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医療の規制改革が進展、ICT活用でイノベーション起こせ!

投稿日:2015/12/28更新日:2019/04/09

【今回のまとめ】
◆安倍政権発足以降、規制改革会議において健康・医療分野の様々な改革が実現した
◆国民の利便性の改善、医療関連産業の発展、医療保険財政への配慮の3視点が必要だ
◆今後の医療発展のためには、ICTの一層の活用推進が特に重要である

2016年4月より、今までの保険外併用療養費制度では実現できなかった患者、国民の切実な治療ニーズに対して応えるために、新たに患者申出療養制度が創設される。

保険診療と保険外診療を一緒に受けると、なぜ保険診療まで全額自己負担になるのか?いわゆる混合診療禁止の原則に対しては、従来様々な疑問や改善を求める意見が、各所から出されてきていたが、少なくとも新制度は、そうした患者の切実なニーズに応える新たな選択肢になると期待される。

この他にも、筆者が活動してきた規制改革会議における健康・医療分野では、安倍政権発足以降、多くのことが実現してきている。

再生医療の発展や医療機器の早期承認のための環境整備(現状なお医療機器は大幅な輸入超、図表参照)
食品における機能性表示制度の導入
一般用医薬品のインターネット販売の拡大
医療用検査薬を一般用検査薬に転用する仕組みの構築
社会福祉法人のガバナンスの強化
患者視点に立った医薬分業政策の検証と規制の見直し
湿布薬などの市販品類似薬の保険給付の在り方の見直し
遠隔診療の推進

などである。現在はレセプト(診療報酬の明細書)審査の効率化と統一性の確保や高齢化社会における在宅での看取りにおける規制の見直しなどのテーマにも取り組んでいるが、まだ医療制度改革でやるべきことは山積している。

医療分野の規制改革は、国民の安心、安全の確保を大前提として、次の3つの視点が必要だ。

第1の視点は、国民の利便性の改善。この視点は、高齢化社会の中で今後特に重要になる。

第2の視点は、医療関連産業の発展。再生医療については、日本は諸外国と比較しても最先端の環境が整ったが、これを他の分野にも広げていく必要がある。

第3の視点は、医療保険財政への配慮。医療保険財政のサスティナビリティを維持するための制度見直しは欠かせない。

今後の医療発展の最大の課題は何か。数多くの課題があるが、特に重要なのはITの一層の活用だろう。これは100の行動60、項目2にも挙げられている。医療提供体制の効率化、医療の質の向上いずれをとっても、IT化とデータ処理・分析、そしてネットワーク化こそが鍵である。例えばレセプトのオンライン化は進んだが、レセプト審査の効率化は必ずしも進んでいないし、レセプト分析による医療費効率化も緒に就いたばかりである。薬歴把握は、現状でも患者のお薬手帳の携帯を前提とした制度設計となっており、IT化とネットワーク化が遅れている。処方、検査、診察データなどのデジタル化の基盤も、それを統合して利用するための環境も未整備である。

今後は、遠隔診療も、ウエアラブルデバイスからのリアルタイム情報をもとに、病気の予防や、健康増進を図ることが求められる。また、個別化医療や創薬が必要とされるが、そのための基礎となるビッグデータ分析は欠かせない。個人情報保護が決定的に重要であるが、そこに留意しながら、技術革新をいかに医療の中に取り込んで進めていくかが、今後の高度な医療サービスの提供や、国民にとって利便性の高い医療実現の鍵といえよう。

財政状況の厳しい中、健康長寿社会を実現するためには、超高齢社会という環境変化を先取りした思い切った制度改革とイノベーションの取り組みの双方が不可欠である。

(図表)医療機器の輸出入金額の推移

 

< 「100の行動」「G1政策研究所」とは? >
「100の行動」とは、日本のビジョンを「100の行動計画」というカタチで、国民的政策論議を喚起しながら描くプロジェクト。一般社団法人G1サミット 代表理事、グロービス経営大学院 学長、グロービス・キャピタル・パートナーズ 代表パートナーである堀義人が、2011年7月に開始した。どんな会社でもやるべきことを10やれば再生できる、閉塞感あるこの国も100ぐらいやれば明るい未来が開けるという信念に基づく「静かな革命」である。堀義人による4年をかけた執筆は2015年7月に完了した。

G1政策研究所」は2014年8月に一般社団法人G1サミットによって創設されたシンクタンク機能。日本を良くするための具体的なビジョンと方法論を「100の行動」として提示し、行動していくことを目的としている。アドバイザリーボードの構成は以下の通り。

【顧問】
竹中 平蔵    慶應義塾大学教授、グローバルセキュリティ研究所 所長

【アドバイザリーボード】
秋山 咲恵    株式会社サキコーポレーション 代表取締役社長
翁 百合    株式会社日本総合研究所 副理事長
神保 謙    慶應義塾大学 総合政策学部准教授
御立 尚資   ボストン コンサルティング グループ 日本代表
柳川 範之   東京大学 大学院経済学研究科・経済学部教授
堀 義人    グロービス経営大学院 学長、グロービス・キャピタル・パートナーズ 代表パートナー

  • 翁 百合

    株式会社日本総合研究所 理事長

    慶応義塾大学経済学部卒業、同大学院経営管理研究科修士課程修了、日本銀行入行、営業局、調査統計局等に8年間勤務。日本総合研究所に転じ、理事などを経て2018年より現職。この間、産業再生機構産業再生委員、慶應義塾大学特別招聘教授などを歴任。現在、株式会社ブリヂストンなどの社外取締役、金融審議会委員等を兼任。専門分野は、金融システム、経済政策等。著書に、『金融危機とプルーデンス政策』(2010年)日本経済新聞出版社など。京都大学博士(経済学)、2006年日本経済新聞社 円城寺次郎記念賞受賞。

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