経営と囲碁を語る
感性を豊かにする囲碁の世界。ルールは至ってシンプル。なのにこんなにも深い。経済界で多くのリーダーを魅了する囲碁の秘密とは? 囲碁がビジネスに役立つのか? 囲碁の魅力と経営の本質に迫る。花まる学習会の高濱氏が、教育と囲碁について語る(肩書きは2016年11月11日登壇当時のもの)
<動画冒頭をテキストでご紹介>
堀: ようこそグロービス東京校にお越しいただきました。今日は経営と囲碁を語る会ということでお話しますが、簡単にアンケートを取りたいと思います。この中で初心者の方は何人くらいいらっしゃいますか。(会場挙手)約半数くらいですね。では、級位者の方は何人くらいいらっしゃいますか・・・有段者の方はいらっしゃいますか・・・ですよね、難しいんですよね。こういうバラバラの、初心者・級位者・高段者の方がいる中でお話をするのは難しいのですが、僕がなぜ囲碁を始めたかということと、経営と囲碁の関係性、それからテクノロジーに関することも時間があったらお話したいと思います。
僕は40歳まで一切囲碁に触ったことがなかったんです。僕の親父は囲碁が強くて高段者で、祖父も高段者で、親父も祖父も強いから、僕は反抗する方なので将棋をやっていて、高校時代は将棋部だったんです。したがって囲碁には一切触れずにきたわけですが、40歳前後の頃にすごく興味を持ったのが織田信長だったんです。
織田信長がすごく好きで、すべての書物を読んで、信長はどういう人なのかと考えているうちに、2つの疑問が湧きあがってきました。一つ目は彼がお茶をやったこと。二つ目は彼が囲碁を打ったこと。なぜ疑問を持ったかというと、彼は「天下布武」と言って武力を通して天下を治めようと考えたのですが、同時に「人間五十年」ということをよく言っていたのです。人生五十年の中で天下布武を行うと考えると、ものすごくせっかちで、彼が悠長に囲碁を打ったり、お茶をやったりなんて考えられなかったのです。
そこで、まずはお茶をやってみました。やってみた時に仮説が生まれ「こういう理由で信長はお茶をやったに違いない」と分かったのですが、現代の世の中にはそういった環境はないので、お茶をやる必要はないと思いやめたわけです。
もう一つ、囲碁を打ってみました。自分がどういう感じかということを考えて、こういうことかと分かったのですが、分かると同時にこれは面白いから僕自身もやってみようと囲碁にはまったわけです。分かったと言いながら、分かるまでがすごく大変だったんです。最初に囲碁を始めたのが40歳になった時で、始めた時にある方が「私は1年半で初段になった」と自慢されるのを聞いたんですね。(この続きは動画でご覧ください)