ライフネット会長・出口治明氏×為末大氏
G1ベンチャー2015
第3部 分科会E「歴史とリーダーシップ~“破壊的”イノベーションを生み出す“武器”としての歴史~」
ヘロドトスの『歴史』から冒頭を引用して、出口治明氏は「先人に学べ、そして歴史を自分の武器とせよ」と意訳する。ビジネスリーダーが歴史を学ぶ意味とは何か。歴史を学ぶことは、海外のビジネスリーダーとのコミュニケーションの武器ともなり、広大な時間軸と空間軸の中で、リーダーとしての視座を養うことにもつながる。人類の歴史を振り返り、未来に新たな価値を生み出すための知識と視座を学ぶ(視聴時間1時間13分2秒)。
出口 治明氏
ライフネット生命保険株式会社
代表取締役会長 兼 CEO
為末 大氏(モデレーター)
一般社団法人アスリートソサエティ 代表理事
【ポイント】
・有事の際には人間の対応が全て。過去を教科書にして学ぶことが歴史の意味合い。人間の大脳は1万3000年間進化せず。最高の能力をもつ天才がいつ生まれるかはアットランダム
・同時代の資料にも筆記者の志向が反映される。一方で、音声や画像を録画したような偏向のない資料が、自然科学の知見。様々な学問をトータルに分析し1つの真実に近づこうとしているのが歴史
・東証の株価分析の際、外国人投資家の分析がなければ意味がないように、世界の中でのつながりを見なければいけない。単独の「日本史」というものはない
・歴史をつぶさに見れば、リーダーになるかならないかは偶然。最終的にリーダーになった人は、体力が優れており、強烈な使命感や理想を掲げている
・残ったものを維持するためには仕掛け・仕組みを作ること。現代で言えば、創業数十年の間にシステムをつくることができれば、その後はリーダーの比重も低くなる可能性がある
・ろくな部下がいなければ、リーダーが引っ張るしかない。優秀な部下がいればのっかるほうが楽。この使い分けができると大帝国ができる。ダーウィンの進化論と同じで、状況は常に変わる。リーダーシップも状況に適応することが一番大事
・ゼロからの立ち上げには、黙って同じことをやる方が効果あり。それ以降は、ダイバーシティのある方が安全で強い。遊軍(違う価値観)がいることで、想像がつかない変化にも対応可能。最低限の理念(ゴール)で合意し、そこへの辿りつき方は様々であるべき
・部下とリーダーは全く異なる資質。部下を子会社のトップに据えて、人を使う能力や自分で決める能力を見極めること。どんな小さなことでも、自分で決めさせる訓練をすること
・リーダーの発言がぶれないことはマスト。それに加えて人望があり、愛嬌があること。それによって、足を引っ張る人を最少にできる
(肩書きは2015年4月29日登壇当時のもの)