福島で考えるエネルギーの未来 

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「核燃料サイクルに“バラ色の未来”はあるのか。答えを出さねばならない」(河野)

田久保善彦氏(以下、敬称略):エネルギー政策は幅広い視点で議論されなければいけない。ただ、壇上の御三方とは本セッションにあたり、「原子力の問題に焦点を当てるべきだろう」という点で一致した。原子力でやっていくべきか否かより、むしろ今存在する原発、そして放射性廃棄物やプルトニウムについて考える必要がある、と。核燃料サイクルが抱える問題は原発を動かすか否かに関わらず、これからも存在するためだ。まず河野さんのほうから15分ほど日本の核燃料サイクルに関する概略を、会場の皆さまと議論のベースを合わせる意味でお話しいただきたい。(02:43)

河野太郎氏(以下、敬称略):ウラン燃料を軽水炉で燃やして発電すると使用済み核燃料になる。薪をストーブで燃やすと暖かくなり、炭や灰が出るのと同じだ。普通の国はここで終わり。そして取り出した使用済み核燃料をどこに捨てるかということで、どの国でも問題になる。一方、日本は石油の代替というか、「石油一本に頼るのは怖い」ということで原子力政策をはじめた。ただ、ウランも全量輸入しなければならないし、いつか枯渇する点では石油と同じだ。従って原子力だけでは石油を補完することにならない。そこで日本は使用済み核燃料を捨てず、再処理を行うことにした。(03:58)

ここで言う再処理とは、簡単に言うと化学薬品をかけて溶かすことだ。溶かすとプルトニウムと、高レベル放射性廃棄物という核の“どん詰まり”が出る。そしてプルトニウムを高速増殖炉で燃やすと、発電をしながら消費した燃料の1.2倍にあたるプルトニウムがつくりだされると。そうすると、最初のウランを輸入した以降は核燃料サイクルが成り立つ訳だ。それによって「将来2000年に渡って電力を供給していく」というのが核燃料政策の狙いで、上手くいくとばら色の未来になる筈だった。(05:15)

それで1967年の長期計画では1980年代後半に高速増殖炉を実用化するという話になっていたが、5年後に「さらに20年後」という話になり、さらに5年経って「やはり20年後」と、逃げ水のように実用化が先延ばしされていった。そしてとうとう95年にもんじゅが事故を起こし、2050年まで出来ないことになった。(06:00)

そこからさらに10数年が経った現在も同じことを言っている。それで、「何もしていないのに何故2050年という計画だけは先延ばしにならないのか」という議論が国会では起きている。それに対して経産省は「元々2050年という目標にあまり根拠がなかった。いじめないでください」と(会場笑)。50年の歳月と何兆円のお金をかけた高速増殖炉は、楽天的シナリオでもあと40年は動かせない訳だ。(06:55)

それと「プルトニウムが1.2倍に」という話だが、今はこちらについても原子力の専門家には「それは理論上の話だ」と言われる。現実的には今の銀行金利ぐらいの割合でしか増えないのではないのかと。要は増殖しないということだ。(07:28)

しかし日本は当初から核燃料サイクルを目指していたので、今も使用済み核燃料をイギリスやフランスに送って再処理を行なって貰い、プルトニウムを取り出している。現在、日本が保有するプルトニウムは45トン。そのうち10トンが国内に戻っている。アメリカの核弾頭に積んであるプルトニウムは合計38トンで、北朝鮮が持っているプルトニウムは50キロ前後。もう単位が違う。(07:50)

問題はまだある。使用済み核燃料は福島第一でもお馴染みの冷却プールに入れているが、今、日本中でプールの容量が逼迫している。たとえば玄海原子力発電所が再稼動をすれば3年でプールが一杯になる。日本では年間に約1000トンの使用済み核燃料が出る。しかし日本にあるプールの空き容量をすべて足しても6000トン少々。6〜7年で一杯になる。今は東京電力(以下、東電)が青森県むつ市に5年ぶんほどの中間貯蔵施設をつくっているが、このままでは10年ほどでプールも一杯になり、原発はすべて止まることになる。(08:17)

