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KDDI江幡氏×LINE 森川氏×日本GE安渕氏 「大企業とベンチャーのアライアンス戦略 -ベンチャーのDNAを大企業の成長に活かす」

投稿日:2014/12/02更新日:2021/11/29

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井上陽介氏(以下、敬称略): 本セッションでは、「大企業とベンチャーのアライアンス戦略」ということで、ベンチャー企業のDNAを大企業の成長へ生かすための議論をしたい。今日はそうしたアライアンスを積極的に推進していらっしゃる壇上の御三方に3つの論点を提示したい。まず、3社それぞれにオープンイノベーション型の取り組みをしていると思うが、成功も失敗も含めて、その中からユニークな事例をご紹介いただきたい。また、大企業とベンチャーによるコラボを進めるうえで、どのような難しさがあるのか。その乗り越え方も併せてお伺いしたい。(01:32)

2点目は、そうした取り組みを進めていくうえで、どうすればスピード感やアントレプレナーシップを高めていくことができるのか。特に大企業としては現在の激しい環境変化に合わせていかなければいけない点が大きなポイントだと思うが、そこで工夫していらっしゃることが何かあればぜひお伺いしたい。

そして3点目は、経営者またはリーダーとして、どのような思いとともにカテゴリを乗り越えてコラボを行い、新しいサービスをつくり出してきたのか。

まずは安渕さん。GEではどんな取り組みを行っていらっしゃるのだろう。アライアンスというものを広義に捉えて、オープンイノベーション型の取り組みをどのように進めていらっしゃるのかをお伺いしたい。(02:42)

33132 安渕 聖司氏

安渕聖司氏(以下、敬称略): 私は日本ではGEキャピタルということで金融事業をやっているが、今日はGE全体のお話をしたい。我々は毎年1月、フロリダのボカラトンに集まり、GE全体のベストプラクティスを徹底的に叩き込まれるというキックオフを行っている。ただ、その雰囲気が2012年頃から少し変わってきた。起業家やベンチャービジネスに関わる人がゲストスピーカーを務めることが増えてきた。(03:53)

そのなかの1人がベン・カウフマン。Quirkyというサービスを立ち上げた人だ。Quirkyは、たとえば家電製品などをオープンイノベーションやオープンコラボレーションでつくっていて、彼らのサイトに行けば誰でもアイデアを投稿することができる。現在は全世界で60万人のイノベーターやインベンターとつながって、さまざまな商品をつくっている。彼らは毎週ニューヨークに集まり、どれを商品化するかという会議を行っているが、それもオープンでテレビ中継されている。そうしたベンチャーのトップをお呼びしたのだけれど、2013年にはそのQuirkyと我々自身が提携した。(04:28)

我々は航空機エンジンなどの大きなものをつくっているが、これらはなかなか形になりにくい。そこで、我々が持っているものは何かと考えてみると、いろいろなテクノロジーやパテントを持っているのに使っていないものがたくさんあるというのが分かった。「では、それらをQuirkyとシェアして商品化してもらってはどうか」と。それで2013年にオープンなコラボレーションを始め、商品化を行ってきた。(05:14)

それともう1つ。我々はこの提携のなかでアプリケーションをつくり、それらを同じ基準で次々にコネクトさせていく「Wink」というプラットフォームをつくった。それで次々と商品をつくっていく。現在はヘルスケア商品やホームセキュリティ商品といったものもつくり始めている状態だ。そういうことを2012~2013年にずっとやってきて、今ではそれが新しいものを生み出す1つの土台になってきた。(05:41)

井上: 特許技術を含めてテクノロジーを「シェア」するのはハードルの高い取り組みかと思う。そこに対する躊躇はなく、一気にブレークスルーできたのだろうか。(06:07)

安渕: 何にどう使えばいいのか分からない技術を我々は多数持っている。たとえばホログラフを使ったストレージ。DVDやブルーレイに比べて何百倍もの容量を実現できるが、それをどう使うかというアイデアがなかなか出ていなかった。航空機エンジンの部隊も火力タービンの部隊も同じだ。そういう技術が多かったため、「外に出してしまおう」と。その1つのきっかけはQuirkyだが、GE全体として「外のスピードについていくためには我々が中で考えていても仕方がない」との思い切りがあった。(06:27)

