「既存ビジネスから突破する力 〜僕たちが起こすイノベーション〜」 質疑応答 

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会場A:大変熱いお話だったが、チームで考えると最初はメンバーとの温度差があると思う。そこでメンバーにうまく思いを伝える工夫などがあればお伺いしたい。(42:05)

岩佐:リーダーはコミュニケーションを諦めちゃいけない。リーダーはときに突っ走るから、新しいものが次々見えてくるし、それで後ろを向いたら誰もついて来ていなかったなんということもある。それ、僕は正しい姿だと思う。それぐらいの推進力がないと新しいことは生み出せない。ただ、「なぜそれをしているか」「なぜやらなきゃいけないか」といったことを伝え続けるべきだ。絶対に諦めず、1回で分かってもらえなかったら100回でも1000回でもメンバーに説明する必要があると思う。(42:28)

岡崎:その通りだと思う。あと、僕なりの工夫を1つ付け加えるなら、社会正義や「仲間のため」といった大義が重要になると思う。それともう1つ。ここでグロービスが生きるけれども、“イケる感”というか、戦略を提示する。戦略=ロジックであって、「いや、分かりましたけれども、社長、本当に行けますかね?」となっているとき、行けそうだと思わせるのが戦略だ。それによって、「コスト的にイケそうだな」「これは売れそうだな」というふうに、「旗を立てども無理」といった状況に梯子をかける。だからリーダーは誰よりも頭がシャープじゃなきゃダメだし、徹底的に考え分析したうえで次にどうするかいう話をする。簡単に言うと、部下の“イケる感”をつくるのが戦略。それで「行きたいな。しかも行けそうだな、じゃあ頑張るよ、社長」となる。そこではグロービスで学んだ論理思考がめちゃくちゃ使えると思う。(43:32)

伊藤:お2人はメンバーとの間にギャップがあることで悩んでいない。それを大前提として受け止めたうえで、どう埋めるか考えているのだと思う。(44:25)

会場B:成功要因として好きなことを懸命にやるというお話があったけれども、自分の好きなことと得意なことが異なる場合はどうしたら良いだろうか。(44:58)

岡崎:好きなことを迷わずやるべき。得意なことを極めても好きじゃないならどこかで3流のまま終わる。でも、好きなことなら寝食を忘れて取り組む。皆、いろいろな価値観を親から受け継いでいると思う。「いい大学へ進んで、いい会社に就職したらハッピーだ」と。そんなことない。それで不幸になった人を大勢知っているし、本当に好きなことをやってめちゃくちゃ楽しんでいる人もいる。人生は幸せになった者勝ちだ。(45:21)

じゃあ、幸せって何か。どこかで読んだ記事だけれど、人が亡くなる瞬間に最も多く立ち会うナースたちに、「亡くなった人々が死ぬ間際に何を最も後悔したか」という話を聞いたそうだ。すると、最も多くの人が、「周りの期待に沿って生きるのではなく、自分のしたいことをやって生きれば良かった」と言っていたという。前者は、たとえば「家柄が合わないから結婚を諦める」「大工になりたかったけれども良い大学へ行って役人になった」なんていう話だろう。そんな人生、まっぴらじゃない?岩佐さんも言っていた通り、人生は1回きり。だから好きなことをしよう。それで2流のまま終わるかもしれないけれど、「好きなことをやった人生だった」と、死ぬ間際に思えたら勝ちだ。99%幸せに生きても死ぬ間際に不幸なら「俺の人生は不幸だった」となる。死ぬ間際にもハッピーでいたいなら好きなことをやるべきだ。(45:51)

伊藤:「そうだよな」と思う反面、「とはいえさ…」、という部分もあるとは思う。そういう部分について、MBAを学んでいるあいだに問い続けるのも大事だと思う。(46:31)

岩佐:得意なことをやっていると、それが好きじゃなくなってくる瞬間が、なぜかは知らないけれど、ある。だから、僕も富夢さんとまったく一緒で「どちらか選べ」と言われたら、明らかに好きなことをやらないと仕方がない。生きている時間は有限だし、辛いことを苦行のようにやっていても仕方がない。「人間、苦労したほうがいい」なんてよく言われるけれど、それは正しくもあり間違ってもいると思う。もし1週間後に死ぬかもしれない状況で、「自分の人生は辛かったな」と思うのと、「やりたいことやって良かったな」と思うのでどちらが良いかと言えば、答えはシンプルだと思うので。(46:52)

