950社の制度を一元化!日立の壮絶グローバル人財戦略 

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日立製作所が取り組む、グローバル展開における人財マネジメントの要諦[1]

4184 1 山口岳男氏

山口岳男氏(以下、敬称略):今日は日立でどんなことをしてきたかというお話をしたい。これは成功した話でも終わった話でもなく、オンゴーイングでずっと続く話だ。その過程でいろいろなことが起きている。だから、「こういう風にしたらできました」ではなく、「こういう点で悩みながら続けています」といった話になる。

前段ではテーマに従って、グローバルな事業展開を人財部門としてどのように支えているかという話をしたい。アジェンダは「日立と日立のビジネス戦略」、そしてそれに伴う「人財戦略」。「人財戦略」についてはグループ・グローバル人財戦略をご説明したうえで、戦略の実行にあたって不可欠となる人財部門の変革について、そこで目指す姿とともにお話ししたい。あとは人財育成についてもご説明したい。そのうえで、「今後の方向」というお話をしたいと思う。

まずはビジネス戦略について。日立の創業は1910年。現在の連結売上高は2013年度で9兆6162億となり、従業員はおよそ32万名。大きな会社から小さな会社まで寄せ集まっているようなグループで、ストラクチャーは大変複雑だ。社内にカンパニーやグループ会社が多く、そのグループ会社にも上場企業や合弁企業といった、いろいろな形がある。また、それぞれの会社がさらに社内カンパニーやグループ会社を国内に持っていて、さらにそのグループ会社が海外にグループ会社を持っていて、そのまた海外グループ会社が別のグループ会社を持っていたりする。そのすべてを合わせて日立グループと言っていて、企業数は950社におよぶ。

そこで私がどこにいるかというと、日立製作所のコーポレート人財統括本部になる。そこで全体をまとめる仕事に就いていた。ただ、そういう仕事はこれまでの日立にはなかった。「自分たちで商売をして生きていけ」と言ってきた会社だ。それがグループとしてやっていくことになった、と。でも、それまではコミュニケーションというと日立製作所であれば日立製作所のなかが基本。だからグループ内でコミュニケーションと言っても、どんな風にとっていけばいいのか分からない。そのプロトコルもなかった。そういう部分から考えざるを得なかった。HRも各会社にいて、総務も含めるとグローバルで5000名ほどになる。そういう人々にどうやってアクセスするか。当初はどこにどんなスキルや経験を持った人がいるか、ほぼ分からなかったというのが実態だ。

ビジネスのセグメントも、情報・通信、電力、社会・産業等々、多岐に渡っている。だから、なおさら「勝手にビジネスをして自分たちで生きていけ」と言っていて、どうしても遠心力が働く方向にあった。それを一つにまとめるのは大変難しい話だった。何かメリットがないとそういう形にはならないし、いまだ難しさを感じている。100年の歴史があるわけで、そう簡単には変わらない。「One HITACHI」という方向は理解していると思うが、実際にそれが行動になって表れているかというと、まだまだ問題がある。

で、グローバルでもいろいろなところでいろいろな仕事をしている。中国もインドも含めるとアジアでの売上がすごく大きい。2015年現在の中期経営計画では ‘Growth’が最大のアジェンダ。イノベーション、グローバル、トランスインフォーメーションという三つの柱で成長しようというのが基本的なビジネス戦略になる。それで2015年度に10兆円超の売上、そして7%超の営業利益という数値目標を決めて、各会社および部門がその達成・実現に向けて努力していこうということで今はやっている。今年は14年であるし、本当に重要な時期だと言える。

国内と海外を分けてみると2013年度の海外売上比率は45%。国内市場の売上がいまだ55%を占めている。国内は大変重要だし、今後も注力していくことは間違いない。ただ、長期的に見れば国内はそれほど伸びないという見立てがある。大きく成長して、利益率を10%に高めていくこと考えると、やはり海外マーケットで伸ばす以外にない。従って、来年の海外売上比率は50%を超えるぐらいに伸ばしたい。50%を超えるといろいろなところに大きなインパクトがあると思う。