33133 江幡 智広氏

江幡智広氏(以下、敬称略): 私自身は2000年代ぐらいから、KDDIのコアとなる通信部門ではないインターネット領域を中心に仕事をしてきている。直近の取り組みではベンチャー企業の方々とお仕事をする機会が多い。現在は「∞ Labo」というインキュベーションプログラムを回しているところだ。これは、「ベンチャーさんをグローバルに育てていこう」という考えを基に3年ほど前にスタートさせたプログラム。これを3年ほど回してきて、私たち自身にも多くの気付きがあった。まず、KDDI単体でできることとできないことが分かってくる。そこでパートナー企業とともにベンチャーを育成しようと、「パートナープログラム」というのも今夏に立ち上げた。大手企業さん13社とKDDIという枠組みで、ベンチャーさんを立ち上げるといったプログラムだ。(07:30)

立ち上げ時の思いは、「グローバルで戦えるベンチャーを、私たちとの関わりあいのなかでどうにか育てていきたい」というものだ。ただ、私たちとしてはそれ以外に、KDDIのなかにもっと風を吹かせなきゃいけないという思いもあった。私だけでなく、社員が起業家のマインドに触れる機会を数多くつくっていこうと考えた。(08:40)

それもある程度形になってきたと思ったとき、「大企業さんとのコラボレーションでもっと大きくできるのでは?」と考え、そこから2つの思いで立ち上げている。その1つは、KDDIだけでは足りないところをパートナー企業さんとともに大きくしていくというもの。ただ、それなりの規模を持つ会社が1対1で提携すると、かなり重いケースも出てくる。互いに、「うちの会社ではこう」「いや、うちではこうだ」と。実際に交渉している人間同士であればもっといろいろなことが描ける気もするけれど、それぞれ会社に戻るという手前もあるのでなかなか難しかった。

それを「企業同士で別の会社さんを支援しながら大きくする」という3社パートナーシップにするとどうなるか。皆がそうした問題から少し解き放たれ、誰かにとって最も良い形に向かって精一杯支援できるというか、事業を一緒に考えることができるとの思いがあった。(09:11)

それともう1つ。ベンチャー企業は社員も少なく、お金の面もかなり大変だ。会社のなかに各種ファンクションがない。何千~何万人もいる大企業なら総務や広報や経理といったさまざまなファンクションがある。だから、何か困ったときにたぶん社内ですべて解決しようとする。でも、ベンチャー企業では人もノウハウも足りていない。だから、「分からないことは外に聞こう」と、オープンマインドやっていかざるを得ない。結果的にはそれでネットワークが形成されるわけだけれども。大企業はそれを内部で終わらせてしまうから、大企業同士のコラボレーションもなく、社内の課題も外にまったく出ないから、それで大手企業同士のコラボレーションも生まれにくい面があった。今回のパートナープログラムでそういった面も解決できるような仕掛けができればいいなと思う。(10:29)

井上: ベンチャーが入ると協業が大きく進むとの実感をお持ちなのだろうか。(11:34)

江幡: 具体事例は申し上げにくいし、関わるメンバーが一番大事というのはある。ただ、相手が1つ増えるだけで、そこに向かって両者が進めるという感覚はある。(12:08)

33134 森川 亮氏

森川亮氏(以下、敬称略): ユニークかどうかは分からないけれど、ベンチャーとして成功するためには「大企業さんがやらないこと」をしなきゃいけないと考えて、僕達はビジネスを続けてきた。一番大事な点は新しい価値を定義して、それを具現化したうえで多くの人に使っていただくことだ。それで僕たちは最初にLINEというコミュニケーションツールをつくり、ユーザーさんを増やしていった。今はプラットフォームができたので、それをオープン化していろいろな会社に乗っていただく段階になる。(12:59)

ただ、ベンチャーとして大企業さんとお付き合いするうえで一番難しかったのは、成功事例があるかどうかを聞かれる点だ。「新しいものに成功事例なんてあるわけないじゃん」と。また、「競合他社はやっているんですか? どこまで進んでいるんですか?」とも聞かれる。結果として、ある程度進んでくると、「じゃあ、試しにこのぐらいやってみましょうか」となる。でも、そこで出てくるものは大抵が実験段階のもので、しかも今まであったものの表面を少し変えただけ。僕たちはそれで成功できると思わない。今までにない、あるいは今までのものを壊すほどの価値を、その会社のトップレベルの人に出してもらって、そのうえでコラボレートしたい。それで、当初は大企業さんとのお付き合いができず、ベンチャー同士のお付き合いのほうが増えた。(13:38)