この状況に対し、電力会社は「再処理をすれば使用済み核燃料はなくなるので大丈夫」と言うが、青森県六ヶ所村の再処理工場はすでに十数回、稼動が延期されていて動かせない。運良く動けば再処理出来るが、今度はプルトニウムが出る。800トンの処理で出てくるプルトニウムは8トン。45トンのプルトニウムを処理出来ず困っている日本で、運が良くて6年で保有量が倍になる。運が悪ければ再処理工場が稼動しないまま、日本中でプールが一杯になり、どうにもならなくなる。(09:18)

現在、日本は核保有国以外で唯一、再処理でプルトニウムを取り出して良いことになっている。しかし今は韓国が「日本に認めるのなら我々にも認めろ」と。“原子力主権”ということを言いながら再処理を認めるよう訴えている。ただ、韓国がプルトニウムを取り出せば北朝鮮は黙っていないし南アフリカも同じ主張をするだろう。すると濃縮ウランと同様、ドミノ倒しでプルトニウムも拡散し、世界が不安定になる。(10:11)

それで今は「使用目的のないプルトニウムを持ってはいけない」ということで、ウラン9割とプルトニウム1割を混ぜたMOX燃料を普通の原子炉で燃やすというプルサーマル発電をやろうとしている。これはいわゆる「やらせ事件」で今止まっているが、そもそも高速増殖炉を動かせば2000年間は大丈夫だった筈だ。プルサーマルであればウラン燃料は1割節約出来るが、要は70年間もつウラン資源が77年間持つようになるだけの話だ。しかも12兆円のコストがかかり、節約出来るウランの価値は9000億円。ウラン鉱山を買ったほうが安い。(10:49)

また、高レベル放射性廃棄物の問題もある。これは地中深くに埋めて人間社会から切り離さなければいけない。ただ、放射能は10万年ほどで正常なレベルに戻ると言われているものの、埋める場所が国内で見つからない。しかも最初の300年間は地上からモニタリングしなければいけない。300年前というと赤穂浪士討ち入りの頃だ(会場笑)。高速増殖炉が動かせないのなら、そこから先はご先祖様が燃やしたウラン燃料のゴミ管理だけをやらなければいけないことになる。(11:49)

さらに言えば、10万年前の日本列島は今のような形をしていなかったそうだ。地震や火山や地下水に10万年間影響されない場所をどうやって探すのか。地質学者の方によれば「10万年語は日本列島の形も今と変わっている」となるし、人類学者のような方によれば「10万年前に人類はいなかった。10万年後に人類がいる前提自体が楽観的だ」と(会場笑)、そんな話になる。(12:48)

また、軽水炉も安全と言われていたのに福島で事故が起きてしまった。従って、活断層の上にある原発、そして40年経って事故も頻繁に起こしているような原発は廃炉にするしかないだろう。高速増殖炉を動かせないのなら再処理も止める。(13:26)

ただ、ここでさらに問題が出る。2004年頃、福島第二原発の使用済み核燃料プールがほぼ一杯になった。で、六ヶ所村の再処理工場にもプールがあるのでそこへ持って行こうという話になった。それで今はほかの原発からも持ち込まれており、結果として3000トン入る同村のプールも今はほぼ一杯になってしまった。(13:56)

そのとき、青森県が「核のゴミを持ってくるなら再処理工場を必ず動かせ。でなければ青森県は単なるゴミ捨て場になる。再処理の原材料だから受け入れる訳で、ゴミを受け入れるつもりはない」と。それで今は必死に再処理をしようとしているが、そこで出たプルトニウムが処理出来ないなら再処理を止めるしかない。(14:26)

