早く成長でき、よそ者も活躍できる!意外に知らない地方で働くメリット 

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観光・鉄道・行政を通して、地域の魅力をプロデュースする改革者たち[1]

F2cc2cb5c73105beb47475f2f79a1fc6 唐池恒二氏

田久保善彦氏(以下、敬称略):第二部全体会では大変豪華なパネリスト御三方とともに、どうすれば地域を元気にできるのかというお話をしたい。さて、会場には850人ほどの方がお集まりだと思う。このなかで、生まれ故郷や自身が今暮らす地域の活性化に取り組みたいと本気で思っている方はどれほどいらっしゃるだろう(会場多数挙手)。…結構いらっしゃる。樋渡さんがグロービスでご講演をすると、そのあと来場者の方々からラブレターのような長いメールが来たりするのは、こういう背景があるからだと思う。いずれにせよ、まずは御三方が今までどのような形で地域に関わり、地域を元気にするということに取り組んでこられたかをお聞きしたいと思う。

唐池常次氏(以下、敬称略):JR九州の唐池です。…樋渡さんね。

樋渡啓祐氏(以下、敬称略):え、僕?(会場笑)

唐池:会場の方々が皆佐賀県民だったら選挙も勝ってましたよね(会場笑)。

樋渡:(笑)そうなんですよ。(会場拍手に)いや、そこは拍手をするところじゃないんです(笑)。なんちゅうことを言うんですか、ほんと(笑)。

唐池:いやいや。…以上、自己紹介でした(会場笑:拍手)。

樋渡:まさか佐賀県知事選で落ちると思っていなかったから(会場笑)、不思議な状態が今も続いている。ちなみに星野さんとお話をするのは今日が初めだけれども、僕は市長だったとき、星野リゾートのマルチタスクを「TTP」したことがある。普通の旅館やホテルなら、フロント業務はフロントの人で、掃除業務は掃除の人と決まっている。でも、星野リゾートでは(スタッフが複数の業務をこなす)マルチタスクという形にしていると、星野さんの著書で知った。それで実際に星野リゾートの宿にも何軒か泊まってみて、「これは行政にも使えるぞ」と。あ、「TTP」とは「徹底的にパクる」ということだけれども(会場笑)。これで星野さんの紹介も終わりました(会場拍手)。

地方で働くと成長スピードが速くなる、影響力を実感できるなどメリットも多い

80298202c80df67ea7a24612b481d64d 星野佳路氏

星野佳路氏(以下、敬称略):落選ネタって鉄板なんですね(会場笑)。すごくウケるから驚いた。で、誰かが真面目な話をしないとセッションがはじまらないので、少しそういう話もしたい。現在の事業は、私が長野県軽井沢で実家を継いだことからはじまっている。それで実際にやってみると、地方で仕事をすると面白い、と言うと少し誤解を招くけれども、チャンスがあると思っている。

というのも、地方では経済力低下や人口減少といった課題に対して自分ができることの幅が大きいからだ。東京のようなところにいると自分の貢献度があまり見えてこないけれども、地方にいると何をしても影響力を実感することができる。だから仕事が楽しいというのはあると思う。

あと、たいした競争相手がいないというのもある(会場笑)。これは大きい。東京やニューヨークにいれば相手は世界一だから大変な競争になる。でも、地方であればまずは自分の力をつけたうえで最後は東京に行けばいい。だから、力を付けるまでは競争相手がダサいところのほうがいい、と。そうした意味で言うと、僕は地方のためでなく「自分のために」という発想をしていた。とにかく、地方はチャンスのある場所だということが、私がキャリアのなかで最も強く実感してきたことだと言える。

田久保:たとえば星野リゾートさんでは、どんな成長をするものなのだろう。

星野:そもそも人材がいないから早く任せてもらえる。どちらかというと「いなくなるぐらいならどんどんやってもらおう」といった姿勢の企業が地方には多い。自分が何かをしたいとき、若くてもチャンスがもらえるのはすごく大きいと思う。

それともう一つ。僕はこれまで20数年間、東京でリクルーティングをして新卒採用してから地方に配属してきた。でも、日本の学生は東京から離れることを都落ちだと考えるから説得が大変だ。20年前はそれで親まで説得したこともある。でも、それで嫌々ながらも地方に来てもらって3年もすると、皆がその場所を好きになる。結局、住めば都なんだ。地方には地方のいいところがある。それを学生が最初のうちは知らないだけ。だから、もっと学生のうちに地方で生活する機会を与えて欲しい。