たとえばスタンプに関しても、有名なキャラクターほどその世界観を壊したくないという話になる。「変な顔をさせたくない。怒ったり泣いたりさせたらダメです。先生に申し訳ない」と。それで結局は有りモノを集めてくるようになってしまう。ただ、そこから自分たちでキャラクターの成功事例を出せたから、そこで初めて乗ってきていただくということがある。今はどちらかというと内部で成功事例をつくり、それでオープンにするという段階になっている。(14:35)

井上: 成功事例がなく他社の参入がない領域には大企業も入ってこないと。(1510)

森川: そう。現場の人はやりたがるけれど、課長や部長に止められる。あるいは社長がそもそもLINEのことを知らず、「ちょっと難しいんで森川さんからお願いします」なんていう話になって(笑)。それで社長にこっそりお会いして、LINEについて教えたりするような地道な活動もしている。(15:21)

井上: 当初はベンチャー同士でのコラボレーションで成功事例をつくったとのお話だったけれど、そこに大企業が踏み込んできたような事例はないのだろうか。(15:40)

森川: どうしても実績が大事になるので難しい。実績がない状態で夢を語っても、「検討します」という状況になってしまう。一部、たとえば創業者によるトップダウンということはある。ただ、一般的な大企業ではどちらかというと、まず部長や課長が理解して、それで分厚いパワーポイントで社長に説明する、みたいな(笑)。「3年で儲かります」と。そういう形じゃないと難しい。(16:16)

33135 井上 陽介氏

井上: KDDIさんやGEさんは、ある意味ではそういう部分にチャレンジしていらっしゃると思う。やはり大企業では大きなビジネスサイクルが回っているから、ベンチャーのスピード感になかなか付いていけない現実があるように思う。そうした壁を乗り越える取り組みとして何か工夫していることはあるだろうか。(16:57)

安渕: 2つある。1つはトップから文化を変えていくことだ。私は先週、カリフォルニアのマウンテンビューにあるシンギュラリティ・ユニバーシティというところに3日間ぶち込まれ、ロボティクスやAIやデジタルバイオロジーといった最先端テクノロジーの情報シャワーを徹底的に浴びた。そのときはGEのトップ650人から30人ほど選ばれている。そこで、もう頭がおかしくなるほど先端技術に関する知識をぶち込まれる。「お前ら、これについていけないと終わりだぞ」というメッセージだ。(17:41)

ただ、「帰ってそのまま喋っても頭がおかしくなったと思われるから気をつけて」という注意事項があったけれども(会場笑)。「少し翻訳してビジネスのコンテキストに直すように」と。とにかくそうしたことをやって、どんどん上のほうが「変わっているんだぞ」というメッセージを組織に送っていく。実際、そこで目の見えない方が乗っているグーグルカーのデモンストレーションビデオを見て大変な衝撃を受けた。「こんな使い方ができるのか」と。そうしたことを我々のレベルで体内に取り込んで、そのあと広げていく。「エバンジェリストを上からつくる」というやり方がまず1つある。(18:24)

井上: それはイメルトさんがコミットしていらっしゃるのだろうか。(19:06)

安渕: もちろん。トップ650人はイメルトが選んでいるから、その人たちに何をさせるかという点で彼が「どんどんいけ」という感じになっている。で、それともう一つ。これはエリック・リースの「リーン・スタートアップ」(日経BP社)が大きなきっかけになった。イメルトがそれを読んで、「これはすごい。これをやらなきゃ」と。それでエリック・リースにコンサルタントとして来てもらい、「仕事のやり方を完璧に変えよう」となった。(19:11)