また、使用済み核燃料をプールに置いておくままにも出来ないので、引き上げてドライキャスクというものに入れるしかない。これは福島第一でテストしていた。これは津波が来たとき一面に海藻を被ったものの、ドライキャスク自体にはまったく問題がなかった。中に入れれば50〜60年はもつ筈だ。従って、50〜60年ごとに新しいドライキャスクへ入れなおしながら、地上で核のごみを管理しなければいけない。従って、「ここまでは増やしてもなんとか処理出来る」という合意をとり、使用済み核燃料をどれだけ増やすかを決めておく必要もある。(14:54)

あと、今は原発事故が起きたとき、東電だけに賠償責任が発生する仕組みだ。しかし実際には今それが出来ておらず、国の税金をどんどん投入している。一方で原子炉メーカーにまったく責任が発生していない。「儲けた利益は自分の懐に。事故が起きたら国民の税金を」という今のスキームはおかしい。事故が起きた際の賠償費用に関して、あらかじめ保険に入っておくべきだ。極端な話、保険料が高くなり過ぎるのであれば原発は運転出来ないという話になるかもしれない。(15:50)

ただ、いずれにせよ核のゴミはすでに出ているので、その放射能半減期を10万年からせめて200〜1000年ぐらいに出来るような核種変換の研究を…、出来るか否かは分からないが、やり続ける必要があると思う。(16:29)

原発に関するシビアアクシデント対応も必須だ。日本の原発は現在、テロリストが来ないことを前提につくられている。津波は来ないという前提と同じだ。テロに遭ってから「想定外でした」とは言えない。テロ対策もきちんとやらなければ再稼動は出来ないだろう。(16:45)

あと、福島第一でも5/6号基は事故を起こしていないので設備としては一応動かすことが出来る。東電もこの2基は廃炉にすると決めていない。だから今は5/6号基の原価償却費や維持管理費やレートベースは皆さんの電気代に入っている。(17:10)

また、たとえば日本原子力発電は専業メーカーとして原発を3基持っているが、今はそのすべてが止まっている。しかし売るものがなくても年間1400億円、電力会社が彼らにお金を払っている。これも皆さんの電気代だ。つまり携帯電話と同じ基本料金であると。再処理工場を持つ日本原燃も同じで、動かなくても年間2700億円を基本料金として得ている。稼働させると3000億。基本料金が9割で動いたら1割ということになる。(17:33)

事故が起きた際のオフサイトセンターはどうかというと、これは税金で国費100%。電力会社が払うべきだと私は思うが、税金で払って貰っており、その税金でオフサイトセンターを受注しているのが電力会社の子会社だ。本来負担すべき電力会社が、オフサイトセンターの運用費として税金を出して貰い、それを受注して利益を出しているという構図は少し違うのではないかと思う。(18:13)

とにかく今は色々な面で論理的に辻褄が合っていないものの、約束してしまったからやっているという状況だ。政府のバックエンド費用は推計で計18兆8000億で、こちらに含まれていないものもたくさんあるが、とにかく燃やしてしまった燃料をどうするのか。また、高速増殖炉が動かせない状態で45トンのプルトニウムはどうするのか。これから出てくるプルトニウムはどうするのか。高レベル放射性廃棄物はどうするのか。そろそろ答えを出さないと、すべて次の世代へのツケ回しになってしまう。(18:43)

「もんじゅを止めたとしても余剰プルトニウムの問題は残る。核不拡散も含め、国際的解決の視点も必要」(澤)

池田信夫氏(以下、敬称略):この話は非常に難しい各種政治問題を抱えている。まず大量の危険物をどこかに引き取って貰わなければいけない。それについて一般論で話をしてもどうしようもないのだが、個別の話になった途端、話が噴きあがって大変なことになる。それでいつまでたっても片付かず、もんじゅでトラブルがあってからも十数年、まったく進展しないままだった。(20:42)

で、結論から言うと河野さんとほぼ同じで、もんじゅは駄目だと思う。撤退するしかない。これは核燃料サイクルが不要になるということだから大変な話だが、いかに撤退するかを考えるべきだ。恐らく撤退にも数兆円のコストがかかると思う。 (21:40)

