『ポジティブなひとだけがうまくいく 3:1の法則』―生真面目なあなたにこそ読んでもらいたい  

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「何かを達成しなければならない」「一生懸命働けば報われる」「楽しみや遊びは罪深いものとみなし、崇高な勤労によってのみ人は値打ちを証明できる」「楽しいと感じることはみな、つまらない無意味な時間つぶし」……。こうした考えに共感される方に、ぜひ読んでいただきたい本である。

本書の目的は、「心理学によってポジティビティに関する認識を深め、人生という物語において、ポジティビティが決定的な役割を果たす」という理解を促す点にある。著者によると、ポジティビティを持つことで視野が広がり、社会とのつながりが深まり、逆境から立ち直る力や創造性が高まり、自分の成長を実感できると言う。

こうしたポジティビティの果たす役割を伝えるために、本書では様々な実験に基づいて実務に活かすための方法を紹介している。例えば、「業績の上がらないチームをいかに成功に導くか」という実験。60のチームを観察し、業績の良いチームと悪いチームの差がどこに現れるのかを分析すると、前者はポジティビティとネガティビティの比率がおよそ6:1で、後者は1:1にも届かなかった。業績の悪いチームでは、「活気と柔軟性と質問能力を失う」「人を批判するばかり」「各自が自分の立場を守ろうとして自分以外のすべてを批判する」といった共通項があったと言う。こうした淀んだ会議、思い当たる方も多いのではないか。

私自身も、ビジネスで手痛い失敗をしたことがある。真面目にやりすぎて、仲間が離れていったのだ。その時は、「このままだとやばい。何がなんでもがんばり抜かなければ。自分が一生懸命働いているからきっとついてきてくれるはず。ついてこないわけがない」というネガティビティに基づいて人を動かそうとした。しかし、仲間は離れていった。私と共にいることが息苦しかったし、いつも責められている感覚を受けたのだと思う。

ところで、タイトルにある「3:1」だが、個人、夫婦、ビジネスチームなど何であれ、非常にうまくいっている場合はポジティビティ比が3:1を超えているそうだ。ネガティブであると、ビジネスのみならず人生全体が沈んでいく。逆に、ポジティビティの比率を高めれば、人生全体を良くすることができるのだ。

とはいえ、性格は変えられないのではないか、という不安をお持ちの方は安心してほしい。本書には、ポジティビティを高める方法も書かれている。実際、私自身もプロフェッショナル・コーチとして、ポジティビティを高めてきたし、私が支援しているベンチャー企業の社長も、ポジティビティを高めることで創造力や周囲とつながる力が高まり、チーム全体のパフォーマンスが良くなってきている姿を何度も目にしてきた。

ビジネスを含め、人生全体を素晴らしいものにするための一冊だ。ぜひ、多くの人に読んでいただきたい。
 

『ポジティブなひとだけがうまくいく 3:1の法則』
バーバラ・フレドリクソン (著)、植木 理恵 (監修)
日本実業出版社
1600円(税込1728円)

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