伊藤:好きなことのなかには辛いこともあり、また別の話もあるように思う。(47:53)

岡崎:好きな山を登っていても、当然、困難は来る。ただ、その困難も好きなことのためならへっちゃらというふうにできることはあるけれど、好きじゃないことで味わう苦労は本当にしんどい。僕の場合は経営が好きで、かつ得意だった。これは幸せだ。だから、そういう気持ちになれる好きなことを懸命に見つけることも大事だと思う。(48:04)

伊藤:僕はそこで、やっぱり夜の散歩だ(会場笑)。散歩しながら、「いや、俺はこれが好きなんだ」なんて言っていると本当に好きになってくることもある(会場笑)。(48:28)

岩佐:付け加えると、困難な場面でしか他人と差を付けることができないというのもあると思う。だから、仕事を進めていて困難にぶち当たったら、あるいは辛い思いをしたら、「これはラッキーだ」と思ったほうがいい。「他人と差がつく場所、発見!」みたいな。困難=チャンスだと思えば、それをバネに頑張ることができると思う。(48:59)

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会場C:今所属している会社を良くしたいと思って懸命にやっている。ただ、やっぱり上の方から考え方の違いなどで怒られることは結構ある。そんなふうに組織内で認めてもらえないとき、その葛藤をどう捉えたら良いとお考えだろう。(49:54)

岡崎:自己紹介した通り、僕は元々サラリーマンだったけれど、社内起業の際はやりたいことを100回提案した。相手の反応が悪かったら、それは自分のコミュニケーションが招いた結果だと思っている。周囲が悪いんじゃない。認めさせられない自分が悪い。僕は今常務というポジションにいるけれど、それは結果を出してきたから。「会社のここが間違っていたらこうする」「社長に提案してダメならどこがダメかを考える」等々。そのために皆もグロービスで論理的に学んでいるわけでしょ?会社でも同じだ。「こことここが足りない」と言われたら、それを再度調べてもう1度持っていく。だから100回やってみて欲しい。そうすれば周囲が君の熱意にほだされて絶対に変わるから。それが、「出世のため」といったことならダメ。でも、本当に会社を良くしたいという思いを持っていらっしゃるようだから、100回提案してみて欲しい。(50:47)

岩佐:会社員として働いたことがないから(会場笑)、ヒントになるか分からないけれど、経営者から見ると、たとえば社員の方に「仕事が面白くない」と思われて辞められたら、これは完全に経営者の責任だと思う。だから、会社が好きだということだったらいいと思うけれど、「やっぱり面白くない」というのがずっと続くなら、もしかして、次のステージを少し考えたほうがいいかもしれない。会社や経営者の責任が大きいわけだし、それとマッチしなかったという話なら人材流動性という面ではOKだと思うので。(51:45)

伊藤:ミドルの立場からすると、「下の人は動かせるけれども上の人は動かせない」と考えるのは絶対に間違っている。下の人も上の人も、自分の思い通りいっていないのはすべて自分の責任だと思うべきだろう。もちろんハードルはある。上司を自分の思う通りに動かすのは大変だ。ただ、それをやらなきゃ自分のやりたいことが表現できないのなら、やるしかない。「いや、それが大変だから聞いているんだよ」と思われるかもしれないけれど、そこはやっぱり覚悟を決める必要があるのだと思う。(52:41)

岡崎:(質問者の表情を見て)できそうな顔になった。頑張って。(53:17)

会場D:トップには孤独なときもあると思う。それをどう乗り越えているのだろう。(53:29)

岩佐:孤独と言えば孤独かもしれないけれど、孤独に耐えるのはリーダーの仕事でもある。だから、たとえばメンターをつける、あるいはカウンセリングを受けるというふうに、テクニカルな形で自分の生活に取り入れる。そうして孤独の処理を、仕事の一部だと思って行っていくことが1つの解決策になると思う。(54:22)

