳。還暦一歩手前だ。その世代から10代までという幅広いターゲット設定をしていると考えられる。

ケンタッキーは若い女性にターゲットを絞ることによって、マクドナルドとの全面対決を避けたのではないか。そもそも、圧倒的な力を持つリーダー企業に対して同じ土俵で戦うことは絶対に避けるべきなのだ。マクドナルドは昨今合理化のために400店規模の店舗整理を実施しているが、それでも3000店の規模を誇る。対するケンタッキーは1200店に満たない規模だ。

この戦いは、マクドナルドのコスト・リーダーシップ戦略、ケンタッキーの差別化戦略が基本となるはずだ。ケンタッキーはメインターゲットである女性層をがっちりつかんで、従来と異なる「揚げない」ヘルシーなチキンメニューでマクドナルドとの差別化を図り、そのポジションを確たるものにすることが重要だろう。

この「チキン戦争」に勝利するためには、攻める側も守る側もチキン(臆病)にならずに、大胆な戦略を展開することが求められるのは間違いない。消費者としては次々と繰り出される打ち手を楽しんで市場の活性化に貢献すればいいと思う。チキンをかじりながら。

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