だから、堀(義人氏:グロービス経営大学院 学長)さんの盟友でもある世耕(弘成氏:内閣官房副長官)さんのような人には、たとえば日本の大学改革のなかで「地方の大学と東京の大学で単位を認め合うような制度を入れてみて欲しい」といったお話をしたりしている。そうした政策で、もっともっと、若いときに地方で生活するチャンスを増やしたら、地方をすごく好きになる人が増えるように思う。

D4f172b8db6d1414274458f3ab510247 樋渡啓祐氏

樋渡:正しいと思う。総務省が…、いつもはロクなことをしないけれども、「地域おこし協力隊」といったか、総務省のお金で3年間地方に出すという制度をつくった。これが予測に反して結構うまくいっちゃった。それをきっかけにして、星野さんが言ったように地方へ根付く人が出ている。武雄もそうだ。最初は武雄が嫌いと言っていた人たちが、3年経って武雄LOVEになっちゃった。それで、いろいろな人たちと組んでビジネスをはじめるようになっている。だから、いろいろなきっかけは以前と比べて増えましたよね。そういうものをどんどん活用したらいいと思う。

田久保:樋渡さんは、行政の立場からは地域をどのように見ていらしたのだろう。先ほど控え室では、「株主もいないし、実はやりたいことがスピーディーにばんばんできるのが行政なんだよね」といったお話をなさっていたけれども。

樋渡:それ内緒だったんです(笑)。そんなこと言ったらまた選挙に落ちるじゃないですか(会場笑)。いや、実際のところ、行政のことを皆さんは誤解している。もう言ってしまうけれども、株主がいないというのはすごくハッピーな世界だ。上場企業の社長さんなら株主や株価や為替といったことばかり気にしている。

でも、一度選挙で通ったら任期の4年間が成果を出すための期間。だから僕はステークホルダーを気にしなかった。まあ、僕の場合は「もっと気にしろ」と言われていたけれども、とにかく行政は極限までスピードを上げることができるというのが、僕が9年間で最も強く体感したこと。「行政はぬるい」「行政はとろい」なんてよく言われるけど、そんなの嘘ばっかりだ。

田久保:やろうと思えばなんでもできちゃう?

樋渡:できちゃう。図書館だって、手続きをすべて踏んでいたら2年半かかっていた。それを5ヶ月でやっちゃったわけで、もう吉野家より早かった(会場笑)。

田久保:武雄市図書館に行ったことがある方はどれほどいらっしゃるだろう(会場多数挙手)。あ、結構いる。グロービスは福岡校もあるので、皆、相当行っている。

樋渡:武雄市の人口は5万人でイノシシを足しても8万しかいないのに(会場笑)、100万人が来る。あと、来館者を対象に公式と非公式の両方で行っていた満足度調査でも、およそ85%という結果が出ていた。

「公共施設ってダサい」って、皆思っているでしょ? でも、税金でできているからこそ、公共施設がダサいというのはありえない話なんだ。自分たちが住む地域の公共施設が夕方5時30分や6時00分に締まるのなら怒らなきゃ。声を挙げないからダサダサの図書館や公共施設がたくさんできる。で、こんなことを言うから僕は図書館業界から蛇蝎(だかつ)のように嫌われる(会場笑)。

よそ者の方が地方の魅力がよくわかる

田久保:一方、唐池さんは本当にユニークな形で地域に入り、そして「ななつ星in九州」をつくられた。それで今は地域も大変盛り上がっていると思うが、どのような思いを持っていらしたのか。また、何が理由であれがうまくいったとお考えだろう。

唐池:私は九州の生まれじゃない。大阪の南で吉本新喜劇を見て育ったという豊かな土壌をもって(会場笑)、それで九州に乗り込んだ人間だ。そこで、星野さんと樋渡さんがおっしゃる通り、田舎でこそ力が発揮できる面もあったと思う。ただ、「よそ者」だからこそ力を発揮できたというか、九州の良さが分かったという面もある。地元の人にはなかなか分からない魅力があるからだ。東京に住む人で東京タワーに登ったことのある人は少ないという話を聞いたこともある。

