高齢化社会に挑む「シンプルなお葬式」のみんれび、「DFree」のトリプル・ダブリュー・ジャパン 

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「2025年問題」という言葉をご存じだろうか。25年には団塊世代が75歳以上の後期高齢者となり、実に人口の30%が65歳以上になるという予測だ。同時に約38万人もの介護職員が不足するともいわれている。インターネットや技術を活用して、これらの課題に取り組んでいるスタートアップを紹介したい。

みんれびの取り組み

みんれび(東京・品川)は09年に芦沢雅治社長(31)が設立し、13年から独自ブランド「シンプルなお葬式」「お坊さん便」の提供を開始。インターネットを通じて葬儀の申し込みや僧侶の紹介を可能にしている。

シンプルな商品設計を基本とし、適正価格・定額かつ透明性の高い商品ラインアップで顧客ニーズに合った多様で新しい価値の葬式を提供する。最も低価格の商品は14万8000円。提携する全国500以上の葬儀社の非稼働時間を活用することで葬儀費用をぎりぎりまで抑えているという。

「祖母の葬儀の際、せっかく最後のお別れをし思い出をしのぶ時間であるのに、基本料金をはじめ、装飾などの追加料金・戒名や食事など、あまりに不透明な部分が多いと感じた」と芦沢氏。「近年、家族や親しい人だけで葬儀を挙げたい、費用は安くても良い葬儀を行いたい、極力費用を抑えたいという需要が高まっている」と指摘する。

「問い合わせの8割が生前のタイミングという変化も注目すべき点だ。将来は葬儀前からの価値提供を最大化したり、遺族に寄り添って悲しみや喪失感をサポートする『グリーフケア』や葬儀後の数十にわたる手続きの対応、供養・年期法要・相続などを一括して煩わしさを一切なくしたサービスを提供したりしたい」と芦沢氏は語る。

トリプル・ダブリュー・ジャパンの例

トリプル・ダブリュー・ジャパン(東京・港)は中西敦士社長(33)が15年に設立し、超音波センサーを使って排せつを予測するウエアラブル端末「DFree(ディーフリー)」を提供している。主に介護施設で導入が進んでおり、利用者は適切なタイミングでトイレで排せつできたりオムツを交換できたりするため、利用者の生活の質(QOL)を向上させ、介護スタッフのケア時間を30%程度低減することにも成功している。

国内最大級の介護事業者が全施設への導入に向けて動き、海外30カ国50法人以上から問い合わせがあるという。

中西氏は「自分自身が13年に路上で急な便意を催し、公共の場で便を漏らしたことがきっかけ」と明かす。「このような悲惨な経験をするのは自分だけでたくさんだと思い調べてみると、介護現場における業務負荷は極めて大きな問題となっていたし、実際親類も人工肛門に苦しんでいた」

DFreeは「排せつの漏れを極力なくし、利用者のQOL向上、介護コストや介護負担の削減を目指している」。将来は「排せつタイミングに加え食欲や老化、病気、寿命などのあらゆる生体変化が予測できるようにしたい。介護業界だけでなく、医療機関や行政、資本市場などからの理解・評価を得て、社会を前に進めたい」と語る。

課題先進国といわれる日本にとって、高齢社会に対応する課題解決は数少ない成長市場であり、世界に先駆けたサービスを発明する機会にもなり得る。人口が減少する中で相対的に増加し、かつ労力の掛かる高齢者に向き合うサービスほど、労働集約性に依存しない技術の活用と同時に、そこに人肌と同じような「サービスの温度」を実装できるかが重要となろう。
 

(2017年4月13日付日経産業新聞の記事「VB経営AtoZ」を再掲載したものです)

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