「7割見えたらジャンプ」が意思決定の鉄則 

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イラスト:荒木博行

ビジネスの現場は、非論理的な意思決定に溢れています。皆さん自身も思い当たることがあるのではないでしょうか。グロービス経営大学院の人気科目である「クリティカル・シンキング」は、そういった「何となく決めてしまう」「よくわからないけど決まってしまった」となりがちなことに対して、ちゃんとロジックをもって意思決定できるようにしていこう、というトレーニングを行っています。

しかし、トレーニングすれば、すべての物事に対してロジカルに根拠立てた意思決定ができるか、というと、当たり前ですがそういうわけではありません。時として直感に頼った部分や、言葉では説明できない非合理的な要素を含んだ意思決定をしていくことも、ビジネスにおいては不可欠です。その際のイメージとして、「7割の確実性と、3割の不確実性」くらいを念頭におくべきではないかと考えています。つまり、7割の要素を合理的に語れるようになった段階で意思決定すべきではないか、ということです。

もちろん、「7割だけで決めちゃっていいのか?」という疑問も出てくると思います。しかし、そもそも実際にビジネスで意思決定する場合、100%先を見通せていることはまずありません。たとえば、「顧客はどこにいるのか」や「顧客のニーズは何か」といったことは、究極的にはやってみないと分かりません。必ず「よく分からない」部分は残るわけです。ただ、分からない部分は残るとしても、全体の7割ぐらいまではちゃんと根拠に基づいてロジックの筋道を通せているか、ということが大事なのです。

精度を高め過ぎる=時間が失われること

一方で、「精度を高めよう」という声が、たいてい企業の意思決定の場で挙がります。たとえば、7割の段階で提案を作って役員会議に持ち込むとしましょう。そうすると「この顧客からは意見を聞いたか?」、「万が一の場面でこのオペレーションは回るのか?」と、目利きの鋭い役員から必ず「分かっていない3割部分」に対する突っ込みが来るわけです。そこで、自信なさそうに「まだ調べていません」と返せば、「次回の役員会まで調べてこい」と言われてしまうのは必然です。貴重な時間が平気で1ヶ月単位でさらに費やされて、ようやく8割に到達したと思えば、まだ分かっていない2割に対して突っ込みがくるわけですね。そしてまた1ヶ月。そのようにして意思決定が遅れていきます。

そうならないために、3割の分かっていない部分が何か、ということを理解しておき、そしてその3割部分には必ず突っ込みがくる、ということを予め覚悟しておくことが必要です。つまり、「分かってないことを分かっている」という姿勢です。役員から突っ込みが来た時に、あたふたしながら取り繕うような回答をしたら、決める側も不安になりますよね。だから大事なのはその3割部分に対する突っ込みは覚悟をしておく。そして、そこは論理的にジャンプしているという自覚を持つことです。その3割部分の不明点を踏まえつつ、このタイミングで決めきるという心構えや、7割部分の根拠に裏付けられた迫力というのがとても大切なのではないかと思います。

さらに、7割で意思決定できれば、すぐには成功しないかもしれませんが、全然違う視界が開けることも忘れてはなりません。たとえば、「予想通りではなかったけれども、顧客はここに反応する」といったような実行した結果としてのデータが入ったりするわけですね。これは貴重な情報であり、デスク上で8割とか9割まで精度を高めようとしている企業には絶対に得ることができないことです。したがって、ある程度のところまではしっかり調べつつ、最終的にどこかで腹をくくってジャンプしないと、タイミングを逸するということなのです。

ちなみに、このメッセージには、2つの側面があります。1つの側面は今言ったように、8割とか9割まで考えがちな組織や個人の人にとっては7割くらいでジャンプしよう、という話。一方で、3割、4割くらいしか考えないでジャンプしてしまいがちな人にとっては、7割くらいまではしっかり考えよう、という話でもあります。「やってみないと分からない」というのは常に本質なのですが、やる前にもう少しロジカルに考えられるところもある、という点はちゃんと念を押して置きたいと思います。

事前に過度にロジックを突き詰めすぎず、かといってギャンブルにはしない。その中間地点としての7割での意思決定、という感覚を改めてご理解いただければと思います。
 

※本記事は、FM FUKUOKAの「BBIQモーニングビジネススクール」で放送された内容を、GLOBIS知見録用に再構成したものです。 音声ファイルはこちら>>
 

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