新刊「人生の座標軸」堀義人 —日本人、アジア人、そして地球人 (5/6) 

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僕自身が日本代表として世界で活躍する、と決めた

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一つ目は、僕が日本代表として世界で活躍するということ。今は本田圭佑選手がACミランで、アメリカではイチローはじめ数多くの日本人メジャーリーガーが活躍している。嬉しい。同じコミュニティにいる人々からすれば、「日本ってすごいよね」となるし、日本の存在感も高まる。同様に僕自身が世界のさまざまなビジネスシーンで活躍したい。ダボス会議をはじめとしたグローバルな会議でキーノートスピーチが出来るようになったら、日本人として嬉しくなる人は多いと思う。ダボス会議で安倍総理が基調講演をなさったあとがそうだった。皆に、「僕が日本人なら日本人であることを誇りに思うよ」と言われた。だから日本代表として世界で活躍しようと、まずは決めた。

二つ目は、良い政治家を選んで応援すること。「政治には関わらない」なんて言う財界人もいるが、60〜80代になった財界人のなかには、「日本の政治はけしからん」なんて言う人がいて腹が立つ。「貴方達の世代がしっかり政治に関与してこなかったから今のような状態になったのでは?」と思う。世代の責任であると。日本は今莫大なデットと構造的問題を抱えている訳で、「これほどの借金が出来たのは貴方達の世代の責任でしょ?」と。ということは、僕らも何もしないまま同じ立場になったら、今度は僕らの子供世代から同じことを言われてしまう。従って僕達が政治にもっと関与して、あるべき方向に動かさなければいけない。それが僕ら世代の責任だと思う。

では、その役割を果たすために何をすべきか。僕自身はグロービスの一員であって政治家ではない。また、このタイミングで僕自身が政治家になればそれが日本の政治を変える力になるかというと、疑問もある。それならば良い政治家を選んで徹底的に応援しようと決めた。僕は今、たとえば同世代の政治家を応援している。内閣府副大臣の西村康稔さんは僕と同い年だ。彼は甘利(明氏・内閣府特命担当大臣)さんの下、TPPへの対応を含めて産業競争力会議や経済財政諮問会議を引っ張っている。あとは世耕(弘成氏・内閣官房副長官)さん。安倍総理と菅官房長官の下で官邸の戦略を練っている。僕はお二人の東京後援会長だ。民主党であれば前原誠司さんを応援しているし、とにかく良い人を徹底的に応援していこうと決めた。

正しいと信じることを言い続ける、と決めた

そして三つ目は、自分が正しいと思うことをどんどん発言すること。ツイッターやフェイスブックで発信しているし、孫(正義氏・ソフトバンク代表取締役社長)さんとも「トコトン議論」で戦った。本当はもう一度あの議論をしたいが、いずれにせよ、「とにかく正しいと思うことを言い続けよう」と。その三つを決めた訳だ。

僕は、分からないときはまず出来ることからやってみるべきだと思っている。で、世の中がどう変わってきたかという視点で革命や変化の歴史を勉強してみると、三つの要素があると分かる。一つ目は明確な思想やビジョンだ。たとえばフランス革命の背景にはルソーの「社会契約論」などがあった。ルネサンスであればホッブズの「リヴァイアサン」、あるいはルターらプロテスタントによる意識改革があったと思っている。ロシア革命にはレーニンの思想が、明治維新には水戸学の尊皇攘夷があった。そして二つ目の要素としてリーダーだ。明治維新であれば薩長土肥のリーダー達がいた。で、三つ目の要素として力を行使出来る武力があった訳だ。

ただ、今は民主主義の世界だ。ビジョンやミッション、そしてリーダーという要素は有効だが、武力は使えない。今はコミュニケーションが武力に代わる。民主主義社会ではコミュニケーションによって多くの人の意識を変え、喚起する必要がある。独裁社会ではアラブの春のようなことも未だ起こり得ると思うが、そのあとは選挙で決めなければいけない。民主主義社会では言論の自由があるのだから、コミュニケーションを通して変えていくしかない。

「ホリノミクス」の3本の矢とは

そこで僕は最近、「ホリノミクス」ということを言いはじめている。今はアベノミクスよりもホリノミクスが流行り…、ではないが(笑)、ホリノミクスにも3本の矢がある。一本目はG1サミット。リーダーの集まりだ。安倍さんもいらしたし、閣僚級では小野寺(五典氏・防衛大臣)さん、林(芳正氏・農林水産大臣)さん、世耕さん、そして石破(茂氏・自民党幹事長)さんもいらしている。また、今は野党だが大臣経験者であれば民主党の細野(豪志氏・前民主党幹事長)さんや前原さん、みんなの党の浅尾(慶一郎氏・みんなの党幹事長)さんもいらしている。良いと思う政治家の方々をすべて集めた。

地方自治体の首長もいらしている。広島・岡山・鳥取・三重・長野・青森・佐賀・高知から8知事、千葉・福岡・浜松・奈良・大津から8市長がいらした。当然、財界トップの方々にも多数お越しいただいている。たとえばゲーム関係ではLINE、DeNA、グリー、サイバーエージェントに加え、今最も伸びているコロプラからも馬場功淳さんがいらっしゃる。北島康介さんや為末大さんといったスポーツ界の方々も来れば、第1回からアドバイザリーボードを務めてくださっている山中伸弥(京都大学iPS細胞研究所所長・教授)さん等、錚々たるメンバーが集まって議論していく。