ポイントは2つ。1つは「君たちは本当に大胆な仮説でトライしているか?」、2つ目は「ちゃんと失敗しているか?」。大胆な仮説は失敗することが多いから、失敗をきちんとシステムに取り込みましょうという話だ。ただ、それを失敗したと言ってしまうと皆がっかりするから、最近の流行り言葉で‘Pivot’と言っている。大胆な仮説でサイクルを回し、いわゆるミニマムバイアブルプロダクトをつくってお客様のところへ行く。そして次のステージが‘Pivot or Persevere’。方向転換するのか、そのままやり続けるのか。必ず1つのゲートになっていて、そこでたとえば‘Pivot’しても失敗でもなんでもない、と。早期の失敗を早く取り込むということをやっている。(20:11)

大企業はどうしても失敗を嫌う。森川さんがLINEの話をすれば、皆、「LINEってなんだ?」となり、「とりあえず検討しよう」という話にはなる。ただ、それを我々がやっているサイクルに入れると、そこでお客さんに「面白いですか?」と聞きに行って、「面白いよ」と言われたら、「じゃあ、もっとやってみよう」となる。ベンチャーにあって我々にないのは‘Pivot’する精神。1つの過程がうまくいかなかったとき、すぐ次へ行く。それでどんどん変わっていって、成功するまでやり続けるのがベンチャー精神だと思っている。それをどのように学ぶかだと思う。全部やりきるのは大変だけれども。(21:06)

井上: そうしたサイクルから具体的成功事例は生み出されているのだろうか。(21:53)

安渕: いる。今年はもうプロジェクトを3つやっている。そのうちの1つはウェブベースのアプリケーションをつくるというもので、これはすでにローンチした。お客様のところにミニマムバイアブルプロダクトのようなものを持っていって「どうですか?」と。で、「これじゃ使えない」とのことで、2週間ほどで直してまた持っていった。それでローンチできた。デジタル化の面ではかなり違ったことができるようになったと思う。(22:10)

井上: 江幡さんにも伺いたい。ベンチャーと向き合いながら、どのようにスピード感とアントレプレナーシップを高めていらっしゃるのだろう。(22:38)

江幡: 僕も「通信と通信以外」という言い方をしてしまうときがある。でも、会社としてはそんなふうに分けるのでなく、新規事業をコア事業のなかに当てはめていく活動をしてきている。KDDIなら一番のコアはauのモバイル通信事業だ。それと密接にくっつきながら、コア事業にイノベーション・新規事業を当てはめていく。「auスマートパス」、あるいは決済系の「au WALLET(エーユーウォレット)」といったサービスは、全社が掲げる「3M戦略」というものに埋め込む形としている状態だ。単純に別の収益を生むためという理由で新規事業をやるのでなく、会社全体の事業方針として新規事業の中身がきちんと当てはめられている。(23:15)

そうすると、すごく大きな取り組みが会社のなかでもできるようになる。これは単に事業自体を大きくするだけの話じゃない。資源やお金がその事業に関わることで、僕らが関与する新規事業にもリソースやお金がつぎ込まれていく。その結果、それを活用してベンチャー企業や新規事業との接点になるような活動が生まれてくる。今はそういう2つの循環を生み出すことができていると思う。(24:31)

井上: 組み込むためにどんな取り組みや工夫をしのだろうか。(25:05)

江幡: ベンチャーの事業ではスピードが大変重要になる。従って、先ほどの安渕さんのお話ではないけれど、年に1度は北米でベンチャーキャピタリストの方々やベンチャー経営者の方々とお話をするために、かなり大きな場をつくっている。そこで我々の代表取締役社長である田中(孝司氏)や、代表取締役執行役員専務である高橋(誠氏)を現地に呼んで、そこで自らメッセージを出してもらうというのもある。また、「現地の人が日本という国をどう感じているのか」といった、そんな肌感覚を知ってもらうようなこともしている。(25:20)

あと、ベンチャーとの業務資本提携に関しては、ある程度はスキームを変えないと投資や提携の判断スピードが遅くなってしまう。だから権限委譲してもらうような形でファンドを創設した。従って、現在は専務である高橋と話をすれば、それで‘go or not go’が決まっていく。そういう枠組みを、通常の判断スキームとは別につくった。(26:01)

井上: ベンチャーと一緒に新しいことへ取り組むことが、トップマネジメントの認識として当たり前となる環境整備をしていらっしゃると。(26:32)