ただ、35万人の人員だけをとってみても国内では減っていき、海外では増えていく方向にある。そこで、僕らが今までやってきた伝統的人事マネジメントで海外の人たちを本当にマネジメントできるのかという問題がある。タレントを採用できるのか、人財を育成してリテインできるのか。すべて「ノー」だ。まず無理だと思う。だから何かしなければ人財部門はやりきれないという話になった。また、人的生産性や人員についても今後はいろいろな場で株主の方々に質問を受ける可能性があると思っていた。実際、今年のIRでは、香港とアメリカでの株主会で人員に関する具体的質問を受けている。そうこまで考えると否応なしに対応していかなければいけない。

そこで人財マネジメントもグローバルに共通化しようと考えた。今までは各社各国で個別最適。極端に言うと950社で950通りの人事制度があった。それを合わせるというのを今まではほとんどしてこなかったけれど、今後はグローバルベースで全体最適に持っていく。では、どこをグローバルで共通にして、どこを個別施策として残していくのか。基本的には人財データベースやグレーディングやタレントマネジメントといった、人財マネジメントのインフラ部分をすべて共通化しようと考えた。

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ただ、僕が本社の人財統括部に着任した3年半前、少なくとも僕がいたところからは世界がまったく見えなかった。世界のどこに日立のマネージャーやエグゼクティブ、あるいはHRやファイナンスやセールスが何人いるか、まったく分からない。950社に「どうなってるの?」と個別に聞けば分かるけれど。だから、「とにかくそれを分かるようにしよう」と。株主に対しても、950社のガバナーという立場でデータを把握していなければいけないということが最低限あったので、そこから手をつけようと考えた。

具体的には、日本固有のものも地域固有のものもあるだろうし、個社固有のものもあるだろうし、そこは残すこともある。だから、まずはコンセプトとして何を共通にしていくかを決めた。「ビジネスの部門に対してこういう約束をしよう」と。僕らがなんのために共通施策をとるのかと言えば、儲けることをサポートするためだ。直接儲けることはできないから、人と組織を通じて儲けことに貢献する。そして、それは人と組織の競争優位をどのようにつくるかという話になる。市場で勝つ組織と人をつくることが、僕らが最初に目指したことだ。ビジネスに対する人財部門としてのバリュー・プロポジションというか、「こういう価値を提供します」と。それを決めて宣言した。だから、市場でコンペティターに勝つ組織・人をつくることが僕らの約束になる。

その実現のためには、たとえばグローバルな適材適所が必要だし、エンゲージメントやモチベーションの高い組織と人をつくる必要がある。そのためには、タレントマネジメントや採用、あるいはワークフォースプランニングが必要だ。それを支えるのが、グレーディングやデータベースといった人財マネジメント基盤になる。そういう構図を見せて、「僕らはこれでビジネスに貢献するんだ」と。「人財部門のためではなくビジネスのためにグローバル人財施策をやるんだ」と宣言をしてスタートした。

スタートにあたっては本社の組織も変えた。それまではグローバル施策をそれほどにやっていなかったからだ。国内施策のチームがその延長線上でグローバル施策なるものを考えていたので、それをひっくり返した。グローバル人財部門をつくり、その下に日本国内チームを入れて5極を並べた。グローバル人財部門の下に日本やアメリカの人財部門がある、と。これ、国内部門からすれば、「なんだこれは」という思いがあったと思う。それまではすべて自分たちがポリシーを決めていたのに、それが決められなくなったわけだから。それに対する反発もあったと思う。

で、人財部門としてどのように価値を提供していくかを考えるうえで、最初に決めたゴールは、「グローバル人財部門は2015年にグローバルでワールドクラスの人財部門になる」だった。最初にその話をしたときは誰も信じなかった。「どうせ言うだけで、あとは忘れるんだろ?」という感じだったと思う。そこで目標を実現するための戦略をつくり、それを三つのフェーズに分けた。フェーズ1はマネジメント基盤をつくること。最初は何もなかったので。で、フェーズ2では人財と組織のパフォーマンス最大化を掲げた。とにかく三つのフェーズで実現していこうと決めて、その通りにやってきた。

だから、僕はチームの前で話をするときは必ず同じ表を見せて同じ話をした。最初はまったく信じてくれなかったので。グローバル人財本部は、「グローバルタレントマネジメント」「トータルリワード」「ビジネスパートナリング」という部署で構成されていた。全部カタカナ。だから「分からん」と言われる。でも、「(最初は)分からなくてもいいや」と。「仕事をしていくなかでだんだん分かってくるだろう」と、僕はあまり気にしていなかった。実際、それで同じことを言い続けて少しでも実際の成果が出てきたら、少しずつ信じてきてくれているなあという実感が持てた。とにかく、戦略とロードマップをきちんと示し、「この通りにやるぞ」ということで項目ごとにプロジェクトをつくってやってきた。コーポレートで僕の下にいた人は30名。それでスタートしている。

