空間共有はサプライチェーン素人革命だ!~スペースマーケットとアキッパの挑戦 

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不動産や施設などの遊休資産や、労働力などの非稼働資源を、インターネットを通じて仲介し、必要なユーザーが当該資産・資源を所有せずに利活用できるシェアリングエコノミー(共有経済)が脚光を浴びている。米国ではウーバーテクノロジーズやエアービーアンドビーなどが既存の業界との軋轢(あつれき)を孕(はら)みながらも破壊的創造をもたらし、ユーザーの利便性を高めている。日本にもシェアリングエコノミーは根付くのだろうか。

スペースマーケットとアキッパの例

スペースマーケット(東京・新宿)は、インターネットを通じてユニークな空きスペースの貸し借りを仲介するサービスを展開している。2015年12月現在で、4500の取り扱いスペースと月間2000件以上の申込・問い合わせ件数を誇る。重松大輔代表取締役CEO(40)は、大手通信会社を経てベンチャー企業の経営に参画、マザーズ上場まで導いた後に、14年1月に同社を創業した。16年春からは、エアービーアンドビーと同様の民泊事業に参入することを表明した。

重松氏は語る。「地方には魅力ある文化財の管理費用がかさみ、運営が困難になっている場所も多い。海外では美術館でファッションショー、公共施設でパーティーが一般的に行われており、このサービスは日本でも可能性があると確信した。人々が、何か新しいことを始めようとする時には、必ず『場所』が必要となる。面倒な場所探しをスムーズかつタイムリーに提供することで、チャレンジする人の総量を増やしたい」

駐車場のシェアリングサービスを提供するアキッパ(大阪市)は、遊休施設や時間貸駐車場をインターネットで仲介し、利用者が安価でかつ事前の予約・決済を可能にするサービスを提供している。約4500カ所にのぼる拠点数は、コインパーキング業界では第3位にまで成長している。金谷元気代表取締役社長(31)は、プロサッカー選手を志した後、09年に同社の前身となる営業会社を設立し、14年4月アキッパ事業を立ち上げた。

成長の共通点

「とにかく世の中の不便を解決し、『なくてはならぬ』サービスを作りたかった。実際にアキッパは当時のアルバイトを含む全社員が生活上の200の不便を書き出した結果、誕生したサービス。今後の成功の鍵は、『先入観の打破』にあると思っている。アキッパが『駐車場は予約・決済するもの』というマインドシェアを獲得していかなければならない」と金谷氏は語る。

シェアリングエコノミー分野で成長しているサービスにはいくつかの共通点が見える。第1に当該サービスが明確な実需の上に成り立ったサービスであるということ。第2にインターネットやスマートフォンというデバイスが事前の予約や決済を可能にし、ユーザーの利便性を高めるだけでなく業界のコスト構造をも変革していること。第3に一般消費者が供給者として参加することは、供給量の最大化・最適化を容易にする一方で、従来の供給者を規定していた法規制に抵触することがあることだ。

一般消費者の供給者としてのサプライチェーンへの参加は、これまでの供給者との相違から「素人革命」とも呼ばれる。素人革命によって、供給者にも消費者にもなり得るユーザーが相乗的に増加し、揺るぎない信頼獲得ができた時、法規制も解消され、本格的にシェアリングエコノミーが日本に根付くのであろう。
 

(2016年2月4日付日経産業新聞の記事「VB経営AtoZ」を再掲載したものです)

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