星野リゾートさんが全国や世界各地で人気なのも、よそ者だからこそ、その土地の良さが分かるということはあると思う。樋渡さんも東京でのお仕事を経験して、東京の視点で武雄をどうするか考えるようになった側面もあるように思う。私もそうだ。私は九州に来てから、多くの九州の方々よりも九州各地の歴史に詳しくなった。勉強もしたし、現地にも行ったので。すると、本当に良いところが多い。魅力に溢れている。

一方で、こういうこともあった。JR九州は5~6年前、上海に事務所をつくり、「九州を売り込もう」と、事務所長以下、毎日のように上海の企業や旅行会社やマスコミさんを訪問していた。ところが、当時の上海の方々は九州のことをまったくご存知ない。九州という地名を聞いたこともない。中国には「広い州」と書いて「広州(こうしゅう)」と読む地域があるから、「九州も中国のどこかの地域だろう」と思われていたぐらいだ。北海道は映画やTVドラマのロケ地になったりしていたからよくご存知だった。で、あとは東京と京都と大阪と、福岡のように空港がある都市ぐらいしかご存じない。そして、九州としてはまったく知られていない状態だった。

これはショックだった。それまで九州を知らなかった私が九州に行ってその良さを知ったのに、上海ではまったく認知されていない。だから、「次に何かをつくるときは固有名詞に必ず“九州”という言葉を入れよう」と。それで豪華列車の“ななつ星”をつくったとき、あえて「ななつ星in九州」として世界に発信した。それによって、「あ、九州ってそういうところなのか」と、少しは知れ渡ったかなと思う。とにかくよそ者だから地元の良いところが分かったし、よそ者ということが「九州のことを伝えたい」と、私をここまで駆り立てた原動力になったと思う。真面目に喋り過ぎましたか(会場笑)。

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田久保:樋渡さんの著書にも、「よそ者、若者、ばか者が地域をつくる」といったお話があった。この辺について、どのような実感をお持ちだろうか。

樋渡:「よそ者、若者、ばか者が~」という話は皆がしているけれども、それともう一つ、すごく大事だと思うことがある。武雄でうまくいっていた人といかなかった人には、違いというか、両者のあいだに分岐点があった。それは「見せかけの人柄」。見せかけって大事だ。本質的に人柄が良い人というのは、たとえばこの会場にもそれほど数多くいると思えないし(会場笑)、そもそも、そんなのどうだっていい。

ただ、少なくとも人と接したときに好感を持たれる人は、「この人を救いたい」「この人を助けたい」と思ってもらえる。だから、自分に足らないところをきちんと知ったうえで人に接すると、田舎の人は俄然、「助けよう」と考えてくれる。まあ、武雄には温泉もあったから、そこで仲良くなったというのも結構あるけれども。

田久保:星野さんは全国でさまざまな施設を展開しているけれども、星野リゾートの一員として地域で活躍できる人材というのはどういった人たちになるのだろう。

星野:難しい質問だけれども、少なくとも大都市の大企業で活躍している人とそれほどの差があるとは思えない。で、当然ながら能力の高い人が活躍する。ただ、能力が同じなら、地方のほうができることの幅ははるかに広い。そして、若いうちにできる幅が広がれば、それは本人の成長にもつながると思う。

必要とされる能力はあまり変わらない。コミュニケーション力も、調整力も、決定する力も、多くの人を巻き込むリーダーシップも大事。だた、同じ能力を出したときの効果が違うというか、活躍できる幅が広がるのは地方の良いところだと思う。ただし、今はそういう人たちが地方へ行く機会が少ないというのが課題だ。

それともう一つ、余計な話をしたい。人材は、意外といる。でも、押さえつけられているような構造があると、僕は少し感じている。(樋渡氏に)そういうこと、観光協会や温泉組合にありませんでした? 行政と連携している業界団体が意外と大きな力を持っていて、その人たちが少々高齢過ぎると僕は感じている。

だから、地方を元気にするキーワードの一つは世代交代だと思う。もう30代の人たちに権限をバトンタッチしちゃったほうがいい。今は「なんとか協会」や「なんとか組合」が高齢者グループになっている。すべての人を交代する必要はないと思うけれども、もっと若い人たちを入れて意思決定をしていけば大きく変わるように思う。

樋渡:その辺については、流れが結構できている。今までの観光協会は蛸壺だった。高齢者の人たちが長老支配をしていて、市長よりもそっちのほうが偉かったもんね。席順も僕のほうが後だったから(会場笑)。そんな世界なんです、ホントに。

