究極の進化を遂げたトイレ 

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2月29日究極の進化を遂げたトイレ

どうも知らない間にトイレが進化して、すごいことになっている。2月27日の日経産業新聞に、新製品として取り上げられたINAXの「REGIO(レジオ)」。その極端な商品スペックと狙いを少し考えてみたい。

本質的なところではないのだが、商品紹介としてその便器が設置されているトイレの画像に、まず驚いてしまう。トイレというより書斎の趣で、「うーん、こんなところで仕事がしたいなぁ」と、訳の分からない感想すら持ってしまうのだ。

もとい、商品であるそのトイレの便器・・・と、もはや便器と呼ぶのすら、はばかられるのだが、古来、便所は「はばかり」というのがまた妙な話だ。再びもとい、商品であるが、しばらく前から高級ラインには取り入れられてきた、「貯水タンクなしトイレ」だ。記事によると、貯水タンクがないため小さく、空間を有効活用できるとのことだが、まぁ、上記の商品紹介写真のような広いトイレはともかく、もともとあまり広い空間ではないとすれば、圧迫感を無くすため有効かもしれない。

しかし、「レジオ」のすごいところはそれだけではない。こだわりは「音」にあるようだ。洗浄時に水を渦巻き状に流すほか、便器内の空気を吸引して水が排水口を通る際に空気と混ざらないように工夫したため、洗浄音を低減できる。

・・・えーと、既によく分からないテクノロジーが駆使されているところが、なんだかすごい。バブルの頃からだろうか。高級なマンションのお宅に伺ったときや、高級ホテルに宿泊したときに、「なんだか力なく流れるトイレだなぁ」に出会った。後に、高い便器は最初ゆっくり流れ、最後に一気に吸い込むようにできているのだと知った。個人的には、最初から「ザザーッ!」と流れてくれた方が気持ちがいいのだが、やはり高級品に向いていない性だろうか。

だが、まぁ、そんな流れ方が好きな人もいるだろうと思うと、さらに「音」へのこだわりがあった。使用時にジャズ音楽が流れる機能も付けた。・・・。排泄音を消すために水を流しちゃう人は後を絶たず、エコロジー的には良くないので、立派なソリューション(問題解決)になってはいるのだが、トイレ使用中に自動的にジャズが流れるのは、個人的には何とも違和感がある。子供の頃、地域のゴミ回収車が「乙女の祈り」を流して毎日やって来たので、哀れ、「乙女の祈り」は「ゴミ屋さんの曲」になってしまった。「トイレの曲」になってしまうジャズの名曲は何だろう?と心配していたら・・・何と!名ジャズピアニスト・木住野佳子さんの書き下ろしだというではないか!!

ああ、ここまで書いてきて、少し疲れた。最後に、「色」。艶(つや)を抑えた黒色など、トイレでは珍しい色使いを取り入れてデザイン性も高めた。だそうだ・・・。確かに、「カラーリングはコトラーの製品特性分析から考えれば、差別化のための最終手段だ」とかつて書いた。が、この場合は人を唸らせる「だめ押し」だ・・・。

さて、値段。55万6500円。インドではタタ財閥ががんばって28万円で自動車を作る時代にですよ。一人しか座れない、しかも動かない便器に55万円!

いつも書いていることだけれど、ニーズとは、人が理想とする状態とのギャップであり、その不足状態を解消する対象物がウォンツなのだ。けれど、この場合は明確なニーズはない。潜在ニーズですらないように思う。「これならどうだ!」と圧倒的なスペックを提示して、「そういえばこんな機能があればいいねぇ」というニーズを喚起するやり方なのだろう。

もはやトイレの便器などのコモディティー化した商品は、当たり前なニーズ対応をしていても差別化はできない。これぐらい極端にやらなければ、何不自由のない生活を送っている人々の購買意欲を引き出すことはできないのだという事例としてはとても面白いと思った。

最後にこの商品のターゲティングとポジショニングを整理してみよう。
・ターゲット:生活の中にほんの少しの不自由や不満を持ちたくない人。少しでも改善ポイントを感じたら、解消し、完璧を求める人。
・ポジショニング:トイレにおけるあらゆる問題を解決した究極のトイレであり、トイレを安らかなゆとりの空間に変えるソリューション。

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