地方を元気にする​のは「組み合わせ」と「継続」 

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観光・鉄道・行政を通して、地域の魅力をプロデュースする改革者たち[2]

田久保:観光に関しては、最近はインバウンドや爆買いといったキーワードも出てきた。宿泊という形で地域にもお金が落ちるし、特産品の売上といったことまで考えると、やはり観光は地域活性化と切っても切り離せない産業だ。「観光立国を目指す」という考え方も踏まえつつ、その辺に関して星野さんはどうお考えだろう。

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星野:ぜひ皆さんに知って欲しいことがある。今は「観光立国」ということが盛んに言われているし、官公庁を中心として国にも戦略を進めていただいている。地方創生やアベノミクスにおける一つの課題が観光立国化という流れだ。ただ、観光立国化というのは、本来、「雇用や投資も含めて地方に新しい基幹産業をつくる」というものだった。しかし、2004年に小泉内閣で観光立国推進戦略会議ができて…、私もそのメンバーに入ったのだけれども、それを経て今は「外国人観光客の数が多い国が観光立国」といったイメージに変わってきてしまったように感じる。


現実はどうか。たしかに外国人観光客が日本で落とすお金は以前より増えて2兆円となった。ただ、日本人が日本国内で落とすお金は20兆円だ。観光産業はすでに、売上ベースでは日本で5番目の巨大産業であり、その中心は日本人による日本国内旅行であることを僕らは忘れてはいけないと思う。


だから、「観光立国化」というのは外国人観光客の数を増やことでなく、たとえば日本人による国内旅行を維持していくことだと言える。実際、今はそれが少し減ってきている。また、23兆円という巨大な需要をどうやって雇用に結びつけるかという課題もある。23兆円もあるのに観光産業では75%が非正規雇用だ。さらに言うと、今は投資の呼び込みもできていない。それで、いまだバブル期につくった建物に手直しを加えながら運営している状態だ。だから、雇用および投資の拡大という、もともと「観光立国化」のなかで目指していた目的に、今もきちんと向かっているのかどうかを再度考える必要があると私は思う。


田久保:星野さんは経済同友会でもさまざまなご提言をなさっていると思うが、観光を通じて地域を元気にするためにはどんなアイデアがあるのだろう。


星野:二つあると思う。まず、売上が23兆円もありながら利益があまり出ていないからこそ、需要が雇用にも結びつかない。これは生産性が低いということだ。だから投資にも結びつかない。従って、今は需要を拡大させることではなく、利益を出す体質にすることが一番大事。だからこそ、経営を勉強している人たちがもっと観光産業に入ってこなければいけない。売上を上げるだけではなく、それを収益に結びつけて投資を呼び込むことが最大の課題と言える。


それともう一つ。生産性が低い理由に「休日の集中」ということがある。日本人が休む日数は年間でおよそ100日。で、皆が同じ日に休んでいる。だから観光産業全体の収益を見ると100日の黒字と265日の赤字。前者で後者を埋めて、それでもトータルで赤字という状況だ。


だから、国が「休み方改革」を政策として行うべきだと思う。フランスやアメリカでは学校も休みを分散取得させている。たとえば、「2月の第1~2週はA地区、2~3週はB地区、3~4週はC地区が休み」という風に分散させている。けれども、日本ではGWになれば全員が休むから期間中の価格が3倍になるし、新幹線も大変込み合うし、飛行機のチケットも取れない、と。全体の価格が上がっているうえに、結局は旅行に行かない人が出てしまっている。


だから、私は大型連休の地域別取得を提言している。それによって休み方のあり方を変えて、100日の黒字をなんとか200日に増やすだけで日本の観光産業は劇的に進化する。そういうことを、本来は官公庁や国にやって欲しい。ところが、今はインバウンドの数や爆買いといったことばかりがニュースになっている。政策や目標そのものに問題があるのではないかなと私は思っている。

