石油価格の上昇 — 日本は生き残れるか? 

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一方で、日本はこの石油価格高騰の荒波を乗り越えることができそうだ。そう考えるのには二つの理由がある。まず、日本の人口は増加していないため、石油に対する需要も増加せず、石油価格上昇に対するリスクが低いこと。そして、日本はここ10数年間、石油の輸入を増やすことなく、生活水準を向上してきたこと。この2つのトレンドが今後も続くことを疑う情報は、今のところ無い。

日本の石油消費の減少

まずはじめに、ある統計を見てみよう。石油消費国のトップ3は、米国、中国、そして日本である。この順番は、1995年に中国がロシアを抜いて3番目になってから変わっていない。それ以来、中国の石油消費量は、1日あたり300万バレルから700万バレルへと倍増。米国は、1日あたり1700万バレルから2000万バレルへと増加した。一方で、日本では、ここ12年間で、1日あたり570万バレルから510万バレルへと減少している。

少子化問題による恩恵

不思議なことに、日本のいわゆる"少子化問題"が、この石油消費量の減少というトレンドを生み出している。生活必需品の価格が上がるこの時代、日本はより少ない人々を養うだけでよい。世の中で懸念されている人口問題が、資源不足が予測される将来においてはむしろプラスに作用するということだ。石油価格の上昇にともなって、食料品や他の製品の物価も短期的には上がりはするが、それはさして重要ではない。人口学的な条件から、日本は石油価格上昇の嵐を乗り越えやすいポジションにいるのだ。

少子化問題を懸念する論調をよく耳にするが、それは生活水準の低下を伴う場合にのみ、顕在化する問題である。人口がほぼ横ばいの現在も、日本はアメリカと比べても経済的に見劣りはしない。

生活水準を図る指標として、労働時間あたりの生産性を計る方法がある。これは、労働者が1時間あたりに、自国の経済に対してどれだけの価値を生み出しているのかという指標である。これらの統計を2007年のドル価格で換算すると、1991年以来、日本の労働生産性は米国の70%あたりの数値で安定している。日本は、石油の消費量が減少している間も、世界一の経済力を持つ米国をきちんと追走しているわけだ。 リンク:トータル・エコノミック・データベース

米:石油高は国家の“非常事態”

日本に比べ、米国はひどい状況にある。米国では、この夏のガソリンの価格は1ガロンあたり4ドル(日本で言えば、1リットルあたり約112円)になるだろうと報じられている。日本ではこのニュースは、それほど深刻には受け取られないかもしれないが、米国では、これは非常事態に近い。冒頭で紹介したNew York Times紙の記事では次のように述べている。「エコノミストたちは、可処分所得におけるエネルギー消費の割合がゆっくりと上がり始めているという。12月、1985年以来最も高い6.1%に達した」。

エネルギー問題における日本の優位性

アメリカの人口が、その広大な国土に散在しながら、毎年3百万人ずつ増え続けているという事実を考えてみよう。この事は、アメリカがこれまでの生活水準を保つためには、中国、ロシア、インドやサウジアラビアなどの石油消費が増大している国々と、否応なく残った資源を争う事を意味する。

それに対して、日本の石油消費量は、減少とまではいかなくても、平行線をたどるだろうと考えられている。もう一度強調するが、日本では、人口がほぼ横ばいでも、一人あたりGDPの値や生活水準に大きな影響を与えていない。さらに、日本の人口のおよそ半数が、国土全体の2パーセントに過ぎない都市部に集中しており、今後も乗用車を個人が使う必要性は下がり続けるだろう。

要するに、ガソリン価格の上昇によって追い詰められる国がある一方、日本は大きな影響を受けなくて済むだろうという事だ。日本経済は、資源の保存や技術の進歩など、将来のエネルギー問題に対しても、様々な“打ち手”を持っている。そのような面から考えると、たとえエネルギーコストが多少上がったとしても、日本はアメリカを初めとする他の先進工業国に対して十分ましな位置にいると思われる。(英文対訳:棚原潤)

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