そこで議論したことを、今度は「100の行動」にまとめる。今はもう53〜54/100ぐらいまで来た。日本を良くしようと思っても、どうやって良くすべきなのかが分からない。「だから自分の頭で考えよう」と。経営をやっていて分かるのだが、自分の頭で描けないものは現実社会でもつくることが出来ない。そこで、「経済産業省はこうあるべきだ」「文部科学省はこうあるべきだ」ということを省庁単位で考え、政策として明文化する。それを一つひとつチェックしていくことで、行動を変えていこうという訳だ。

そうすると、たとえば財政問題や少子化問題に関しても、自分のなかで「こうすれば良い」という答えが出てくる。ただ、答えが分かっていながらも何故良くならないかといえば、ほとんどの場合、タブーがあるからだ。それを行動に移すと票を失う、あるいは社会の意識がついてきていないといった問題がある。そこを変えるのが三本目の矢となる「ニッポン未来会議」だ。コミュニケーションを通して社会を変えていく。BS-TBSにお願いしてそういう番組をつくった。また、ツイッターやフェイスブックあるいはブログを通して社会を変えていくという運動も行っていく。「本来こうあるべきだ」という方向に、直接的なコミュニケーションを通して変えていきたい。

50代を日本のために使おうと決めた

僕は自分の50代を日本のために使おうと決めている。「こうあるべきだ」と思ったことを文章にしてコミュニケートしていくつもりだ。そのなかで良い政治家は徹底的に褒めて支持して、悪い政治家は徹底的にけなす。ぼろぼろにけなすこともある。それで返り血を浴びることもあるし(笑)、色々とえらいことにもなる。ただ、日本のためになると思ったら批判されようが炎上しようが気にしない。そういう気持ちでなければ世の中は変わらないからだ。そんな気持ちで50代を過ごそうと思っている。

そのうえで、アジア人・地球人という軸がある。ワールド・ナレッジ・フォーラム(WKF)やダボス会議のような場で、アジア・地球の代表として何を行っていくべきか考えていく。そう考えるようになったきっかけは35歳でYEOのアジア代表となった経験だ。詳しくは割愛するが、そこからグローバルな国際機関の理事メンバーになった。僕はそこで、北東アジア、南東アジア、東南アジア、そして南アジアの4地域と、さらにオセアニアに分け、各地にエリアディレクターをつけた。僕自身もボードとして各地域18カ国を廻った。30代後半のそうした経験は僕にとって非常に大きいものだった。

世界のカンファレンスで登壇できるようになった今、目指すこと

それからダボス会議に参加した。今年で11年目だ。そこで見えてきた世界を通して自分の生き方も少しずつ分かってきた。現在は世界の成長企業(GGC)というワークショップで共同議長を務めているが、今は可能な限り世界の舞台に出ることを意識している。自分のなかに世界各地で行われるカンファレンスのスケジュールがマッピングされていて、そのなかでほとんどのカンファレンスで登壇することが出来るようになった。そうした場に行くことで多くのグローバルリーダーと接していく。現時点ではグロービス代表の立場で行くことが多いものの、最近は世界の問題を解決するグローバルアジェンダカウンシルの一員として向かうこともある。そこで、たとえば「新たなリーダーはどうあるべきか」といった議論も行うようになっている。

最近はさらに少し突っ込んで、今後は僕がもっと中心になって北東アジアのネットワークをつくっていく必要があるなと感じているし、実際、今年からそういうこともはじめたい。また、北東アジアや東南アジアのネットワークはほぼ出来つつあるが、もっと欧米、特にアメリカにおけるネットワークを強化して、グローバルな問題を解決するための方法論を理解していく必要もあると感じている。

60代は世界のために働きたい

たとえば今は日本を良くする100の行動を考えているが、世界を良くする100の行動を書くときが来るかもしれない。ただ、それは60歳以降にやろうと思うし、50代の今はまず日本のことをやろうと思う。そうでないと、皆さんにも「地球の問題を考える前に日本のことをどうにかしてくれよ」と言われると思うので。まずは日本の問題に、自分が出来る範囲内で取り組んでいく。それがある程度軌道に乗った段階で、世界の問題を解決するための場に立ちたいと思う。そういった場に相応しいだけの知見とネットワークを持つことが前提で、そのうえで呼ばれたら行きたいと考えている。

以上が今日お話ししたかったことだ。「心技体」からはじまる個人の立場があり、5人の子供を持つ家族人としての立場があり、グロービスのトップという組織人としての立場があり、そして日本人として、アジア人・地球人としての立場がある。これからも僕はこれら人生の座標軸を思い切り楽しんでいきたい。楽しいか否かは僕にとって大変重要だ。そのうえで、未来に責任ある立場としてしっかりと役割を果たしたい。ここまで、ご静聴ありがとうございました(会場拍手)。

写真撮影:東洋経済新報社・尾形文繁

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