けれども、現在は国の流れとして日本版DMO(Destination Management/Marketing Organization)という話になってきた。外の力を加えたうえで観光協会や商工会議所を並べて、それでインバウンド増加を目指したり、観光の振興させる組織をつくろう、と。それを石破(茂氏:地方創生担当大臣)さんも相当言っているようだ。僕としては、それがまた箱物づくりだけで終わったりしたらどうしようもないから、そこでうまく、皆さんのような人たちに来てもらう必要があると思っている。

あと、星野さんのお話につなげて言うと、やっぱり決定することが一番の醍醐味だ。僕は市長になり、決定するのが仕事になった。これが僕にとって最高の喜びだった。そういう「のるかそるか」という決断を早い段階で味わえるような、決定権を持つ立場になることは本当に大事だと思う。だから、そういうシステムで、星野さんが言ったように若い人がどんどん決定権を持つ場に入っていくとさらに面白くなると思う。

地域の活性化→誇りを持つという循環が地方創生につながる

田久保:一方で、なかなかその一歩が踏み出せない人も多いように思う。住んだことのない地域で何かに挑戦するということが、すごく高いハードルだと感じてしまうこともあるのかな、と。今度、若い人たちがそうしたハードルを越えて地域で活躍するために、地域の側からはどういったメッセージを出していけば良いとお考えだろう。

唐池:ちょっと難しいから話を変えていいですか?(会場笑) 先ほど控え室で、田久保先生は「地方創生という言葉をあまり使いたくない」とおっしゃっていた。で、僕はそれを使おうかなと思っていたから急にやる気がなくなってしまったのだけれども(会場笑)。ただ、言葉の話は別にして、そもそも地域を元気にするってどういう意味なのかなと思う。また、今は日本全体を元気にするという課題もあって、それに対するアベノミクスの評価は分かれている。かなりいい方向に傾きつつあるけれど、それでも「まだここが悪い」「まだ地方が恩恵に浴していない」といった評価があるわけだ。

ただ、全体ではうまくいっているのではないかと私は思う。円安や株高といった経済的効果や、輸出産業がすごく元気になったということもあるけれど、最大の効果として日本人が自信を持ったと思うからだ。ここ10数年間、日本人の心はかなり押さえつけられていた。「日本人はダメなんだ」「中国にも韓国にも負けているんだ」「欧米から相手にされていないんだ」なんて言っていて、報道もずっとそんな感じだった。

でも、この2~3年でいろいろなことをした結果、たとえば輸出産業も軒並み強くなったし、「クールジャパン」といったことも言われるようになった。たとえば「日本の匠の技は世界でもトップレベルじゃないか」と。そんな風に自信を持ち出した。アベノミクスの一番の成果はそれだと思う。地方創生も同じだ。当然、地方が元気になって賑わって、経済活動が活発になって人口と雇用が増えたらいい。ただ、その根本は地域の方々が、自分が生まれた、あるいは自分が住む地域に自信を持つことだと思う。

私たちは「ななつ星in九州」をつくって、それを痛感した。「ななつ星in九州」で九州各地を巡っていると、今でも線路沿いや最寄駅まで多くの方が見に来てくださるし、手を振ってくださる。そうした方々にお話を伺ってみると、私も珍しく褒めていただけたりするわけだ。「JR九州はよくやったね。嬉しい」と。「九州にこんな素晴らしい列車が走ってくれて、九州人として誇りに思う」とおっしゃっていただける。

経済効果が後から付いてきているけれども、それより九州の人々が九州という土地に大きな自信を持つようになったし、地域に誇りを持つようになった。石破大臣も、「地方創生で一番大切なのは、人々が自分たちの地域に誇りと自信、そして驚きと感動を持つこと。それが地方創生のスタートじゃないか」とおっしゃっている。

星野リゾートさんが各地で素晴らしい施設をおつくりになれば、地元の人々のなかで、「うちの地域にはこんなにすごいものがある」という誇りになる。武雄市も同じだ。樋渡さんは最近失敗したけれど(会場笑)、…いや、失敗してないけれども(笑)。「都会にしかなかったTSUTAYAさんが武雄市にできた」と。しかも、それで武雄が全国ニュースに次々報じられる。それで武雄の方々が誇りを持った。「武雄ってすごい。全国区なんだ」と。それが地方創生のスタートだし、最大の本質だと感じる。