ただ、撤退するのであればいわゆる直接処分に切り替えなければならないが、核廃棄物を引き取って貰うところを決めなければならない。ところがこれはまだ言い出すことが出来ないほど政治的にセンシティブな問題だ。民主党政権はああいう風にぐちゃぐちゃだったので自民党政権で進展するかと思ったが、安倍さんは今のところこの問題に触れようともせず、夏の参院選までは動きそうにない。(22:18)

私としては、今の状態であればこれ以上前に進めないほうが良いと思う。もんじゅをいかに撤退するか。そして核燃料サイクルをいかに直接処分へ切り替えていくか。それを政権として真正面から、地元の皆さんに対する説得を含めて行なっていくべきだ。今まではそれを先送りにしてきたが、このままでは国民負担が何兆という桁で膨らんでいく。夏の参院選後はこの宿題を片付けて欲しい。(22:55)

澤昭裕氏(以下、敬称略):本来であれば河野さんと戦うべくここにいなければいけない筈だが、このテーマについては反対派も賛成派も変わらないと思う。まず論点を絞りたいのだが、リスクを国と民間でどのように分担していくか。原子力政策が日本ではじまった当時は国と民間のあいだで相当な主導権争いが繰り広げられていた。当時の電力会社は、民では本来引き受けることが出来ないようなリスクを自ら負担してしまった経緯がある。(23:55)

従って、賠償についても原子力損害賠償法という法律が定められいて、そこでは国が間接的な責任しか負わない。東電だけが直接責任を負う形になっている。しかし実際にはご存知の通り、東電は実質的に潰れているような状態。「それでも廻さなければ」ということで国の税金がどんどん入っている訳だが、あれは東電が将来返すものだという形になっている。従って原子力のリスク分担、あるいは誰がリードするのかという事業体制を根本から見直すべきだと思う。(24:49)

バックエンドに関しても同様だ。今まではフロントエンドの原発稼働と同様に民が担うということで、電気料金にすべて乗せされていた。しかし河野さんのお話通り、「プルトニウムが1.2倍に」といっても大した経済性にはならない。しかも毎年1.2倍になる訳ではなく、十年ほどで廻るサイクルだ。そういったバックエンドの状況まで含めて事業が廻るのかというと、大きな疑問符がつく。最終処分地も決まらない状態だし、この辺は国としてテイクオーバーしていく決断が求められると思う。(25:30)

いずれにせよ、これまでの経緯もあって国としては「民は“自分でやりますから結構です。料金だけ値上げさせてください”と言っていたじゃないか」と。「それを今さら“事故が起きたから”、“プールが一杯だから”なんて言って話を持ってくるなよ」という部分が国にはある。しかし今後の対処を考えていくのならそういう話は恩讐の彼方に追いやって(会場笑)問題をリセットし、双方ともなかなか解決出来ないと思う。(26:36)

田久保:国の関与についてはどのようにお考えだろうか。(26:36)

河野:六ヶ所村の再処理工場がほぼ完成した2004年、実際に放射性物質を使うアクティブ試験というものを行う前に、経産省で“クーデター”が起きた。「19兆円の請求書」という怪文書を当時の事務次官公認で若手官僚がつくり、「再処理を止めるべきだ」と働きかけていたというものだ。結局それは失敗して皆粛清されたのだが。(27:27)

そのとき言われていたのは、「実は電力会社もあまりやりたくない。国が止めろと言ってくれたら止める」という話だった。しかし政府側は「電力側が止めたいと言えば考え直しても良い」と。互いに「お前が言うなら」という状態だった。当時は東電の常務であった方が私の事務所に来て、「河野さんがおっしゃる六ケ所村再処理工場のお話はごもっともです。けれども安心してください。あの工場は問題がたくさん起きてそう簡単には動かないから大丈夫です」と言っていた(会場笑)。“大丈夫”って(笑)…、「日本語として違うんじゃないの?」と言ったのを覚えている。(27:50)