地方を元気にする「組み合わせ」

田久保:市長でいらした樋渡さんにも行政の側面から、そして地域活性・創生アドバイザーというお立場から、いくつかご意見を伺いたい。具体的には、今後どういったことをしていけば地域を元気にしていけるとお考えだろうか。


樋渡:今後、イノベーティブな仕事は一つだけになると思っている。それは「組み合わせ」。たとえば僕は図書館とTSUTAYAを組み合わせた。行政とTSUTAYAが組むというやり方だったわけだ。実は、そのやり方がうまくいくと思ったのは今から15年ほど前で、大阪府高槻市役所に総務省から部長として出向していたときだった。


当時の高槻市は放置自転車対策で苦しんでいて、僕は市長に、「部長、なんとかしてくれ」と言われていた。それで僕は日本で初めて、放置自転車をヤフオク!で売り飛ばした(会場笑)。それまでかかっていた放置自転車の対策費は7000万円。でもオークションに出したらすべて売れたのはもちろんのこと、広告にもなった。「放置自転車に7000万円も使うなら子育てに回しましょうよ」というメッセージまで発信することができた。そういう組み合わせで行政はイノベーティブなことができるんだと思った。


しかも、僕はそのとき、「行政はマーケットだったんだ。ブルーオーシャンだ」と思った。だから、皆さんもこれから民間でいろいろな仕事をなさるとき、ぜひ行政を組む相手として考えて欲しい。星野さんから「観光に飛び込んできて欲しい」というお話があったけれども、観光の舞台はほぼすべて地方。しかも、田舎になればなるほど否応なく行政と組まなければいけなくなる。そこで「行政はマーケットだ」と意識してもらえたら行政としても組みやすくなる。それが、今までの9年間で学んだ2番目に大切なことだった。1番は…、やっぱり知事選に勝ちたかったですね(会場笑)。


田久保:現在、地方創生アドバイザーとして入っている地域でも、「ここではどんな組み合わせが良いか」といった議論から入るイメージだろうか。

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樋渡:そこは唐池さんがおっしゃった通り。僕は武雄市を除けばどの地域でも「よそ者」だから結構分かる。その地域に覆面で入り込んでいろいろと見て廻ったりすることもある。それで怪しまれて職務質問されたこともあるけれども(会場笑)。いずれにしても、「あ、ここにはコレが足りない。じゃあ、コレをあっちから持ってくればいいね」といった感じで組み合わせようと思っている。


唐池:星野さんから「継続させる」というお話を、樋渡さんから「組み合わせる」というお話を伺って、「あ、これだな」と思ったことがある。昨日の夕方、仙台に到着した私は駅で牛タンを腹一杯いただいた。さて、牛タンは昔から仙台にある名物のように言われているけれども、はじまったのは恐らく数十年前という程度だ。つまり、意図的につくった名産だ。使っている牛タンもほとんどアメリカからの輸入だと思う。もともと東北には牛肉文化がなかったわけだし、仙台でも江戸時代から牛肉が食べられていたわけじゃない。僕は、そこで「仙台に牛タンを持ってくる」という発想がすごかったと思う。で、それが継続していったことで牛タンは仙台の伝統になり、名産になった。


あるいは北海道の「YOSAKOIソーラン祭り」。実は2週間前、札幌で開かれたこのお祭りにJR九州チームが初出場したのだけれども、この祭りはまさに樋渡さんの言う組み合わせの成功事例だ。これは20数年前、北大生が高知県のよさこい踊りと北海道のソーラン節を組み合わせたところからはじまった。で、それまで札幌最大のイベントは200万人の観光客を集める2月の雪祭りだったけれども、20数年前にそうしてはじまった「YOSAKOIソーラン祭り」は、あれよあれよという間に拡大した。そうして今は雪祭りを超える数の観光客を毎年6月に集めている。


これも「組み合わせ」と「継続」だ。スタートしたときは伝統も何もなかった。でも、その新しいイベントを伝統と思わせるほど継続させていった。この姿に何かヒントがあるような気がした。ちなみにJR九州チームは「桜燕(おうえん)隊」というのだけれども、今年、40人以下の部にて見事初出場で優勝した(会場拍手)。