岡崎:僕も同じだ。孤独は宿命というか、トップは‘Thebuckstopshere.’で、後ろに誰もいない。すべて自分だから、そういうものだと思って受け入れる必要がある。あとは恍惚感。「自分の使命はこれだ」と、うっとりするほど“入り込む”ことができるか。そうでないと、給料はいいかもしれないけれど、それ以外の苦労は本当に耐えられないから。たとえば僕は、「屋上庭園を広めて日本のライフスタイルを変えるのは僕の使命だ」と考えている。そういう処理の仕方もある。あと、孤独は自分がつくるという見方もある。自分が孤独だと思ったら孤独だ。でも、僕は経営チームが仲間だと思っている。だから社長が孤独だと思ったら彼らも孤独になるよう、少しずつリュックの中身を持ってもらおうと思っている。その意味でもやはり仲間を大事にする必要がある。(55:02)

伊藤:構造的に、リーダーは孤独になる。なぜならチームをゴールに引っ張っていくから。逆に言えば、誰にでも達成できるゴールならリーダーはいらない。リーダーが進む未踏の領域は、未踏である以上は皆に理解されるはずはないし、その必要もない。それなら孤独になるのは宿命だと割り切るというのも1つの考え方だと思う。(56:03)

とはいえ、やはり落ちてしまうというか、ネガティブになるときは必ずある。以前、堀(義人:グロービス経営大学院学長)さんに「ネガティブになることなんてないですよね?」と聞いてみたら、「いや、ある」と言う。そこで、堀さんはひとりになるそうだ。ネガティブになった顔を見せず、自分で内省すると。そうして、元気になったらまた出てくる。「それまで出ない」と言っていた。そういう自分なりの、たとえば僕は帽子を被って散歩中にうだうだ喋るという(会場笑)、自分なりのクリア方法を確立すればいい。たとえば今日のようなセッションでは勢いよく話し、ポジティブオーラを発しようとする。ただ、そうすると、僕なんかは明日ネガティブになって、「会社に行きたくない」「起きたくない」なんていう状態になる。その繰り返しだ。でも、やるしかない。クリアしなきゃいけないわけで、仕方がないからクリアするという感じだ。(56:31)

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会場D(続き):リーダーとしてのエネルギーを持ちながら、なおかつ、常に心を平静に保つ工夫が何かあればお伺いしたい。(57:31)

岡崎:平静になれる状況をつくるしかない。そうすると依存しなくなる。つまり、常に最悪の状況を考えるという意味だ。たとえば、「この取引を全部すっても会社は大丈夫だな」という内部留保を積んでおくというように、最悪な状況が来ても大丈夫な形を、会社を含めてあらゆる場所につくっておかないと平静を保てない。自分の脳を騙すことはできても会社がヤバくなるから。「こういうクレームがあった」「この取引先が倒産した」といったとき、「最悪、それはなんぼやねん」と。5000万で済むのか、1億で済むのかといったことを考えて、最悪の状況に備える必要がある。(57:50)

あと、対人関係で冷静さを保つためには、相手のプログラムを理解すること。どういうことか。人間、誰もが違う人生を歩んできているわけで、そこに共感してあげたらいい。たとえば、「経営は利益だ。社員は使い捨てればいい」なんて言ってしまう人がいたとしたら、その人には、なにかこう、そうなったプログラムがある筈だ。それを理解してあげる。僕だって社員に「社長の方針にはついていけません」なんて言われることもあるし、そのときは腹も立つ。ただ、彼がなぜそう言うのかを考えてポジションチェンジしてあげたら、それを心底分かってあげることもできる。それをせずに我慢したまま冷静なフリを保つということをしていても、もたないと思う。(58:27)

岩佐:平常心は絶対に必要だ。平常心を持って心が透き通った状態にしておかないと、世の中の変化を見誤ってしまう。世の中の変化を敏感に捉える唯一の方法は心をまっさらにする瞬間をつくること。では、そのためにどうすればいいか。お散歩をするのもお酒飲むのもいいと思うし、いろいろあると思うけれど、僕のお勧めは瞑想の時間をつくること。あのナポレオンですら最期に息子へ残した言葉は、「息子よ、瞑想の生活を忘れるな」だった。瞑想とはそれほど本質的な作業だと思う。(59:18)

