お金は人が集まるところに自動的に生まれる 「マンガボックスに見るコンテンツビジネスの未来」 後編 

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海賊版との戦いについて根本的な方向性は?

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堀江:ではそろそろ会場から質問を募っていこう。(36:05)

会場A:漫画をネットに乗せてグローバルに広げようとする以上、どうしても海賊版との戦いが続く気がしている。その辺に関して根本的方向性はあるだろうか。(36:34)

守安:当然、一企業としても頑張っていく。ただ、日本のコンテンツを守るためにも、その対策を国レベルでも考えていただいて、一緒にやっていけたらと思う。(37:00)

堀江:マネタイズについてどうお考えだろう。海外でも紙媒体を出すのか。(37:18)

守安:日本では単行本を買って貰える状態が当分続くと思うから、堅いビジネスとして単行本販売というのがある。それともう一つがゲーム化や映画化。IPがどんどん出来てくるから、それを別のところできちんとお金に変えていく。あと、本当に数千万〜数億人が使うメディアになってくれば広告でもニコニコ動画のようなプレミアム課金でも収益があがる筈だ。利用者が増えたら色々なモデルが出てくると思う。(37:23)

堀江:パッケージ化したうえで電子書籍販売ということもやるのだろうか。(38:00)

守安:やっていく。(38:08)

スマホでは漫画のコマが小さい。スマホに最適化されたコマ割りを考えているか?

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会場B:スマホではまだコマが小さく、私自身は年齢的なこともあって見づらい。「スマホに最適化されたコマ割りという文脈もスマホ週刊誌としてあるのでは?」と思う。ただ、そうした新しいコマ割りを導入すると今度は書籍化の段階で問題が生まれるような気もするが、その辺についてはどうお考えか。(38:20)

樹林:テストしようと思っていることがいくつかある。たとえばマンガボックスでは4コマ漫画が読まれる比率やその継続率が少し低い。ただ、4コマ漫画に市場性があることは間違いないし、最も加工しやすい。そこで、たとえば「2コマ−2コマ」で載せるという方法もある。4コマをスマホ画面の大きさで載せようとすると2列8コマにならざるを得ないけれども、それを2コマずつ載せることで十分見ることの出来るサイズにする訳だ。また、起承転結の「起承」と「転結」分けることでプラスになる可能性もある。通常の4コマでは“めくり”の意外性が演出しづらいけれど、「2コマ−2コマ」にすることで新しいものが出来るかもしれない。あるいは、「起承」までは一気に読ませ、「転」と「結」を別々に見せるというのもあるし、「起承転」まで見せて「結」だけを別に持ってくるというのもあるし…、とにかく色々テストしようと思う。まずこれが入り口だ。(39:01)

その他の漫画は、現状では単行本によるマネタイズに期待している訳で、そこを大きく変えるのはリスクだと思うから、当分やる気はない。ただ、読ませ方に関して言えば、こう…、ピンチしながら読めば意外と読むことが出来ると僕は感じるし、その辺はもう少し慣れて貰えたらと思う。ただ、いずれにせよ現状では紙で回収するというビジネススキームが続いている以上、完璧に読みやすくなる必要もないと思う。(40:14)

堀江:そこで、「スマホでは見にくいけれど、紙で買ったらもっと高解像度できちんと読むことが出来ますよ」とも言える。原稿は高解像度でつくっている訳だし。(40:57)

樹林:雑誌はざらざらしているし、色も変でしょ?それも単行本では綺麗な紙質と印刷になる訳だから。(41:06)

堀江:一方で、漫画をフルカラーで電子書籍化するメリットも大きいと思っていた。フルカラー化する業者が色々なメソッドを持っていて、旧作の白黒漫画をすごく綺麗に彩色してくれる人達もいる。スマートフォンやタブレットなら印刷コストもかからない。だから、たとえばマンガボックスでは白黒だけれども、電子書籍版ではフルカラーにするといった付加価値の加え方もあるのかなと思った。多少のコストがかかったとしても、人気の漫画ならそれで十分回収出来るのではないか。(41:15)

樹林:実際、今度はフルカラーでやる。(42:08)

堀江:それはマンガボックスで、無料で見ることが出来る?(42:11)

樹林:もちろん。ただ、フルカラー化が100%良いのかというと、僕は微妙だと思っている。たしかに良い面はあるし、特に海外ではすごくアピール出来る。けれども、たとえば「ドラゴンボール」をフルカラー単行本で読むと、なにかこう、重たい(笑)。フォアグラを食い続けたような感じ。人間の感覚としては、「リアルな色の受け取り方」と「想像で補いながらリアリティを持たせる受け取り方」のあいだに、少々の余裕というか、マージンをつくっておいたほうが疲れないのかもしれないとは思った。(42:17)

DeNAがプラットフォームとして入る理由は?