で、3年と少しやってきて何ができたかというと、一つは「人財DB」。25万人の個別データが今は一つのDBに入っている。どの地域のどの会社に、どういう人がどれほどいるかが今は分かる。今はそれを、たとえばワークフォースプランニングでどのように使っていくかという段階だ。最初にこれをつくるときは大変な抵抗があった。「俺たちにとって何がいいの? 本社で人員を知りたいだけでしょ?」と。そのために手間をかけてくれるなという反応がほとんどだった。まあ、それでも今は25万人分だ。現場で直接労働している人たちは、特に海外では退職率が大変高いので除いた。で、僕らが目標とする27万~28万人にはまだ足りないが、それでもこのぐらいの数字が集まった。これを経営会議に出せば少なくとも現状がどうなっているかは分かる。

たとえば東南アジアで伸ばそうとしたとき、「この地域にセールスは今どれぐらいいるんだっけ?」と。国別、地域別、会社別で、セールスについてどのレベルの人財がいるかも分かる。そこで、「あ、これぐらいしかいないのか」「この部門、これほど必要なの?」といったことも分かる。それで施策が打てる状況になりつつある。

で、二つ目は「HGG(Hitachi Global Grade)」。5万におよぶマネージャー以上のポジションをマッピングした。日立製作所は10月1日から資格制度を止めて、およそ1万名がグレードに移行している。また、「GPM(Global Performance Management)」。これは2013年に導入して、今年は日立製作所の3万5000名ほどが入ったから今は4万名ほど入っている。来年は7万人ほど入れるから、10万人を超える人たちが一つの制度でパフォーマンス・マネジメントを行うことになる。また、採用についてもグローバルでエンドtoエンドのプロセスをつくり、それをシステムに乗せてスタートした。従って、少なくとも僕らは今、どの地域でどの会社にどれほどの空きポジションがあるか分かる。また、それが何人ほど埋まっていて、そのためにお金がどれほどかかり、採用ソースはリクルートエージェンシーなのか、それともリファーラルなのかといったこともすべて分かるようになった。それを日本にも入れようとしている。

それから、「GRD(Global Leadership Development)」という優秀者選抜の仕組みも入れた。また、「リーダーシッププログラム」という実際のトレーニングプログラムは、3年間で6500人のマネージャーに行っている。そして、「従業員エンゲージメントサーベイ」。これは今年、グローバルで15万3000名を対象に行った。こういうことができるようになったのもDBがあるからだ。なければサーベイもパフォーマンス・マネジメントもできない。グローバルで何かやろうとするならDBは絶対に必要だ。最初によく考えなければいけないのはHRテクノロジーをどのように使うかだと思う。

これ以外にも、たとえばリクルートエージェンシーとのグローバル契約を行った。ベネフィットプログラムに関しても同様だ。従来は保険のブローカーや保険会社、あるいはリクルートエージェンシーやペイロールについても各会社が好き勝手にローカルベンダーを使っていた。そこに僕らのコントロールもなかった。「これは無駄だよね」と。今はそれをまとめようと、ベンダーを一つに決める作業をしている。リクルートについても各地域にグローバルリクルートエージェンシーを…、一つというわけにはいかないから、2~3つのグローバルエージェンシーを決めて、そこを使う形にした。それで効率を高め、コスト削減を行ってきた。

そうしたことを3年半ほどかけてやってきたわけだけれど、やっぱり非常に大変だった。グローバルパズルというか、「ルービックキューブみたいだな」と。いくら解こうとしても面が揃わないような思いを持ちながらやっていた。何が難しかったかというと、組織がすごく複雑でどこの誰と話していいか分からない点だ。たとえば日本では親会社と海外子会社という言い方をするけれども…、もうそういう言い方は止めようと思うけれども、たとえば海外の会社と直接コミュニケーションをとると「なぜ直接やるんだ」と言われる。でも、その会社が海外の会社ときちんとコミュニケーションできていない。「でも本社の人にやって欲しくない」と言う。そういうことがあってすごく難しい。

