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セグメンテーション: 顧客を正しく選ぶことがマーケティングの第一歩

投稿日:2016/01/30更新日:2021/10/20

『グロービスMBAマーケティング』の第3章から「セグメンテーション」を紹介します。

近年、ビッグデータ解析により、ピンポイントで有望な見込み顧客にITを通じてレコメンデーションなどを行うことができるようになったことから、オーソドックスなセグメンテーションやターゲティングの意義は減少したと言われています。しかし、ビッグデータを有効活用できる企業はまだまだ少数であり、伝統的なセグメンテーションの手法を理解しておくことは、多くの企業のマーケターにとってはやはり必須です。難しいのは、真に有効なセグメンテーションの軸を組み合わせることです。これには経験と洞察力が求められるため、付け焼刃ではなかなか効果が上がりません。商材の特性などにもよりますが、顧客視点に立ちつつも、自社の社内リソースなども考慮し、最適解を考え抜くことが、有効なセグメンテーションの必須条件なのです。

(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、ダイヤモンド社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)

市場とセグメント

最初に「市場(Market)」と「市場セグメント(Market Segment)」の違いを明らかにしておこう。「市場」とは、ニーズやウォンツ(欲求)を持った人々の集合全体のことである。人々のニーズは顕在化していないこともあり、導入期の製品はもちろんのこと、成熟化したと思われている製品でも、思わぬ潜在市場が隠れているかもしれない。また、同じ製品であっても、その市場が必然的に決まるというわけではない。例えば高級ハムの場合、その製品を「食品」ととらえるか、「贈答品」ととらえるかで、潜在的な市場規模に大きな差が出てくるだろう。

セグメントとは、その市場の中で共通のニーズを持ち、製品の認識の仕方、価値観、使用方法、購買行動などが似ている顧客の集団である。例えば乗用車市場の中でも、高級車メーカーのベンツやBMWが狙うセグメントと、軽自動車メーカーのスズキやダイハツが狙うセグメントとでは、顧客の特性や求めるニーズが明確に異なっている。

セグメンテーションの意義

すべての消費者に向く製品を万人に売り込むということは、企業にとって効率がよいようだが、必ずしもそうではない。人々のニーズは多様なので、万人向きの製品をつくろうとすれば、製品コンセプトが曖昧になったり、非現実的な価格になってしまったりするからだ。

かといって、1人ひとりのニーズに合わせた製品提供は、オートクチュールなど特殊なビジネスを除けば経済的に見合わないし、他人が持っているから欲しいという消費者の欲求にも応えられない。また、経営資源(予算、人員など)の制約という問題もある。どんなに良い製品であっても、市場全体を相手にしていたのでは経営資源は早晩枯渇してしまう。

そこで生まれたのが、セグメンテーションを用いたターゲット・マーケティングの考え方である。ます、不特定多数の顧客を、マーケティング戦略上、同質として考えても差し支えないと判断される小集団に分ける(セグメンテーション)。そして、一定のマーケティング活動に同じように反応する特定セグメントに照準を合わせて(ターゲティング)、マーケティングの資源を集中投下するのである。

セグメンテーション変数

セグメンテーションを行うときには通常、顧客の属性や価値観、購買行動、使用パタ一ンなどに関するリサーチを行い、因子分析やクラスター分析などを駆使しながら、いくつかの共通項でグループ分けして、各グループの性質や特徴を明らかにしていく。

では、どのようにグループ分けすれば、意味のあるセグメンテーションと言えるのだろうか。実は、このセグメントに分けるときの切り囗(セグメンテーション変数)の発見こそが、最も困難でかつ重要なポイントであり、マーケティング担当者の手腕が問われる部分でもある。ニーズや購買行動などに基づき、試行錯誤を重ねながら、さまざまな変数の中から最適な変数を見つけ出すのが一般的である。

マーケティングの実務では、変数を組み合わせて使うことが多い(図表参照)。いくつかの変数を同時に、あるいは段階的に用いることもある。

次回は、『グロービスMBAマーケティング』から「ポジショニングの基本」を紹介します。

https://globis.jp/article/3966

◆グロービス出版

 

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