当時は「産道に出てきた赤ん坊は止められない」と発言する東電経営者までいた。皆、積極的にやりたいとは思っていないが、動いてしまったものを止めることは出来ないから誰かに止めて欲しいという感じだった。それで結局はアクティブ試験を行い、2700億円の基本料金が発生していった。その工場は電力会社が出資した日本原燃という会社が動かしている。この日本原燃はこのまま行くと潰れる。潰れると相当な金額が電力会社に跳ね返ってきて、電力会社もあっという間に破綻寸前となる。(28:39)

それともうひとつ。廃炉費用は原発の稼働時間に合わせて電力会社が、たしか年間稼働率72%ほどで満額を積み立てることになっている。しかしその稼働率で動いている原子炉はほとんどない。従って40年で廃炉の費用を積み立てると言っても、実際にはほとんど積み立てられていない。そこで足りないために電力会社が背負わなければいけなくなる費用も莫大だ。電力会社は潰れることになる。(29:26)

あと、会計をこのまま放っておくと電力会社の経営はにっちもさっちもいかなくなる。それを回避するために「核燃料サイクルが国の方針だ」という建前で廻している訳であり、電力会社としては、「止めるのであれば会計を助けて欲しい」という話になる。ゴミの問題と電力会社の経営問題がワンセットで出てくる。(30:06)

池田:この問題は経済学でいうところの「サンクコストの錯覚」という例題にあてはまる。昔、本州と四国のあいだに3本の橋を建てるという馬鹿な話があったが、あれは最初に1本だけ建てる段階では採算が合うことになっていた。で、3本建てる段階では採算が合わないと分かっていたが、途中までつくったので「最後までつくらないと勿体無いじゃないか」と、結局は3本建ててしまった。(30:38)

これは間違いだ。あと1メートルのところまで橋をかけていても、完成後の運営で赤字になるような橋を建ててはいけない。過去のコストでなくこれからのキャッシュフローを考えなければいけないのだが、核燃料サイクルはその錯覚に陥ってしまった。「19兆円もお金がかけてここまでやったのだから」と言って廻している。はっきり言って死んでいるのに、生きていることにしておくことで電力会社のバランスシートを健全に見せている。大変危険な状態に今は陥っていると思う。ここは割り切って損切りをするという政治決断をすべきだ。それが大変だからここまでずるずる来ているのだが。(31:10)

それともうひとつ。もんじゅについて議論する際、皆さんは技術的な仔細を気になさる。しかしもんじゅの事故自体はたいしたものではない。配管が破れてナトリウムが漏れただけ。本体の機能に関わる事故ではない。その辺について色々おっしゃる方はいるが、実は問題は技術に関することではない。(32:19)

本当の問題は何か。そもそも元の1.2倍にあたるプルトニウムを取り出せることがメリットとして言われていたのは、ウラン埋蔵量がおよそ80年ぶんと言われていた頃の話だ。最近開発されているシェールガスやシェールオイルといった非伝統的資源の埋蔵量は200年ぶん以上と言われているが、実は同じことがウランでも起きている。ウランは下手をすると9000年ぶんあるという話も最近出てきた。(32:43)

ここだけの話に出来ないのが辛いが(会場笑)、関係者に色々聞いてみると、最近ではリン鉱石か何かに含まれるウランを精製して取り出す技術が開発されているという。それで、9000年は少々大げさとしても数百年はもつ可能性があると。もっと言えば海水にも大量のウランが含まれており、そこから精製することも出来る。(33:28)

そうした非伝統的ウランまで考えると、もんじゅの致命的問題は技術ではない。率直に言って、経済的に意味を持たない可能性が高い。技術的にいくら高性能でかつ安全であっても意味がない。仮に9000年ぶんのウランがあればプルトニウムを増殖する必要はまったくない。ただ、もんじゅが成り立たないとはっきりすれば、核燃料サイクルは将棋倒しですべて駄目になるだろう。それがあまりにも大きな話なので、今は認めることが出来ない訳だ。(34:01)

