チームのマネジメントにアロハの精神を ―『アロハ・マネジメント』  

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職場でいろいろな人の悩み相談に乗ることがある。いつも思うのがビジネスの悩みの多くを占めているのは、人間関係の悩みだということだ。それらを解決したいと思った時、コーチングや、流行りのアドラー心理学を身につけようとする人もいるだろう。しかし、この本は、アロハに代表されるハワイアン・スピリットをビジネスとコミュニケーションに活かすというユニークなアプローチで解決する方法を提示している。

著者のローザ・セイはハワイ生まれのハワイ育ちで、リッツカールトンほかホテル業界でキャリアを積み、ビジネスの成功と、ハワイアン・スピリットを見事に融合させている女性である。部下を変え、組織を変え、個人の幸せとキャリアを両立させる秘訣を18のハワイ語に紐付け、自身のマネジメント経験を基にした具体的な事例で解説している。18のハワイ語の中で、私が非常に共感した言葉をいくつか紹介しよう。

最初に取り上げられているのが「アロハ」だ。アロハは「こんにちは」という気軽な挨拶の意味だと思う人も多いだろう。しかし、本来アロハは「無条件の愛と受容という価値観」を意味している。アロハの精神を生かせば、自尊心を傷つけずに部下のふるまいを正すことができると説いている。

ありがちなのが、部下に直して欲しい問題行動を指摘する際に、「なぜできない?だからお前はダメなんだ」と行動そのものへの指摘に留まらず、相手の人格まで否定してしまうことだ。本書では、問題行動を指摘して話あう前に、アロハの精神で部下を採用した時の期待や、普段の仕事で活躍した場面などを思い出す事を勧めている。叱られるに違いないと怯え、不安に思っている相手に対し、「私はあなたが仕事をもっと上手くこなせることを知っている」と伝え、「今後は常に良かった時のような行動を取って欲しい」と伝えることで、相手にアロハを与えている。結果、セイの部下は期待に応え、職場のロールモデルにまでなったという事例を紹介している。

次に紹介したいのは「マハロ」だ。人生を豊かにするあらゆるものに感謝して生きるという価値観である。ビジネスにおいては、周囲の全ての人にできるだけ多く「ありがとう」と伝えることの大切さを紹介している。本の中では、マハロをチームで与えあう練習をしたエピソードが載っている。私もなるべく感謝の気持ちは具体的に言葉にして伝えるように心がけている。頼まれる前に気を利かせて対応してくれた人や、忘れていた時には優しくリマインドしてくれた事に対しても言葉にして感謝を伝える。自然と出来るのが望ましいが、本書のエピソードのように、毎週のミーティングで必ず誰かチームメンバーに対して感謝を伝える練習をするというのも、チームのいい雰囲気を作る一つの方法である。

最後に紹介する言葉は「ポノ」だ。ポノはすべてが良好で正しい時に感じる満足感を表す。ポノである人は、楽天的で未来に大きな希望を抱き、人生に自発的かつ積極的に関わって生きており、そのような生き方に満足している。チームのリーダーがポノであれば、周囲のメンバーにも、明るく楽しいエネルギーを分け与えるであろう。

上記で紹介した価値観以外にもまだまだ紹介されているので、続きは是非本を手にとって読んでみて欲しい。しかし、この本はマネジメントのHOW TO本のように真面目に読んではいけない。忘れていた大切なことを思い出すきっかけや、悩んでいることをまったく違う角度から見つめるためのヒントとして、リラックスして読むことをお勧めする。

そして、著者のセイは女性であり、子育てをしながら自然体でキャリアを積んでいる人でもある。彼女の考え方や人生の向き合い方は、キャリアに悩む女性が読んでも参考になるであろう。

さあ、肩の力を抜いて、読書も、ビジネスも、ハワイアン・スタイルでいきましょう。読んでくれた全ての方に愛と感謝を!アロハ!

 

『アロハ・マネジメント』
ローザ・セイ  (著)、 本田 直之  (監訳)、庭田 よう子 (翻訳)
講談社 
1400円(税込1512円)

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