樋渡:ちょっと補足したい。「ヒト、モノ、カネ」って、よく言われるじゃないですか。これは順番なんだ。武雄でもいろいろな改革を行うにあたって、まずは人を採った。一時期、市役所の人員は以前と比べて40倍ぐらいになったほどだ。そこで、僕は人柄を見て採っていた。で、ヒトの次にモノが来る。僕らの場合は、たとえば図書館だ。それで最後に経済効果がやって来る。だから「ヒト、モノ、カネ」という順番。それで、結果的に武雄市の税収は10%以上増えたし、借金も100億返した。

田久保:武雄市図書館のような施設ができてから来るのならまだ分かる気がするけれども、なぜ武雄市には最初から多くの人が来るようになったのだろう。

樋渡:あまり報道されなかったけれども、当時は知名度を上げようと思っていろいろなことをした。当初は、「“たけお”って、カンボジアですか?」なんて言われていたぐらいだったから。カンボジアにタケオっていう地域があって(会場笑)。とにかく、知名度がなければ悲しいぐらい自虐的になるし、上がればそれが誇りに直結すると、当時の僕は直感的に思った。「知られるから元気が出るんだ」って。

だから市長になって最初にそれをやろうと思い、あらゆる手段を講じた。たとえば、フジテレビドラマ「佐賀のがばいばあちゃん」のロケを無理矢理誘致した。そこで「フィルム・コミッションを」なんて言っていたって誘致できないから、もう「佐賀のがばいばあちゃん課」という課をつくったりした。まあ、それで調子に乗って「あらゆるドラマ名を冠した課をつくる」と宣言したら、次のドラマが「今週、妻が浮気します」になって(会場笑)、さすがに前言を翻したけれども。でも、知名度を上げるために「ズレた」ことをするとメディアが絶対に取りあげる。そのタイミングも考えながら仕掛けていった。

田久保:そういえば「フェイスブック課」もつくっている。で、それを止めたら…。

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樋渡:Yahoo! JAPANのトップニュースになりましたもんね、「イノシシ課」をつくったらそこの課長が「いのしかちょう」って呼ばれるし(会場笑)。とにかく知られることが大事だし、行政はそれをもっと意識しなきゃいけない。行政が今お話ししたようなことをすればメディアは取りあげてくれるし、その量によって市民の感情も盛りあがる。自治体が自分たちでどれほど情報発信をしても、やっぱり朝日や読売や日経が書いてくれたほうが盛り上がる。そういうことが、やりながら分かっていった。

田久保:そのあたり、星野さんはどのようにお考えだろうか。

星野:地域の誇りに、最終的につながればいいというぐらいで、それが目的というわけでもない。我々としては何かの手段で集客することが最大の目的なので。ただ、その手段として、地域の魅力や文化を発信することが最も継続性を担保できると思う。他の地域からつくりものを持ってきても、それは進化しないし継続もしない。

バブルの頃、そういう「なんとか村」が日本中にたくさんできたけれども、なぜ失敗したかといえば継続性に問題があったから。継続させるためには地域の魅力や文化や自然といった、地域らしさを出すこと。そこで深堀りすればするほど面白いものが出てくる可能性もあるし、スタッフも動ける。それが最大のメリットだと思うし、その結果として、地域の誇りや働きがいにつながればいいと思う。

それと、先ほどの人材に関するご質問に改めて答えるとすると、地方に来てもらう最大のメリットは稼げることだと思う。「実入りがいい」というか。同じ能力で同じ年数を過ごしたとき、都にいることが本当に収入の最大化につながるのか、地方で活躍する場を持ったほうが生涯年収は増えるのかというのは、よく考えたほうがいい。

若い人たちがこれほど大都会にこだわるのは日本だけだと思うし、本来なら、「どこに身を置くと自分の生涯年収が最大化するか」と考えるほうが普通ではないか。で、そう考えると、日本では何かの能力を生かそうとしたとき、都会よりも地方のほうがはるかに多くの稼ぎを得ることができると思う。もっと言うと、同じだけお金を稼いでも地方のほうが有効に使える。家や土地を買うにしても価格や広さがまったく違うし、通勤の快適さも違う。そうした経済的な理由が地方で暮らす最大のメリットだし、そこをもっとアピールすべきだと思う。

※開催日:2015年7月4日~5日

→観光・鉄道・行政を通して、地域の魅力をプロデュースする改革者たち[2]は7/17公開予定

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