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会場C:たとえばアメリカでは雑誌も本も今は電子書籍が当たり前だ。「それならKindleやiPadにダウンロードするという話では駄目なのかな」と、単純に思ってしまった。そこにDeNAのプラットフォームとして入る理由は何なのだろう。(43:24)

堀江:元々、漫画雑誌というのは漫画を紹介するメディア。だから雑誌自体では採算が取れていない媒体もある。(44:01)

会場C(続き):KindleやAPPStoreにも無料ダウンロードのオプションはあるし、中国では週刊誌の発想自体がないとのお話もあった。それで、「そこにプラットフォームを」というお話が、今ひとつピンと繋がらなかったというのがある。(44:21)

守安:無料と有料の違いだと思う。普通のKindleやAPPStoreは、基本的には有料だから販売プラットフォームとしては我々も活用したい。ただ、無料で広めようとなると使い方が若干異なってくると思う。インターネット上には海賊版が溢れているので、そこはまた別の問題として駆逐しないといけないのだけれど。(44:47)

堀江:アマゾンで本を買う人は検索して“指名買い”をする。あとは、「この商品を買った人はこんな商品も買っています」という原始的なレコメンドがある程度だ。そこで、自分は読んだこともないけれど、「これ、良さそうだよ」と、お勧めしてくれる人がいるという、要はエントリーキュレーションメディアのようなものだと思う。(45:08)

樹林:それはすごく正しい分析だ。昔はテレビに関しても、「オンデマンドの時代になったらあんなの要らないんじゃない?」と言っていた人がいた。でも、僕は違うと思っている。やはり、テレビをつけると勝手に流れてくる訳で、それによって興味を持ったりするという環境はやはり人間に必要だと思う。(44:54)

堀江:国内であればGunosyやSmartNews、海外であればFlipboardといったニュースキュレーションメディアの漫画版という風に考えていただくと一番近いと思う。国内のAntennaというアプリでは僕もアドバイザーを務めているけれど、「ネット上の雑誌を集めてきて、それを一つのアプリでぬるぬると見ることが出来ます」というサービスに結構近い。「マンガHONZ」もキュレーションサイトだけれど、それをはじめた理由は新しい漫画に出合う場所がどんどんなくなっていったからだ。(46:01)

樹林:リアルで大きな本屋さんに行って、自分の好きなものを手に取って、好きなものがあればお金を出すという流れが、かつてはあった。その流れがどこかで途絶えてしまっていた訳だ。その流れをつくるため、皆がポケットに入れてどこでも使っているデバイスにサービスを入れたいと。それが指名買いのアマゾンでは出来ない。(47:04)

堀江:だからアマゾンは書評サイトを買収したりしている。実は、アマゾンはそこが一番弱い。アマゾンの書評欄は最悪の出来だと僕は思っているけれど、だからこそ買収でそういうものを獲得していく形になるのだろう。従って、そういう部分でアプリを普及させることが出来た会社は、今後バリューエーションを上げていくとも思う。(47:31)

樹林:マンガボックスとは言っているけれど、そこから「アニメボックス」や「ドラマボックス」という風に色々出てきて、最終的に一つのポータルになるとどうなるか。それでテレビと同様、「なんでもここから選べますよ」となれば、それが一番良い。(48:12)

堀江:しかもエントリーは無料という。(48:29)

最終的にどうマネタイズされるのか?

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会場D:マネタイズと海外展開についてもう少し伺いたい。たとえば韓国では漫画がスマホに最適化され、原稿は「1ピクセルいくら」といった形になっていて、作品のつくり方がデジタルを前提にしている。そういった話を聞くと…、今日のお話はどちらかというと単行本で売るというマネタイズのお話だったが、「もしかしたら最初からデジタルで売るフォーマットにしたほうが世界で勝てるのでは?」とも感じる。その辺の可能性含め、最終的にどうマネタイズをしていこうとお考えなのだろう。(48:43)

樹林:漫画には大きなコマもあれば小さなコマもあり、めくりがあり、見開きもある。これは演出だ。それをすべて1コマずつ送るということになると、演出の入る余地がなくなる。そうすると、つまらなくなる。それならやらないほうがいいという話だと思う。それとマネタイズに関しては色々と考えていることがある。たとえばアメリカでも一度は地上派のテレビドラマが駄目になった。当然だ。オンデマンドでなんでも見ることが出来るようになった時代に、忙しく働く人々は家でドラマを観なくなった。日本でも同じ。ただ、向こうでは今、それが配信されている。で、広告も基本的には直接届くようになったし、それがユーザーの志向を踏まえたものにもなったし、それをスキップさせることも出来なくなった。そういった広告システムによって、少し前まで本当に大変な状態だったテレビの世界に今はお金がどんどん入ってきて、大規模な作品をつくることが出来るようにもなってきた。そういったことを考えて広告を上手く取り込む必要があると思う。そのためのユーザー数は最低でも1000〜2000万になると思うが。(49:25)

守安:一つはIPの活用だと思う。ゲーム化、アニメ化、ドラマ化、映画化、等々…、人気の漫画は絶対にIPとして活用出来る。それともう一つ。今のお話とも重なるけれど、ネットビジネスとして考えると、数千万〜数億人が使うサービスとなれば、もう広告だろうと課金だろうとなんとでもなるという面がある。(51:21)

樹林:金は人がたくさん集まるところに、自動的に生まれるという話だと思う。(51:50)

堀江:漫画がその集客ツールであるということだと思う。ということで、本セッションを締めたい。どうもありがとうございました(会場拍手)。(51:54)

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