リーダーとして大切にしていること

田久保:もう一つだけお伺いしたい。御三方はリーダーとして数多くのご苦労もご経験だと思う。そこで、多くの人を巻き込みながらリーダーシップを発揮して、物事を前に進めるため、ご自身の心の真ん中にはどのような軸をお持ちだったのだろう。「これだけは大事にしている」といったお話があれば、ぜひ教えていただきたい。


樋渡:その時々で変わる。病院改革をしていたときは、脳内出血で38のときに亡くなってしまった同級生の存在があった。それで、同じ犠牲者を出しちゃいけないと考えて「鬼になろう」と。それで医師会から…、リコールって車だけの話だと思っていたら、僕まで医師会等にリコールをくらったというのがある。あと、図書館のときは旧館内で受けたショックなできごとが影響している。態度は小さいけれども声のでかい僕が、図書館内で喋っていたら館長に怒られたことがある。それで、「どうして図書館で喋っちゃいけないの?」と。しかも、夕方6時に締まる。それで、「これは解決しなきゃ」と思った。だから、その時々で変わる。


ただ、政治家は人を巻き込まないといけないから、ファンを増やすことは常に心掛けていた。逆に、反対する人を説得しに行くということはあまりしていない。負のエネルギーをもらうのが嫌だったから。で、これはテレビ番組でご一緒していたデーブ・スペクターさんに教えてもらった話だけれども、人の印象は初めて会ったときの最初の5秒で決まるそうだ。だから最初の5秒で大きな印象を与えないといけない、と。


また、それと併せて過剰なサービス精神も不可欠だということを、スペクターさんや橋下徹さんに言われていたから、そこもTTP(徹底的にパクる)した。そうやって人を巻き込んでいくことを常に心掛けている。だから、逆に言えば心の真ん中に何か持っていたということはあまりなかった気がする。それで「ちょっと軽い」と言われてもしていたけれど。

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星野:たしかに、そのときの会社の規模や課題次第で大事にしていたものは変化していた。ただ、一貫して持ち続けて、今でもすごく大事だと思っていることはある。それは、経営者は質素倹約であるべきだということ。経営トップが質素倹約であるか否かが組織全体の風土も決めるような気がする。特に私の場合、リクルーティングによって地方の無名企業に来てもらうことが最大のチャレンジだから、来てくれる社員に対しては今でも感謝の気持ちが強い。ただ、一方では会社に給料の差があって、それが生活レベルの差にも実態としてつながっていく。


そうした環境下、ともに戦うメンバーで良いチームをつくり、会社のビジョンにも共感してもらうためには、リーダーの質素倹約な姿勢がすごく大事になる、と。ポジションに関係なく無駄なお金を使わないのは会社として当たり前だけれども、それに加えて個人としても華美にならないことが社員やチームにとって重要だと考えている。


唐池:勇気の「氣」、気迫の「氣」、気力の「氣」等々、とにかく「氣」を満ち溢れさせようと、若い頃から常に考えてきた。「氣とは宇宙が持つエネルギーの元である」と広辞苑には書いてある。たとえば、獲物を捕まえる直前の、低く身構えて今にも飛びかかろうとしている動物の「氣」は大変なものだ。


あるいは、お客さんが皆帰ったあとの午後1時過ぎのラーメン屋さん。良くないお店は、店長がカウンターにどかっと座ってスポーツ新聞広げ、タバコ吸いながら脚を組んでゆっくりと自分のランチを取っている。それで店の空気がよどむ。そうなると、1時過ぎといえお客さまが入ることもあるわけだけれども、そのときは死んだ状態の店になる。だから次はもう入りたくない。これは、その店に「氣」がないということだ。


