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【2016年大予測 企業変革編】トップとミドルの動きが急、本社機能のグローバル分離が加速

投稿日:2015/12/21更新日:2019/04/09

今年も残すところ僅か。今年の仕事をやり切ったら2016年の自分の姿に思いを馳せてみよう。グロービスの法人向け人材育成・組織開発部門のリーダー3人に、日本企業が抱える課題に寄り添う日々の中から見通した2016年の展望を聞いた。(構成: 水野博泰=GLOBIS知見録「読む」編集長)

VUCAワールドを生き抜く「強善い構え」を磨き込む年に

鎌田英治 グロービス・コーポレート・エデュケーション マネジング・ディレクター

何が起こるか分からない世の中である。逆に、何かが必ず起こる時代でもある。まさに「VUCAワールド」である。「Volatility」「Uncertainty」「Complexity」「Ambiguity」の頭文字を組み合わせたもので、不安定で変化が激しく、不確実、複雑で曖昧な現代社会を表現したものだ。

そんな時代観の中で、企業経営者はどんな姿勢で取り組めばよいのか。「起きたらどうするか」ではなく「何かが必ず起きることを前提に備える」という発想の切り替えが不可欠となる。そして、何が起こるか分からない中でできる備えというのは、自ずとベーシックであり根源的なことになってくる。

それは、経営者の「構え」である。

何のためにこの仕事をするのか。本質を見極め、アイデンティティを尖らせ、自らが創りたい未来をナラティブに語る。底流には、社会のために尽くそうとする「善」なる動機がある。

 だが、同時に、根源的なところに立脚し、理想を追い求めて絶対に諦めない、泰然自若とした「強さ」をも併せ持たなければならない。

LIXILグループ執行役副社長の八木洋介氏は、リーダーが身に付けるべきそれを「強善さ(つよさ)」であると射抜いている。2016年、VUCAワールドを生き抜くために日本企業のリーダーは「強善い構え」を己の中に確立することが求められることになるだろう。

そのためには、リーダー自身の「主観」を磨きこまなければならない。主観とは強い当事者意識を基盤とする意思である。だが、中途半端なレベルではいけない。他人の当事者意識をも感化するような高い水準の「主観」を磨くことである。

自身の内面を深め、自らの主観、軸を磨きこんでいる日本企業のトップリーダーは少なくない。その輪をもっと広げていきたいと思っている。(談)

「2割のミドル」が動き、堰を崩し始める年に

井上陽介 グロービス・コーポレート・エデュケーション マネジング・ディレクター

日本企業のミドルマネジメント層の多くが、日々こなさなければならない仕事の山を黙々とこなしている。数年後の事業環境を考えれば、今こそこれをやるべきだと思っても踏み込めないでいる。ミドルを踏みとどまらせるのは、ヒエラルキーからこぼれ落ちてしまうかもしれないという恐怖感だ。

だが、そんなミドルたちに言いたい。踏み込んだ先にこそ、未来があるのだと。例えば、大企業の新規事業開発の領域でもベンチャーで注目されている「リーン・スタートアップ」という考え方が広がりつつある。様々な条件やツールが整ってきていて、新しい事業や新しい挑戦のリスクやコストをコントロールすることができるようになってきている。新規事業開発において、大きなリスクを取らずとも、新たなことに挑戦しやすい環境が整ってきている。

確かに、ミドルの少し上辺りには、動かすのが難しい「粘土層」とでも呼ぶべき人たちがいる。ここを突破するのは至難の業だ。しかし、本当に粘土層なのかをしっかり見極めなければならない。経営層に対する恐怖感を抱いて身動きが取れないでいる、ある企業のミドルと研修を通じて出会った。もう一段高い次元で会社が何を目指すべきか、自分はどうすべきかに向き合うべきだと、背中を押したところ、思い切って行動を起こした。「やりたいこと」を提案すると、経営層も全く同じことを考えていたのである。会社の方針の中に彼の思いが組み込まれ、大きく変革が進んでいった。

実際のところ、こうした行動に出るミドルはざっくり見て全体の2割に過ぎない。だが、私の実感では、そうしたミドルの多くが“臨界点”に達していると見ている。2016年には、日本企業のミドル層の2割が動き始める。そして、組織変革を阻んできた高い堰がミドルの行動で揺さぶられ、上層から少しずつ崩れ始める。そして、連鎖的に後に続く者が出てくるだろう。

Doing First ――。まず荒波に飛び込んで、新たなサービスや製品、事業を創ろう。変革を自ら創り出そう。躊躇しそうになる自分を戒め、一歩踏み込んで行動しよう。(談)

「グローバル本社と日本支社」の分離が加速する年に

西恵一郎 グロービス・コーポレート・エデュケーション マネジング・ディレクター

グローバル化を推進中の日本企業の中で最も変わりやすいのは、グローバル市場の最前線で奮闘する海外現地法人のスタッフたちである。その次は、現地法人と日本本社を行き来する駐在員とスタッフ。最後まで変わり難いのが日本の本社だ。
 
では、本来変わるべきなのはどこなのか。もちろん、日本本社から変わるべきなのである。残念ながら、これまでそういう流れを作りたくても作れない企業のほうが多かった。だが、変わるための明確な方法論が見えてきている。
 
それは、日本本社を「グローバル本社」と「日本支社」に明確に機能分離させることだ。今まではグローバル化と言いながら日本流を推し進めてきた。日本市場を主に担う中でグローバル観点が入って混乱を招いていた。意思決定する役員が頭の中でもスイッチできていない。これではグローバル化が進むはずもない。

2016年は、このことに気づいた日本企業の多くが「グローバル本社」と「日本支社」の構造分離に取り組むことになるだろう。既にグローバル売上比率が50%を超える企業は、多くが導入済みだが全てではない。日本の本社からこの変革の作れるかどうかが、企業の盛衰を分けることになるかもしれない。
 
日本基準を生み出す開発や生産管理も変わる必要がある。高品質は日本企業の強みに違いないが、アジアの発展途上国でジャパンクオリティーの高価格製品が売れるとは限らない。日本市場を担当する日本支社の品質と、グローバル本社練る地域別の品質は別々のものであるべきであり、生産管理は基準の番人ではなくサポーターの立場に転換する必要がある。
 
グローバル本社には、日本人だけでなく、世界から最優秀の人材を集めることになる。言語は当然英語だし、グローバル・チームの一員としてパフォーマンスを発揮するためには、高度な知識とスキルが必要になる。日本人にとってはチャレンジだが、そういう組織で人材が育てば、日本企業は次のグローバル・ステージに立てるので
はないか――。そんなポジティブな期待感を抱いている。(談)

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