伊藤:GEのジェフリー・イメルト会長は土曜午前中が瞑想の時間だそうだ。そうした平静を取り戻す作業は、たぶん多くの経営者が自然にやっていると思う。(01:00:40)

会場E:イノベーションや起業は、まさに「やるかやらないか」の違いだけということを感じ、一歩踏み出したいと思った。ただ、実際には今の仕事もあってなかなか踏み出せない。そこを突破するため、日々の仕事で何をしたら良いだろうか。(01:01:07)

岩佐:組織にいたら難しい。典型的な答えになっちゃうけれど、今いる組織で今できる範囲で、一度自分にとって最高のパフォーマンスを出すことが第1歩になるのかなと思う。ただ、そのうえで次にやりたいことをできるステップに進めるかどうかは会社の力量も関わるので、必ずしも自分だけで解決できない問題だとも思う。(01:01:45)

岡崎:志はある?(会場質問者「あります」)何かやりたいことがあって、それが今の仕事を頑張るという延長線上にないのなら、環境を変えたほうがいいと思う。皆さんは今、サラリーマンとして良い会社にいて給料も安定しているし、家族も食わせていける状況だと思う。で、正直な話、そうした環境から「より良く」という考え方でイノベーションを目指しても、たいして成功できないと思う。僕は会社が潰れそうだったし、自分のキャリアがそこで終わる恐怖があった。人間を劇的に変えるのは恐怖感だ。だから恐怖を感じるところに行かないと、山がでかい場合は無理だと思う。それに気付いているなら、乱暴な言い方になってしまうけれど、辞めてしまって恐怖感に身を置いたらいいと思う。24時間考えるようになるから。そこに会社もプライベートもない。だって潰れたら人生が終わりなんだから。そうすれば変われると思う。(01:02:22)

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伊藤:最後のご質問に今日のまとめがあったと感じる。大事なのは「できるかできないか」じゃなく、「やるかやらないか」。それを最後にお伝えしたい。ではお2人にもそれぞれ、皆さんへ締めのメッセージをお願いしたい。(01:03:16)

岩佐:あすか会議では、常に「今日明日から行動しましょう」といったフレーズが出てくる。で、「それは分かっているけど、できない」と感じる方もいるだろう。でも、行動しなくてはいけない理由がある。失敗しないと成功できないからだ。それなら失敗するために、弾を撃ちまくらないといけない。そのために、まず何か1歩2歩3歩、3発ほどの弾を今日明日から撃ってみる。ということをぜひ一緒にやっていきましょう。僕も何か新しいことを明日から始めたい。ありがとうございました(会場拍手)。(01:03:32)

岡崎:今日は偉そうな話をしてすみませんでした。皆さんのことは仲間だと思っている。これまでも、「あすか会議に参加したのだけれど、ちょっと相談したい」といったお話を何人かからいただいたことがある。グロービスの生徒さんや後輩なら、僕ら3人はいくらでも時間を作る。何か困ったことがあれば我々を活用してください。本当に仲間だと思っている。ありがとうございました(会場拍手)。(01:04:18)

伊藤:僕からのメッセージは3つ。まずは常に主語を‘I(アイ)’で考えること。「会社が」でなく「自分が」で考える。で、もう1つは、ヤフーの宮坂学社長がおっしゃった言葉だけれども、「選択肢に迷ったらワイルドなほうを選べ」。迷ったら難しいほうを選んで突っ込んでいこう。そして3つ目は、リーダーに1つだけ正解があるとしたら、やはりリーダーはポジティブじゃなきゃいけないということだ。ネガティブなリーダーなんていない。ポジティブにがんがん進んでいって欲しい。とにかく、富夢さんの言う通り、僕らは常に皆さんとコミュニケーションを取りたいし、先達として何かアドバイスできることがあればなんでもするので、ぜひ声を掛けて欲しい。これからも仲間として末永く日本・世界を変えていくようなお手伝いができたらいいなと思っている。今後もよろしくお願いします。ありがとうございました(会場拍手)。(01:04:45)

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