1億本突破!「い・ろ・は・す」はナゼ売れるのか? 

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「い・ろ・は・す」のロハスっぽくない爆発的売上げ

9月2日。新聞のカラー全面で『あなたと「い・ろ・は・す」が世界を変えはじめました』と題する広告が掲載された。それは同製品の販売1億本突破のお礼であり、「環境にいい」というポジショニングを裏付ける、CO2の削減効果の算出の報告でもあった。

同社のニュースリリースによると、導入後の6月から2ヶ月連続して、コンビニエンスストアにおける小型天然水(500ml)シェアNo.1を獲得し、当初の販売数量目標を上回るペースで推移しているという。

ナゼ、これほどまでに売れるのか。

はじめに外部環境の影響を考えてみよう。CO2の削減に対する世界的な取り組みが進行している。継続性のある環境負荷の低い生活をしようというLOHAS(LifestylesOfHealthAndSustainability)(「い・ろ・は・す」の由来にもなっている)に注目が集まり、一過性のブームではなく、その実践も日々の生活に着々ととけ込みつつある。

ミネラルウォーターの市場を考えてみよう。取水地を国内とする製品以外にも、海外勢が多数存在する。取水地から日本まで輸送するための環境負荷「ウォーターマイレージ」を考えれば、国内勢は圧倒的に環境アピール効果が高い。

国内勢の競合に対しても、「い・ろ・は・す」は、独自の技術でわずか12gという省資源ペットボトルを実現している。同社によれば、従来品より40%軽く、国内最軽量だという。つまり、エコやLOHASを訴求するには、自社の技術を活かして絶対的に有利なポジションを獲得していることがわかる。

しかし、環境に適応したいい商品(Product)であるというだけで売れるほど世の中は甘くはない。コカ・コーラシステムの圧倒的な販売力がバックボーンとなっていることは間違いない。コカ・コーラの力の源泉は、全国に約100万台を展開する自動販売機だ。

街に出れば、そこかしこにあるコカ・コーラの自販機に、数フェイス並んでいる「い・ろ・は・す」が目につくだろう。マーケティングミックスの4つのP(Product・Price・Place・Promotion)の一つである、Place(販路)の強さが売れている理由の一つだろう。

価格的には特に安売りをしているわけではない。しかし、上記のリリースに購入者の声が載っている。「520mlという容量にお得感がある」。つまり、競合より増量して割安感で勝負しているのである。Price(価格)も売れる原動力になっている。

Promotionも広告がよくできている。「飲み終わったらクシャッとつぶせる」という製品特性を表わすため、見事なまでにひねり絞られたボトルの上から、緑の葉っぱが顔を出している表現。エコ気分満点である。「子どもが喜んでボトルをつぶし、資源回収に出してくれる」との声があることもうなずける。

ここまで成功要因を挙げてきたが、それだけが大ヒットの理由だろうか。商品が売れるためには、マーケティングミックスの4つのPの整合性が欠かせない。しかし、それ以前に魅力あるターゲットを取り込むことができていることと、そのターゲットから評価されるポジショニングが獲得できていることが重要なのである。

もう一度、振り返って考えてみよう。

整合性というマーケタ—の職人技

本当に環境負荷軽減、エコを考えるなら、例え国内取水であっても水道水を浄水して飲んだ方が輸送の環境負荷はかからない。省資源やリサイクルしやすいペットボトルは素晴らしいが、マイボトルを用いてペットボトルを消費しなければ、環境負荷は発生しない。

環境負荷だけではない。マイボトルで浄水した水道水を飲んだ方が、「増量でお得」よりも、もっと自分の財布にやさしい。最近急増している「マイボトル派」なら、そんなことをすぐに考えつくだろう。

「い・ろ・は・す」のポジショニングを二軸のマップで描いてみれば、縦軸がお得感、横軸が環境負荷軽減への貢献となるだろう。「増量でお得で、一番省資源でリサイクルに適したボトル」はミネラルウォーター同士の競合環境では一番有利になる。しかし、「マイボトル」とは比べるべくもない。

筆者も「マイボトル派」で、SIGのボトルにブリタで浄水した水道水を入れて持ちあるっている。だが、正直白状してしまうと、面倒でなかなか実施に踏み切るまでには時間がかかった。実際にはそんな人は多いはずだ。

「い・ろ・は・す」の売れる理由。それは、「マイボトルほど面倒なことはしたくない。けれど、環境負荷軽減に関してはやはり気になる」というターゲット層が多いからだ。無理なエコは続かない。何よりLOHASという思想は、「ムリせず継続できること」を重視するものでもあるのだ。その意味で、ターゲット層のニーズをズバリとらえたポジショニングを実現している。

では、急増中の「マイボトル派」がさらに増えたら、「い・ろ・は・す」にとって大きな脅威となるか、ターゲットの成長性はなくなってしまうのかといえば、その点も心配はないだろう。マイボトルを何本も持ち歩けないし、時には忘れたり、荷物が多くて持てないこともある。そんな時には「マイボトル派」も「い・ろ・は・す」を選択することになる。

マクロ環境・競争環境・ターゲティングとポジショニング・4Pがきれいに整合したことが、「い・ろ・は・す」の快進撃の理由だろう。「それゆけ、次は2億本」というところか。

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