だからこそ氣を満ち溢れさせ、さらには皆を元気にさせたい。自分も元気になりたいし、元気のない人を元気にしたい。私は20年ほど前、JRグループの飲食業で社長を務めていた時期がある。ただ、その会社は私の就任前、大赤字を出している状態だった。もちろん、利益が出なければ事業として成り立たないし、そもそも利益の出ない事業をやっていること自体、社会にとって悪だ。それで、当時は働いている人にまったく元気がなく、8億の赤字を出していた。私はそこで「3年後には黒字にします」と、当時JR九州の経営者だった方に約束して、それで実際に黒字化させた。


赤字を出していた頃の店長会議では皆が本当に元気のない状態だった。でも、そこから、「黒字にするんだ」と常に言い続け、皆で努力を重ねていった。それで実際には2年で黒字になり、3年目には利益を出して、最終的にその会社はJR九州フードサービスとして独立した。やっぱり黒字になると皆も元気になる。まあ、僕はそもそも寂しがり屋で「皆の寂しい顔を見るのが嫌だ」というのもあったから、そういう思いが「氣を満たさないといかん」という考え方につながったのだと思う。

変革への熱い思いを抱き続けて欲しい

田久保:では、そろそろ会場からの質問を受けたいと思う。


会場:私は人口およそ40万の横須賀に住んでいるけれども、人口が増えると議員の数も増えるし、いろいろな属性の人たちもいて抵抗勢力が大きくなると感じる。そうした環境でも行政はスピードを保てるものだろうか。


会場:任期付職員として地方自治体に勤務しているが、任期終了後も自分にできるサービスを地方自治体に提供していきたい。個人で地方自治体に何かサービスを提供するためには、最初にどこを訪問すれば良いとお考えだろうか。


会場:個別に見ると良い政策でも、点で終わってしまって線や面に広がらないことが全国の自治体ではよく見受けられると感じる。政策を面で広げていくため、樋渡さんが何か配慮または注力していらっしゃることがあれば教えていただきたい。


会場:JTBで働いている。現在、日本人による国内旅行回数は平均1.4回ほどになるけれども、これを増やすためにはどんなことが大切になるとお考えだろうか。


会場:唐池さんは皆を元気にするパワーをお持ちだと思うが、会社のなかでどのように社員の皆さまを元気づけていらっしゃるのか、ぜひ教えていただきたい。


樋渡:人口が40万でもスピードアップは可能だ。今日は吉田雄人横須賀市長もお見えになっているから意見が違っていたらまた吉田さんに聞いて欲しいけれども、僕は以前、大阪の橋下市長にも同じ質問をされたことがある。「どうすればいいんだ」と。そのときは、「分割統治です」とお答えした。人口が40万人や100万人にもなるとトップリーダーが一人で何か言っても無理。だから、たとえば10万人の区を区切るとか、エリアを区切って徹底的な権限委譲を行う。


これ、釜山市をTTPしたものだ。釜山市は区長の名刺に‘mayor’と書いてある。「じゃあ、本物の釜山市長は何をしてるの?」と聞くと、「ある意味では象徴。本当の市長は俺なんだ」と、区長が言っていて、それにすごく感動したことがある。ちなみに、この「分割統治」の名付け親は津田大介さん。僕がこの話をしたら、「分割統治ですね」とおっしゃっていた。


で、次は「個人がどこに訪問すればいいか」。これは法則がある。たとえば横須賀市さんや奈良市さんや千葉市さんはテレビにも結構出ているけれども、そういうときは皆が焦る。特にNHKに出ると、「本当にやらなきゃいけなくなる」と。そういう地域は絶対に人が足りなくなっている。たとえば子育て政策がNHKに大きく取りあげた自治体では、必ず人が必要だということだ。それが僕らのメルクマール。そこを訪れてみるというのがある。だから、NHKを見ましょう。


あと、「点から線へ。線から面へ」ということで僕が心掛けていたのは、「コンパクトにインパクトをつける」こと。そこで、思い切り“爆発点”をつける。実は当初、僕は武雄市の全公共施設を現在の図書館のようにしようと言っていた。でも、それは無理だ。体力がないから。だから図書館だけに全精力をつぎ込んだ。


