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商業空間の新創造を目指すための「オムニチャネル戦略3原則」、林直孝パルコ執行役に聞く

投稿日:2017/01/13更新日:2019/04/09

パルコは2012年、顧客との新たなコミュニケーションの方向性を探るオムニチャネル戦略プロジェクトを立ち上げ、「ショップブログ」「カエルパルコ」「POCKET PARCO(ポケットパルコ)」などのICTプラットフォームとリアル店舗の融合を進めている真っ最中にある。2019年にオープンする新生渋谷PARCOも見据えてだ。パルコのWEB戦略を統括する林直孝 執行役にデジタル・トランスフォーメーションのカギを聞いた。(聞き手は、水野博泰=GLOBIS知見録「読む」編集長)

原則① 現場で話そう

林直孝パルコ執行役

知見録: マルチチャネルを発展させ、リアルとネットを有機的に融合させるというオムニチャネルの定義は分かる。しかし、そのためには技術の人、マーケティングの人、店舗で売る人など、様々な人が協業する新しい文化を作る必要があり、簡単なことではないと思う。パルコのオムニチャネル戦略の旗振り役としての原理原則は何か。いくつかあると思うが、あえて3つに絞るとどうか?

林: 第1に「現場で話そう」ということ。技術屋だとかマーケ屋だとかで区別せず、一緒に現場に出て、お客様と接する視点で考えることが最も大切だ。

パルコにおけるオムニチャネルの考え方は、「商品」ではなく「接客」を中心に置いている。すなわち、PARCOという商売・接客のプラットフォームに加えて、ウェブ上にも商売・接客のプラットフォームを築き、それを店舗とシームレスにつないでいくという発想。「24時間PARCO」という戦略だ。だから、エンジニアを現場に連れていき、テナントのショップスタッフと一緒になって、店舗案内ロボットの導入について議論したりする。現場の課題や活用事例を日々発見し、エンジニアと共有することでパルコ独自のICT活用を創るという発想だ。

原則② 業種を跨ごう

知見録: そういう「場」を作る役割がプロデューサーには求められるわけだが、パルコのオムニチャネル戦略プロデューサーとして林さんが自分自身に課していることは何か?

林: 業種を跨ごう」ということ。これは第2の原理原則でもある。私は、元々文系人間で技術の詳細までは分かっていないが、最低限の知識や理屈はアップデートしようと努力している。それでも、「こんな時はどうしたらいいのか?」という素朴な疑問が浮かんでくることもある。そんな時、ユーザー会や勉強会を積極的に活用するようにしている。しかも「異業種」であることが大切。同じ業種で固まってしまうと、抱えている課題が似ているので話が早いが、新しいアイデアがなかなか出てこない。業種を跨ぐと「もう、そこまでできているのか!」とか「そんなやり方があったのか!」とか、とても発見が多い。

私ぐらいの技術知識レベルではイノベーションを起こせるようなものではないので、とにかく社外にネットワークを広げてきた。ICT系の講演とか展示会に手当たり次第に行って、名刺交換して、アポイントを取って、改めて会って…。そんなことをずっと続けている。黙って座っていたら、新しい技術やアイデアを知ることもないし、助けてもらうこともできない。文系プロデューサーとして、ここは意識的に努力している。

原則③ 「1+1=3」のポジティブ思考で挑戦

仙台PARCO2のオープン時には、「ロボット接客」に挑戦

知見録: 今後、フォーカスしていくことは?

林: 店頭にテクノロジーがどんどん入っていくことで、様々なデータが取れるようになってくる。それを、テナントさんに戻して有効に活用してもらう仕組みを作っていく。パルコが集めるデータだけでは足りないので、テナントさんが持っているデータと組み合わせて相乗効果を出していきたい。

もう1つ挙げるとすればロボットの活用。人が「接客」に専念するためにロボットが補完することはできないかという視点で入っていく。「売り場にロボットを置く」という発想で入ると「事故が起きたらどうするんだ?」というようなネガティブな反応を招いて進まない。引き続き、さまざまなトライアルを積極的に行って将来的には当たり前のサービスにしていきたい。

そう考えると、「1+1を3にしてやろう」というぐらいのポジティブ思考の挑戦が第3の原則になるかもしれない。自分たちだけではやりきれないので、3年、5年先のことを考えている社外の人たちとたくさん会って、一緒に作っていくことが大切だと思う。

知見録: ありがとうございました。

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