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従って、実行に対する抵抗・レジスタンスがあった。我々の施策がきちんと理解されていない面があったからだ。それまでやったことがなかっただけに、「グレードってなんのためにやるの?」と。「DBで何をするの?」「パフォーマンス・マネジメントと言うけど目標管理があるじゃないか」という話になる。そこで一つひとつ細かく話をしながら進めてきたし、今でもそれをしている。

この取り組みを始めた頃の率直な感想を言うと、最大の敵は人事部門だった。頑迷固陋というか、とにかく「自分たちはやってる」と言う。パフォーマンス・マネジメントをやると言っても、「いや、目標管理という形でやってるでしょ?」と。グレードにするというと、「なんのために? 日本は関係ないよね」。DBにするというと、「仕事が増えるだけでしょ?」。そこを突破しないとビジネスができない。だから10%でも20%でもいいから自分たちがやっていることを理解してくれる仲間づくりが重要だった。

そうなるのは止むを得ない面はある。それまではボトムアップの文化だった。物事を進めるとなると、だいたい委員会か何かをつくって下から持ち上げながらやってきたからだ。それをまったくやらず、「これだ」というのが上から降りてくる。トップダウン的なやり方に、時間がなかったのでせざるを得なかった。だから、マネジメントを変えていく必要があった。どういった層に対して、どういったタイミングで、どんなコミュニケーションを取っていくかが大変重要で、それが成功の鍵になると思っている。

そのなかで学んだことは、テクノロジーパートナーをきちんと見つけること。また、僕らもすべてを分かっているわけではないから、外部の知見を入れる。もちろんコミュニケーションの必要性も学んだ。ワークショップを国内でも海外でも、何十回も行った。およそ5000名のHRは参加したと思う。加えて、プログラムトレーニング、システムトレーニング、IRニュースレターの発行等々、いろいろなことをやった。HRミーティングまたはグローバルHRミーティングも行ったし、コミュニケーション用メディアも制作した。中西(宏明氏・株式会社日立製作所会長)さんへのインタビューやメッセージ、あるいはパフォーマンス・マネジメントの説明DVDもつくったりしていた。下手をすると何百回も同じ説明をせざるを得ないなと思っていたから、メッセージが届くようDVDに…、まあ、少しドラマ仕立てにつくった。それを配ってトレーニングをしたりしていた。

あと、プロジェクトで日本人だけで進めないことも大切だ。グローバルでやるなら日本人だけでは難しい。各地域のHRを巻き込みたいと考えていたから、そういう人たちをすべてプロジェクトに入れた。そしてプロジェクトマネジメントオフィスをアメリカに置いて、そのマネージャーにアメリカ人を採用した。今はアメリカに7名ほど、僕ら本社の仲間がいる。その人たちと一緒にやってきたからできたのだと思う。グローバルで何かやるなら日本人だけというのは止めたほうがいい。ローカルの人々をきちんと入れるべきだ。もちろん面倒くさい。資料もミーティングもすべて英語になるから。でも、そのほうが結果的には絶対に早く進むという実感がある。大変だったが、3年間経ってみると皆がそれなりに勉強して成長する。英語がぜんぜんダメだと思えたような人が、それなりに英語で仕事をするようになる。だから、やらせたらできると信じて進めるしかないと僕は思う。それがこの仕事を通じて学んだことだ。

それともう一つ、説得あるビジネスケースも重要だ。彼らのビジネスにとって、その施策の何が良いかをきちんと説明しないと絶対に頷いてくれない。これはHRに対しても同じ。「この施策はグローバルに云々」と言っても、「俺たちにグローバルは関係ないよ。海外でやってないから」となる。中西さんに対してはその説明で説得力を持たせることができる。でも、各会社にインプリメントをお願いする際は、それぞれの施策が彼らのビジネスにとって意味があることを伝えないといけない。少なくともメリットがなければ絶対にやらない。それを一つひとつ詰めて説明することが重要になる。

たとえばペイロールや従業員ベネフィットのベンダーを統一すると言っても、やっぱり変えたくない。自分たちとつながりがあるから。でも、変えることでボリュームが増えて保険料のプレムミアムやペイロールの料金が下がるといった具体的な金額を示したら、「あ、じゃあ、やるか」となる。そこまでいかないと、「うん」と言ってくれない。大変だけれども、そのステップは外せないと思う。

