米国ではびこる“妬み”、その原因はマネー格差 

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2008年に大統領選挙を迎える米国。とにかくジョージ・ブッシュ大統領の不人気ぶりははなはだしい。ワシントンポストとABCニュースが7月10〜13日に行った世論調査によると、支持率は28%、不支持率は69%になった。2007年初頭ごろから支持率は着実に低下している。

とにかく経済はガタガタだ。米国の住宅価格は大恐慌のころよりも激しく値下がりしているのだという。1929年の大恐慌も住宅融資が焦げ付いたのがきっかけだった(と、大学の時に習った)。

原油価格はやや値下がりしたとはいえ、年初にニューヨーク市場で付けた100ドルをはるかに上回る。1973年の石油ショックは、産油国がイスラエルを支持する国に対して禁輸措置を取ったことと、価格を4倍に引き上げた結果だが、今回の石油危機の背景にあるのはもっぱら石油需要が急増していることだ。政治的な問題ではなく、経済的な問題であるということは、それだけ構造的な問題であることを意味する。

米国の一極支配が急速に変化している

英エコノミスト誌の最新号に面白い指摘があった。米国人の不満の原因は、経済が下降局面に入っていることだけではない、というのである。米国経済が強かった2002年から2006年の間、その恩恵にあずかれなかったと感じている米国人が多くいるという。

この期間、99%の米国人の所得は、実質で年率1%しか増えなかった。しかしトップ1%の人々は年率11%も所得が増えたという。ブッシュ大統領が政権の座について以来、経済が成長した分の4分の3はトップ1%の懐に入った計算になる。そのため、かつては欧州の悪癖とみなされていた経済的な“ねたみ”がいまや米国にもはびこっている。米民主党の大統領候補となるバラク・オバマ上院議員の演説では、豊かな人々はもはや起業家のロールモデルではなく、セオドア・ルーズベルトが100年前に鉄道王を非難した言葉「巨富の悪人たち」として描かれる。

しかも世界は米国一極支配が急速に変化している。旧ソ連が崩壊して以来、世界は米国の一極支配が続いた。しかし世界の基軸通貨として、ドルだけでなくユーロが確固とした地位を築いてきたし、やがてはそれに中国の元が加わるというのが通説だ。資源の値上がりで資源大国のロシアや湾岸アラブ諸国、あるいはアジアの新興国などは米国をあざ笑っている。そしてこういう状態は、そう簡単には変わらない。

米国自身が一極支配の終焉をどれほど意識しているかは、ニューズウィーク海外版編集長のファリード・ザカリアの近著『ポスト・米国の世界』を読めば分かるかもしれない。実際、オバマ上院議員はこの本を読んでいるという。

自ら変革する力を持つ米国

米国が抱えるもう1つの問題は、世界のリーダーとしてモラルに欠陥があることだ。例えばキューバのグアンタナモ基地に収容されている「敵性戦闘員」の問題がある。イラクのアズグレイブ収容所での拷問問題などと合わせて、米国のテロとの戦いに対し、正当性があるのか、という疑問符が付いた。

また温暖化ガス問題などでのあまりにも狭量な対応も、米国のリーダーシップの足下を浸食した、といえるだろう。次期政権ではこのあたりの方針も大転換される可能性が高い。

ただ米国は、これまでにも何度か落ち込んだことがある。その度に、自らを変革することで乗り切り、そしてより強い米国になってきた。実際、ほとんど無名だったオバマが民主党の大統領候補になることに米国の強さがあるのかもしれない。白人の10%は反オバマだとされるが、それでも変革をもたらす大統領を選ぶというしたたかさを米国人は持っている。

米国がどのように復活するのか、が大いに注目されるところだが、太平洋のこちら側である日本は、果たしてどうなるのか、福田首相のリーダーシップで大丈夫なのか、そちらのほうがもっと気になる。

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