で、今はその図書館がうまくいったから次の段階に入っている。現市長が図書館の横に子育て支援センターつくりたいとおっしゃっていて、僕も地方創生アドバイザーとしてそれを応援しよう、と思っている。「そこにレストランも入れよう」と。そんな風に、なにかこう、ドットが打たれた結果として線になって、それが広がると面になるという感じだ。だから、面ということはあまり最初から考えないほうがいいように思う。


星野:たしかに旅行者数は緩やかに減ってきているけれども、これは人口減少が原因じゃない。参加率がこの10年間でおよそ8.6ポイント落ちているからだ。特に若い人が国内旅行をしなくなっている。それに対して大きな視点で考えると、需要を増やす考え方はすごくシンプル。良い商品が安くなれば、需要は必ず増える。イノベーションを伴った素晴らしい旅サービスが安い価格で提供されるようになれば、需要は必ず大きくなると思う。


で、今それができていない根本的な理由は健全な競争環境が整っていないから。それをしっかり整備すれば事業者が良いサービスを安く提供する競争に駆り立てられるし、それが業界全体でプラスに作用する。そう考えると、この業界では意外と世襲が多かったりすることも健全な競争環境を阻害している理由だと言える。


そこで健全な競争環境の整備に一番効果的なのは休みの分散だ。今は休みが100日に集中している。で、その100日は供給過多でなく需要過多。そうなると頑張っていてもいなくても宿は必ず満室になるし、お土産屋さんも必ず売上があがる。逆に、他の265日は頑張っていてもいなくても結果が変わらない。それなら頑張らないほうが得だ。それが健全な競争環境を阻害しているのだと思う。


そこで休みを分散した途端、取り合いがはじまる。価格は落ちるし、頑張らないところには客が来なくなるという当然の現象が起きる。だから国として休みの分散を行って欲しいし、JTBさんのような業界リーダーにはそれに言及して欲しい。でも、たとえば田川博己会長にそういったお話をすると、僕の前では賛成していただけるけれども(会場笑)、実際には業界全体が反対する。理由はシンプルだ。健全な競争環境が嫌だから。反対する勢力が我々の業界でも多く、それが阻害要因だと思う。


唐池:「氣」を職場や自身に満たして元気にするため、20数年前から職場で言い続けてきたことが5つある。会場の皆さんは「氣」に溢れていると、見ていても分かる。だから皆さん方のようになればいいという話だけれども、そのためにどうするか。1つ目は「夢見る力」を持つこと。目標を持ち、夢を持つことだ。皆さんはそれをお持ちだから目が輝いている。で、2つ目は大きくて元気で明るい声。挨拶でも事務的なやりとりでも同じ。樋渡さんのように内容がなくても大きな声で喋ることだ(会場笑)。


そして、3つ目はきびきびとしたスピードのある動きで、4つ目は隙を見せない緊張感。良いお寿司屋さんはきちんと清掃された店内で、寿司職人同士の私語もなくお客さまに集中していて隙を見せない。で、5つ目が貪欲さだ。たとえば居酒屋であれば、「あと1本ビールを売ろう」「店の前を歩いているお客さまをあと一人呼び込もう」と考える。居酒屋が黒字になるか赤字になるかは、1日2人、お客さまを増やせるかどうか。だから1日二人増やす。そういう気持ちでやらなければいけない。この5つのうち3つでもあれば必ず元気になる。

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田久保:最後に、壇上の御三方から会場の皆さんに向けて、「こういう風に頑張って欲しい」「こういうことを期待している」といったエールをいただきたいと思う。


星野:会場の皆さんは、まさに堀さんがおっしゃっている「創造と変革の志士」という精神を受け継いでいるのだと思う。僕は第1回のあすか会議にも堀さんに付いていって参加したけれども、それ以来、グロービスの学生は本当に熱いと思っていた。その熱さを忘れないことが大事だ。やっぱり歳をとるとともに僕らは保守的になるし、創造と変革の気迫が薄れてしまうことも多い。だからこそ、これも継続という話になるけれども、今抱いている熱い思いをどれほどつなげていけるかが大事になる。会場の皆さんにそれができなければ日本も地方も変わらない。ぜひ、今後も一緒に頑張って欲しい(会場拍手)。


