グロービス特別セミナー
愛されるロングセラーを生み出し続ける組織作り Part2/3
「ほぼ日手帳」をはじめとして、日常で愛されるヒット商品を世の中に送り出している株式会社東京糸井重里事務所。世の中に無い視点や価値観の情報を1998年から「ほぼ日刊イトイ新聞」で発信、1999年からは「ほぼ日ストア」で生活関連商品の開発と販売を開始し、現在では売上30億を超え、従業員数は50名を超える企業へと成長した。糸井氏や個人のアイディア・センスだけではく、全員で価値を生み出せるようになる思考のパターンやしくみ、組織が成長するための工夫などを篠田氏がどう考え、つくり出したかについて語る(視聴時間37分42秒)。
スピーカー
篠田 真貴子
株式会社東京糸井重里事務所 取締役CFO
【ポイント】
・2008年10月の事務所は売り上げが20億、社員も40名ほどいて、価値を生む基本は出来ていたが社内の「しくみ」が無かった。人事制度や在庫管理のしくみ、経営判断に必要な情報を作ることなどから整えた。会社として社会から信頼を得られるように体制をつくっていった
・長期的な利益を生むために、お客様が払ってもいいと思う価格を高いままにする。高くても良いと思えるのは信頼感や好きという気持ちがあるからで、その気持ちを作るのは「人は何が嬉しいか」を追求しているから。これを実現するために、コンテンツの形が自由であり、お客様が集まるしくみ、クリエイティブを生むしくみがある。スポンサーがいないので自由度が高く、その結果質の高いコンテンツが生まれそれが信頼に繋がっている
・糸井事務所での「価値」とは、都合を排除した「ほんとうに欲しい」もの。普通で一番良いもの。普遍性を大事にし、喜ばれることが一番重要。どう喜ばれるかを考えて、PRが後付けされていない商品をつくっている
・面白い、好き、逆に違和感がある、などの「動機」を大切にする。原理原則まで遡り、普遍性に基づくコンテンツを目指す
・クリエイティブは「組織の仕事」。基本はひとりの動機で、クリエイティブは身体知。お客様から見てどうだろう、という自分以外の目線を持つ組織は、自問自答を助ける環境。クリエイティブは営業組織の成り立ちと似ていて、そこを方法論化していきたい
・組織を支えるメンタルモデルは、何を「真」「善」「美」とするか。ふつうの生活者を信頼しリスペクトすること、フラットな関係を志向すること、内発的動機と「みんなに見られていること」がひとをドライブする、という考え方をしている。クリエイティブやイノベーションをテーマにした時に会社の価値観として大事になる
(肩書きは2015年5月29日登壇当時のもの)