ホープとアソビューに学ぶ地方創生、「地元資産の活用」と「人材育成」がカギ 

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地方創生は現政権においても中心的な政策の一つに挙げられるが、その実態は実感しにくい。今後、地方から高齢化・人口減少が進むことが予想されるなか、効果的な地方創生にはどのような切り口があり、それを実現するための鍵となる要素は何か探ってみたい。

「ホープ」と「アソビュー」の例

福岡市に本拠地を置くホープは「自治体の財源確保」を合言葉に、広告代理事業を中心とした自治体向け特化型のサービスを提供する。200以上の自治体にサービスを提供した実績がある。広告掲載面を作り出すことから自治体と協働し、ホームページや広報誌から母子手帳、給食献立表に至るまで公共性と視認性の高い顧客接点を広告枠として企業に提供する。

時津孝康氏(34)は2005年に同社を創業した。地方発で資金も経験も技術も無い自分が起業するならばと、ニッチで競争が激しくないながらも変化する市場を選んだと言う。

「地方の抱えている本質的問題は財源が少ないこと。人口増による税収の増加が見込めない今、新たに『稼ぐ』発想が大事。スリム化も大事だが限界がある。『稼ぐ』ことが最も不得意な公務員によって構成されている自治体を積極的にサポートしたい」と語る。

2011年に山野智久氏(32)によって設立されたアソビュー(東京・渋谷)は、全国のレジャー施設の情報・予約サービスだ。契約施設数は、全国各地2700カ所にものぼる。山野氏は、学生時代に地域密着型のフリーペーパー事業に従事し、地域には情報を知らせることさえできれば、魅力的なコンテンツがたくさんあることを目の当たりにした。大学卒業後はいったん大手事業会社に就職したものの、起業を決意した。

「『asoview!』では地の利を生かした遊びや、伝承の技術を生かした魅力的な体験を、余暇の時間の使い方に課題を感じている消費者に届けている。地方の持つ資産を活用して余暇の時間の使い方の選択肢を最大化し、都市圏と地方の双方向なライフスタイルを実現させたい。結果として地域にお金が落ち雇用が生まれ、持続可能な経済活動が成り立ち、『幸せに生きていく』世界を実現したい」と語る。

地方創生を実現させる鍵は?

地方創生に関する2人の見解も興味深い。

時津氏はベンチャー企業主導の地域創生を唱える。「地方創生成功の鍵は、ハード(道路、橋)ではなくソフト(地域資源)に投資できるか。一時代前のバラマキ経済的な過剰な行政の関与は不要で、むしろ推進役は新たな産業創出を志向するベンチャー企業が重要な役割を果たすべきだ。何よりもまず、そういう風土や空気感の醸成が必要。その上で一企業だけでなく地域が一体となって眠れる地域資源を顕在化させ、発信していく取り組みが大切」という。

山野氏は、人材不足に警鐘を鳴らす。「地方創生にはとにもかくにも実行力が必要だ。情報が簡単に手に入る時代になってアイデアは沢山ある。しかしながら地方には、やり切れる人や自信を持った人が圧倒的に足りない。やり切るハードルが下がる仕組みを作り、地域に少しずつ成功体験を増やし、徐々にやり切れる人が育っていく土壌を作ることが大事」

2つの事例で見てきたように、地方に関する事業機会や地方創生は、公共的サービスの民間との協業や、地場独自の資産を再認識することから始まる。その上で、徹底的に実行できる人材を発掘・育成することが非常に重要な鍵である。
 

(2015年8月20日付日経産業新聞の記事「VB経営AtoZ」を再掲載したものです)

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