幸運だったのは、変えるという経営トップの意思があり、経営トップがドライバーになっていた点だ。人財部門だけでこういうことはできなかった。トップが「やるべきだ」と言ってくれたからできたのだと思う。ビジネス環境がそういう風になっていた。海外売上比率を40%から50%超にしようと考えると、それまでの伝統的で日本的な人財マネジメントでは難しいことが明らかだ。「だから変えなきゃダメなんだ」と。従って、やれるかどうかという意味では会社としてのレディネスという面もあると思う。少し遅かったかなとは思うけれども、それがあったから経営トップがドライブをかけてくれたと思う。

で、プラットフォームという意味では3年かけてだいたいできたと思う。グローバル企業がやっているアクティビティはほぼカバーした。レベルや深さまで考えると話は別だけれど、少なくとも面はカバーした。あとはどうやって実行していくかが一番のポイントだ。で、それが一番難しい。ゴールのセットや戦略を策定というのはやさしいんだ。書くだけだから。インプリメントもお願いして説得すればなんとかやってもらえる。ただ、実行は大変だ。僕らもそれほど言っているわけじゃないから、ビジネスラインがその気になっていないといけない。パフォーマンス・マネジメントやグレードを使ってビジネスにどんなインパクトを与えるのか。本当にこれからが正念場だと思う。これを通してビジネスにインパクトを生まれなければ「HRは何をやってるんだ」という話になる。

たとえば、単に資格制度がグレードになったと思われているのなら、僕らはアウト。まったく別物だ。目標管理という名前がパフォーマンス・マネジメントという英語になっただけだと思われていたら、これもアウト。日立では、目標管理とはHRプログラムであって給料を決めるツールだと思われていた。「そうじゃないんだ」と。「パフォーマンス・マネジメントはゴールを達成するためのビジネスプロセスだ」と位置づけた。だからオーナーはHRでなくビジネスラインのマネージャー。僕らは議論のファシリテートはするけれど、オーナーはビジネスライン側だということでその予算に埋め込んだ。予算のなかで今年のゴールは何にするかを議論してもらった。

で、その評価軸には、「何を達成するか」というパフォーマンスと「どうやって達成するか」というコンピテンシーを置いた。コンピテンシーを社長に一つ選んでもらって、その下のレイヤーでも一つか二つ選んでもらった。その三つぐらいが自分たちのゴールを達成するための、いわばHOWの部分。システムに入ると、会社のゴールから中西さんが選んだコンピテンシーがすべて見える。そこからカスケードダウンして自分のゴールを決める仕組みにした。だからマネジメントにとっては使い勝手がいいと思う。すごく期待感が高い。だから僕らは余計に少し怖い。マネージャーが本当に趣旨を理解して、そういう行動をとって、パフォーマンスを上げてゴールを達成することにつながらないと、「やっぱりダメか」という風になるから。そうならないよう、とにかくマネージャーに対するトレーニングや教育やコミュニケーションを徹底してやろうとしている。

実際、その辺はまだよく分かっていないんじゃないかと僕は思っている。ゴールをセットしてから評価するまでのあいだに何もしなければ、何も変わらない。重要なのは評価までの期間、日々のオペレーションでマネージャーが部下に対してどういったアクションを取っていくか、だ。そこがきちんとしていないと、これはうまく行かないと思う。その意味で、マネージャーの役割の再定義も大切だと考えている。

グローバルグレードについても同じだ。「人」基準から「仕事」基準に、働き方を変えるという部分が理解されないと、恐らくはうまくいかないと思う。そこでさまざまなトレーニングを用意しているし、コミュニケーションも通して行動を変えていく。行動を変えるためにはマインドを変えないといけない。マインドを変えるためには理解してもらう必要がある。理解をしてもらってマインドを変えて行動につなげる、と。そんな風にしてなんとかやっていきたい。

そういうことをしていくなかで、人財部門の視野をもっと広げていかなければいけないなと思う。今までは国内だけを見ていても良かったけれど、海外の人たちが半分以上になれば海外を無視した施策は考えられない。今は、コミュニケーション一つとってみても、海外にいる人たちのことを忘れがちでしょ? そこを変えていかないとダメだと思う。今、僕らは大きな戦略的転換点にいるのだと思う。うまく転換して、HRの新しい高みに行きたい。この戦略転換期は4~5年のスパンだと思うから、このあいだにどこまでやりきれるかが重要だと思う。

→日立製作所が取り組む、グローバル展開における人財マネジメントの要諦[2]は5/7公開予定

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