仕事を「選べる人」「選びにいく人」の差 

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人生は選択の連続です。私たちは朝起きてから夜寝るまで、大小無数の岐路に立たされ、何か一つの選択をして進んでいきます。その意味で、人生は選択が織りなす模様と言っていいかもしれません。そのとき人には「選択力」の差が出ます。ここで言う「選択力」とは、次の3つです。

・選択肢を判断する力
・選択肢をつくり出す力
・選択を(事後的に)正解にする力

1番目は、眼前にある選択肢のうちどれが最良のものかを分析・判断する力です。2番目は、自分が選べる選択肢をつくり出す、増やす、呼び寄せる力。そして3番目に、自分が選んだ道をその後の努力で「これが正しかった!」と思える状況をつくる力です。

選択力を考えるとき、誰しも1番目ばかりに頭がいきます。そしてこれを鋭く磨くために、情報を集めたり、判断能力を高めたりします。それは前提として重要なことですが、人生・キャリアをたくましく切り拓いている人は、同時に2番目をしたたかにやり、3番目をしぶとくやっています。きょうは特にその2番目の「選択肢をつくり出す力」について書いていきます。

求人サイト上の情報は急増している・・・だが

いま、AさんとBさんの二人がいます。二人の様子はこんな風です―――

Aさんは毎日メールボックスを開けるのが楽しみだ。彼のもとには彼の才能と人柄を頼って、日々、社内外からいろいろなプロジェクト案件・仕事相談が舞い込む。そして、彼はその中から自分がワクワクできる仕事を悠々と選ぶことができる。優先順位の低いものや魅力的でない案件であれば、親身に助言や感想を返すか、丁重にお断りを入れることもできる。

他方、Bさんは自分に都合のよい条件の仕事を探し回っている。3度目の転職を考えているのだ。「まったく、世の中にはイイ仕事なんてありやしない」と愚痴混じりに、ネット上の膨大な求人情報をさまよう……。

ピーター・ドラッカーは『断絶の時代』の中でこう書いています。

「先進国社会は、自由意志によって職業を選べる社会へと急速に移行しつつある。
今日の問題は、選択肢の少なさではなく、逆にその多さにある。
あまりに多くの選択肢、機会、進路が、若者を惑わし悩ませる」。

確かに、この指摘は一面で正しいといえます。しかし一面で、正しくないともいえる。

つまり、いまやネット上に掲載される求人情報は溢れるほどあり、そういった意味では、ドラッカーの言うとおり、私たちは選択肢の種類と量の多さに惑い、悩みます。

しかし、よくよく自分の適性やら条件やらに当てはめていくと、「あれもダメ、これもダメ」、「これもちょっと違うなあ」となっていき、ついには自分が選べるものが実は少ないことに気づきます。そして残った数少ないものに応募するのですが、結果は「不採用」……(沈黙)。

求人サイトの中には、無数の選択肢が目まぐるしく記載されているのに、自分はどこからもはじかれてしまう。そんなBさんのような人が世の中には多くなっています。

その一方、広い世間にはそれとは真逆の人もいます。Aさんのような人です。彼のもとには、仕事が向こうから寄ってくる。

「仕事を選びにいく回路」に留まっているかぎりジリ貧になる

この二人の状況の差を生み出しているのが、「選択肢創出力」の差です。すなわち、「選択肢をつくり出し、結果的に“選べる自分”になる力」です。

Bさんのように、都合のよいものだけを追いかける働き方をしている人は、そもそも選択肢を増やすことに意識を傾けません。既存の選択肢をあれこれ選り好みしているだけなので、早晩、ジリ貧になります。「選びにいく」先の洞窟はどんどん狭くなってしまうのです。

ところがAさんは自分が譲れない価値や大事にしたい意味を持っています。それを軸にして仕事をする。たとえ目の前の状況や環境に不満や違和感があっても、軸を変えず、ともかくその場でなにかの結果を出す。そして少しずつ方向修正をしながら、「職業人としての自分」というもの、「自分の仕事」というものの独自性や世界観を醸し出していく。と同時に、周囲からも信頼を得る。その独自性や世界観、信頼は、知らずのうちに人との出会いや機会を引き寄せることになり、結果的に選択肢が広がる状況が生まれることになります。

自分の仕事の世界観をつくるには、明確な目的を抱き(=自分が働く方向性・イメージ・意味を腹に据え)、自分の道を“限定”していくことです。自分を目的に沿って限定することが、逆説的ですが、実は選択肢を増やすことにつながっていくのです。

今の世の中は、専門バカといわれようが、オタクと呼ばれようが、あるいはそんな小さな隙間分野に固執して大丈夫かと言われようが、自分の決めた目的の下に、粒立った一個の仕事人として立つことが「選択肢をつくり出す力」を高めることにつながります。

「小さな自由」と「大きな自由」

ネット通販Amazonの日本法人の立ち上げ時期に書籍バイヤーとして活躍し、現在は出版コンサルタントをしている土井英司さんは、『「伝説の社員」になれ!』のなかでこう書いています。

「転職は、今いる会社で実績を積み、“伝説”をつくってからでも遅くはありません。いや、実績を積んだときはじめて、転職するもしないも自由な身になれるのです」。

そう、私たちの目の前にはいろいろと選択肢はあります。現職に違和感や不満があり、なんとなく転職でもしてみるかという心理モードになる場合もあるでしょう。確かに転職サービスサイトに登録をすれば、どこかに移れるかもしれません。しかし、それは「小さな自由」のなかの選択にすぎません。現職にいましばらく留まって、なにかしらの「伝説」をつくったならば、おそらくそのときにはまったく違った選択肢が自分の周りに見えてくることでしょう。それが「大きな自由」を手に入れることです。

表面上に溢れる選択肢を追いかける自分になるのか、それとも、じっくりと選択肢をつくり出す自分になるのか。3年や5年も経てば、その姿勢の違いは如実に選択肢の質と量の差になって現われることでしょう。

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