樋渡:世の中には「やる気病」が溢れている。「やる気を出せ」とかなんとか。もう、そんなのクソ食らえだ。やる気を出せと言われた瞬間、やる気が出なくなる。だから僕は自分でもそうしていたけれども、職員さんには「“心の池”に水を貯めておくように」と言っていた。皆、そういうものを持っている。それで、やる気が出ないときは本を読んだり、それこそ「氣」がある人と話をしたりして、「心の池」に水を貯めて欲しい。


人生のなかで爆発するときは必ずやってくる。20代で爆発する人もいれば30代や40代や50代で爆発する人もいる。でも、そのとき心の池に水がないと爆発できない。だから、「あんまりやる気が出ないよね」なんていうときは、どんどん吸収することが大事だと僕は思う。唐池さんの言葉で言うと「氣」を満たすこと。グロービスはその最たるところだ。だって皆さん、ここに手弁当で来ているんでしょ? お金をもらって来ているわけじゃないんでしょ? おかしいです(会場笑)。イカれてます(会場笑)。でも、その思いをずっと持ち続けて欲しいし、それをお伝えしたかった(会場拍手)。


唐池:悩むときも、壁にぶつかるときも、人に会いたくないときもある。そうして悩んでいる社員に、僕はいつも言っていることが3つある。まず、夜眠れないときというのは、「明日はこれをしよう。あと、あれもしなきゃ」という思いがぐるぐる巡っているときだ。「そういうときはメモをしなさい」と、僕は言っている。そうすると、やらなければいけないことは意外と3つぐらいしかないことが分かる。それが頭の中でぐるぐる順番に回っているから、いかにもたくさんあるように思えていただけだ。


それから、朝起きて元気がないというときは、「音声に出しなさい」と言っている。辛いときも音声に出す。それで、「まあ、なんとかなるか」と。「ケンチャナヨ」とか「ケセラセラ」とか、そういうのが大事だ。それは思うだけじゃダメ。部屋に一人でいるとき、声に出す。あるアメリカのトップセールスマンは朝起きるとカーテンを開けて、「いい天気だ。今日もいい仕事ができる。今日も頑張るぞ」と、自分に言うそうだ。すると自分に暗示がかかって元気が出る。で、嫌なときは嫌なときで、「ああ、もうこれは時間が解決する。どうせ命まで奪われることはない」と、開き直る。それも音声に出すこと。ただ、間違っても電車のなかで言っちゃいけません(会場笑)。


それともう一つ。上司やお客さまに怒られたりすると、翌日はその方々に会うことを躊躇してしまうと思う。でも、そういうときこそ会いたくない人に会いに行くこと。これが一番の解決法だ。お客さまのクレームも速やかに面と向かって、2メートル以内でお話を聞く。それだけで99.9%が解決する。僕はそれがすべて解決した。でも、そこで躊躇して逃げたり時間を置いたりすると問題はどんどん大きくなる。


以前、小沢一郎さんのお気に入りだった番記者の方にこういう話を聞いたことがある。あるとき、その人が小沢さんの悪口を書いたら小沢さんに激怒された。でも、当該記事が出た日、その記者は小沢さんのところへ会いに行った。もちろん、それで小沢さんは「お前はなんだ!」と激怒した。ただ、その記者が帰ったあと、「いやあ、あいつはたいしたもんだ。こんなときでも俺に会いに来るんだからさ」と、側近に漏らしたという。やっぱり見る人は見ているんだなと思う。とにかく、会いたくないとき、会いたくない人に会うこと。この3つを僕はよく話している(会場拍手)。


田久保:最後は熱いメッセージまでいただいて、本当に、一瞬のうちに終わってしまったセッションだったと感じる。では改めて、素晴らしいパネリストの御三方に大きな拍手をお送りください。ありがとうございました(会場拍手)。


※開催日:2015年7月4日~5日

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