グローバル化は加速できる―『なぜ、日本企業は「グローバル化」でつまずくのか』 

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日本国内で「グローバル化」という言葉が使われ始めたのは、1890年代のことだという。100年以上も前から叫ばれているにも関わらず、遅々として企業のグローバル化が進んでいない、むしろ多くの企業が足踏みをしている理由は何か?私が常々疑問に思ってきたことに答えてくれそうな気がして、この本を手に取った。

本書は、日本企業の歴史的変遷、産業構造の特徴、その中で培われてきた日本企業の国際競争力の栄枯盛衰、そして日本人の思考特性について、IMD学長のドミニク・テュルパン氏と、IMD日本支社長の高津尚志氏が語ったものだ。海外から客観的に見た今の日本の在り様を語る中で、足踏みする原因やその本質を考察するだけでなく、多くの日本企業や日本人がグローバル化に向けて前に踏み出していくためにどうすべきかを示している。

私自身、これまで国内と海外でグローバル化を推進する組織の支援に携わってきたが、共感することが多く盛り込まれていた。特に、日本企業がグローバル化を加速していく上で必要不可欠な2つのポイントを紹介する。

1つ目は、「外から自国を見る目を本気で持て!」ということ。

“自国中心主義”という言葉を聞いて、あまりよい気持ちはしないが、我々は無意識に物事を自国・自分本位で捉えてしまう。そうした認知バイアスの存在を意識し、外から自国を客観視することを強く謳っている。グローバル化というカタカナ用語で、思考を止めるのではなく、地球規模で物事を捉え、自国が世界の1つであることをまず自覚すること。そして日本という国が世界からどう見られているのか、本気で考えることが大切なのだと筆者は言う。

私が日々携わる多くの企業でも、グローバル化と謳いながらそれとは逆行し、日本本社中心のやり方、ルールで進めてしまう企業が少なくない。日本という国が地図の真ん中にあるのではなく、地球の中の1つにすぎないと認識することが、始まりである。

2つ目は、日本人が古来大事にしてきた個性豊かな価値観を取り戻すことがとても大切だということ。そこで大事にしたいキーワードが、Curiosity(好奇心)、Empathy(共感性)、Respect(尊敬)である。

元来、日本人は勤勉で何事にも関心が高く、諸外国に対しても尊敬の姿勢を持つ民族であったと言われるが、それらが社会、政治、経済など、あらゆる仕組みやルールに阻まれ、希薄化してしまっている。仕組みやルールの裏にある暗黙の了解が本来持っている日本人の価値観や思考を縛り、様々なチャレンジや創造性を阻んでしまっているのだ。日本人がこれからのグローバル化を勝ち抜いていくためには、諸外国に対しても高い好奇心を持ち、共に分かち合い喜び合える共感性や、どんな国・地域に対しても尊敬する姿勢を持ちあわわせることが大切なのだ。

日本企業はまだまだアジアのリーダーとなって戦える可能性を持っていることを私は信じたいし、それに向けて怠ることなく、立ち向かっていきたい。本書は多くの方々にこれからのグローバル化に向けて、前進していく勇気と希望を与えてくれるのではないだろうか。
 

『なぜ、日本企業は「グローバル化」でつまずくのか―世界の先進企業に学ぶリーダー育成法』
ドミニク・テュルパン(著) 高津 尚志(著)
日本経済新聞出版社
1800円(税込1944円)

 

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