提案がいつも空回りする人が陥りがちな3つの思考のクセ 

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イラスト:荒木博行

【とある営業担当者の1週間】

12/8(木) 落ち込んでいる営業成績を改善するために何をすべきか。そのプランが思いついてしまった!やっぱり業績管理の指標を変えるべきだと思う。急いで資料にまとめよう。明日上司に話すのが楽しみだ。

12/9(金) 上司に提案をしたが、まったく受け入れようとしてくれなかった。話し方が悪かったんだろうか。「あなたはいつも思いつきでものを話す。もう少し考えた方がいい」と言われてしまった。考えろ、というのは口酸っぱく言われているけど、考えていなければ企画なんて浮かんでくるはずがない。そもそも上司は新しいことをやりたくないだけなんじゃないか。

12/11(月) 帰りがけに本部長から3月に導入予定の新営業システムの進捗状況を聞かれた。本部長はシステム畑出身ということもあり、新たな営業システムには関心が高いらしい。しかし正直、このタイミングでのシステム導入は混乱を招くだけで、百害あって一利なしだ。「本部長、システムの件ですが、実は変更のリスクについてご存知でしょうか?」・・・という話を返したものの、本部長からは私の話を途中で遮り、「それで、システム導入は順調に進んでいるのかね?」と言われた。 

12/12(火) 採用に苦戦している人事部より、若手の意見を聞かせてほしいということで、来年度の採用方針ミーティング呼ばれた。私からは「最近の若者はやわらかいイメージを重視する傾向にある。それと、もう少しビジョン重視の採用ホームページ作りを目指したらいいのでは?」と言った。いつか言ってやろうと思っていたことだったが、予想以上にリアクションがなくて残念だった。 

そういえば、ここのところ、ずっと空回り感が続いているような気がする。頑張っているつもりなのだが、何が悪いのだろうか・・・。 

 

さて、ここまでの痛々しい場面が続くこともそうないとは思いますが、「ちゃんと考えているのに空回り」という状態は身に覚えがある方もいるのではないでしょうか。この手の空回りの背景は、大抵「思考のクセ」が大きく影響を与えています。 まずはこの「思考のクセ」に気づき、直していくことが重要です。では、今回の事例に見受けられたクセとは何でしょう。そしてどう直せばよいのでしょうか。その診断を簡単にご紹介しましょう。 

クセその1: Big Word症候群 

ここでいうBig Wordとは、抽象度の高い言葉、人によって解釈の分かれる言葉のことを指します。 この症候群の方は抽象的な言葉ばかりを振り回し、それらしいことを言うことに長けています。しかし、多くの場合、「それらしい」だけで中身が伴わないことが特徴です。 

ではどうしたら良いか?その処方箋は、「たとえば…」ということを口グセにして、具体的な話を語ってみることです。 今回の事例で言えば、採用ミーティングの場面における「やわらかいイメージ」「ビジョン重視のホームページ」などは抽象的すぎます。もちろんこの手のBig Wordを使っていけないわけではありません。語るのであれば、具体的な言葉とセットで使うべきでしょう。 

クセその2: 思考ロックオン症候群 

「思考ロックオン」とは、「あること」に考えがフォーカスされてしまったために、「本来考えるべき問い」からずれてしまっていることに気づかない状況のことを指します。 

今回の本部長とのシステムの会話はやや極端な事例ですが、実際の仕事の現場においても、「問われていること」と「伝えていること」、「考えていること」にずれが出ることは頻発しています。その原因は、「問われていること」の確認をおろそかにしていることにあります。人間は考えたいことを考える、伝えたいことを話してしまう傾向にあります。だからこそ、「問われていること」に目を向けて、そこからブラさない、という意識を持つことが重要なのです。 

クセその3: 視野狭窄症候群 

「視野狭窄症候群」は、考えている論点に偏りが出ていることに気づかないまま突っ走ってしまうことです。 本人はいたって真剣に考えているつもり、でも指摘されない限り大きな論点の抜け漏れに気付かない、という経験が多い人は要注意です。 

今回の件でも、営業成績改善プランを思いついたこと自体は良いことです。しかし、そのまま突っ走ると、大抵は「視野狭窄状態」になります。大事なことは、プランを思いついたタイミングで立場を180度変えてみる。つまり、「業績管理指標の変更を聞いた際、上司が突っ込みたくなる点はどこなのだろうか」ということを考えることです。 

たとえば、一例としては、「1. そもそも営業成績が落ちている原因は何か」「2. その原因を解消するためのオプションは他に何を考えたか」「3. そのオプションを選ぶための判断軸は何か」といったことが挙げられるでしょう。はやる気持ちを抑えて、こういった「押さえるべき論点」を相手の立場から考えてつぶしていくこと。この基本動作が身についていないと、いつまでたっても「視野狭窄」からは抜け出せません。 

さて、3つほど典型的な「思考のクセ」をご紹介しました。まだまだクセの種類はありますが、この中に思い当たるものはあったでしょうか? 

思考のクセがやっかいなのは、クセの自覚がないこと、そして気づいても直すのに時間がかかることです。もし、仕事上で空回り感を少しでも感じていたら、一旦立ち止まって「思考のクセ」にどっぷりはまっていないか、思いを巡らせてみましょう。 

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