江幡: それをせずに続けていても、関わっているほうは大変なので。整備をしてもらってから動き出している感じだ。(26:41)

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井上: LINEとしてアントレプレナーシップを高め、オープンイノベーションを進めるためにどんな取り組みをなさっているのだろうか。また、コラボレーションするうえで、「大企業はこういうふうに変わってくれたら」ということはあるか。(26:51)

森川: ちょっと一般論から(笑)。僕はいろいろな企業を経験しているけれど、そこで必ずぶつかっていた課題は、「本業と新規事業のどちらが大事か」という話だった。それで、僕が新規事業をやっていると、「あいつは遊んでいる」「好きなことだけやっている」なんて後ろ指をさされていたし、少しうまくいくと「本業の邪魔をするな」と言われてしまう。そういうこともあって、最終的には「“本業がベンチャー”の会社に移りたいな」と思って今の会社に移ったという経緯がある。(27:40)

とにかく、どの会社も何か1つうまくいくと、それを磨き上げよう磨き上げようとなって、少しずつ凝り固まってしまうところがある。社員の意識もそうだ。新しいことをやるよりはオペレーションに従事したほうが成果も出るし評価されるとなると、目の前のものをこつこつやるようになっちゃう。だから、LINEでは最初にオペレーショナルなものをすべてアウトソースした。いつも忙しいようなことを皆が言っているけれども、その延長線上に生産性がそれほど上がるわけでもない。それならオペレーションをアウトソースして、クリエイティブなことを中心にやろうと考えた。(28:16)

だから今は、「新規事業のご担当者を紹介してください」とよく聞かれるけれど、「うちは全社が新規事業部だから特にそういう人はいません」と答えている。逆にそうじゃないと生き残れないと感じる。たぶん業種や業界によって商品ライフサイクルは違うし、変わらない業界だってあるかもしれない。ただ、その周期はどんどん変わるし、それに「変わろう」と思って変わるのは結構大変だ。常に変わるようにしていないと、いざ変わろうとしても変われない。たとえば、新しいことをやる人と古いことを磨く人だと、後者を好む人が日本人は圧倒的に多いと思う。そういう人に「新しいことを」と言ったって絶対にやりたくないし、無理してやってもいいものは生まれない。だから、いかにして社内で新しいことをやる人をマジョリティにするかというのも重要だと思う。(28:54)

それともう1つ。僕たちは、なるべく企業文化を合わせないようにしている面がある。「企業文化を1つにしよう」と言うと、マジョリティであるコア事業の人が絶対に強くなり、マイノリティの人たちがやりにくくなってしまう。その意味では、ばらばらのカルチャーで、マイノリティの人もそれなりにポジションを取ることができるようなマネジメントが重要なのかなと思う。(29:56)

井上: 企業文化をあえて統一しない、と。このあたり、GEさんはどうだろう。(30:25)

安渕: その意識はある。それで、どのようにして違うものを企業に取り込んでいくかが大切になる。我々の場合、その1つの手段がM&Aだ。M&Aでないものを次々取り込んでいく。それで違う文化の人が入ってくる。たとえばM&Aで入ってきた企業トップの方が、いきなり我々の役員になるといったことをしている。それを何年も続けていくうち、どんどん新しい人や新しい考え方が入って来る。ベースラインで統一して欲しいことはもちろんあるけれど、それ以外の考え方やアプローチ、あるいは仕事のやり方はどんどん変わっていくものだと思う。(30:54)

井上: ちなみに、森川さんとしては大企業にどう変わってもらいたいだろう。(31:37)

森川: ちょっと一般的な話から(笑)。まず、大企業か大企業じゃないかというのは、僕は意識の問題だと考えている。大きくてもGEさんやKDDIさんのようにベンチャースピリットを持つ企業はあるし、従業員10人でも大企業的な会社はある。大切なのはスピードと変化の2つを持てるか持てないか。たとえば大企業の方でもLINEを使っていない方やLINEを知らない人はいる。先日、ある地方で講演したとき、「LINEというのはスマートフォンでアプリケーションをダウンロードして使うんです」と言ったら、「先生、英語を使わないでください」と言われてしまって(笑)。そういう会社も結構多い。結局はスピードや変化といったものを理解できるかどうかが重要なのかなと思う。(31:57)

 

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