澤:その通りで、だからもんじゅの高速増殖炉から“増殖”を取って、「今度は“高速焼却炉”みたいなものにしよう」という関係者もいる(会場笑)。プルトニウムの半減期が大変長いので、短い核種に変換するための炉として位置づけなおすべきではないかと。内閣府の説明もそんな風になりつつある。ただしもんじゅは原型炉だ。上手くいっても次の実証炉と、その次の商業炉がある。従って「あの炉型にこだわるべきなのか」という問題もある。(34:48)

ただ、もんじゅを止めたとしても余剰プルトニウムの問題は残る。今はもんじゅで処理する建前があるのでアメリカも認めているが、それが出来ないとなると困ってしまう話だ。それでプルサーマルと言って大間原発等を動かし、一応やっているという姿も見せているが、それもどこかで破綻するだろう。で、そうなってくると高レベル放射性廃棄物の地層処分地も選定しなければいけなくなる。(35:36)

そうなると外国との関係という話も出てくる。直接処分に関しても同様かもしれないが、国際的な枠組みで廃棄物の処理を考える時代が来ていると思う。今までは「出した国が各自きちんと処理しよう」と言ってきた。ただ、今は先進国だけでなく発展途上国も原発をやり出している。1〜2基しか動かさない発展途上国まで含めて各自処分するというのは非効率だ。そうした国際的枠組みも、核不拡散の視点まで含めると考えざるを得ないと思う。(36:16)

「直接処分が現実解。同時に国防の観点からプルトニウム保持を主張する声もある」(池田)

田久保:将来的にはどういった方向としていくべきだろうか。(37:05)

河野:まず考えなければいけないのは、プールに沈めている使用済み核燃料をどうするか。テロリストは原子炉でなくプールを攻撃すれば良いことが分かった。なるべく早く使用済み核燃料を引き上げ、ドライキャスクに入れて地上で保管すべきだ。(37:48)

ではそれをどこに保管するのか。各原発の敷地に保管するというのはひとつの考えだが、地域とすれば「そんな約束はしていない」という話になるだろう。では、たとえば六ヶ所村や福島第一に集めて保管するのか。今までは発電したところで保管していたが、「電気を使う消費者が責任を負わなくて良いのか」という考えもある。使った電気に応じて東京や神奈川でそれぞれ引き受けるケースもあるだろう。ただしその場合は各都道府県内でどこに決めるのか。また、各自に決定させるのか。47都道府県にドライキャスクを分散するのは安全保障上まずいという見方もある。(38:13)

ドライキャスクに入れること自体は恐らくコンセンサスになると思うが、それをどこでどう管理するのか。それこそ“高速焼却炉”が出来て半減期が一気に短くなれば処分も出来るが、今はとりあえず10万年だ。「10万年保管してくださいね」というと、「うちの裏庭は嫌だよ」という話になると思う。(39:12)

次にプルトニウムをどうするかという問題がある。ガラス固化体のようなもの封印して埋めてしまうか、これもドライキャスクに入れるのか、アメリカに引き取って貰う等の国際的枠組みでやってくか、etc…、ひとつずつ決めていく必要がある。(39:41)

今、青森県とは「県外で処分する場所を見つけ、2045年までに高レベル放射性廃棄物をすべて県外に持ち出します」という約束を交わしている。しかしそのためには2030年代に新たな処分場の建設をはじめる必要がある。また、その前には場所の確定を、さらにその前にはボーリング調査を、そしてその何年か前には文献調査をはじめる必要もある。2000年代に入った時点で文献調査を行なっていて、今年あたりにボーリング調査がそろそろ終わるという日程なら2045年に持ち出すことも可能だ。しかし今は手を挙げる自治体すらない。2045年に持ち出すのは、現時点で100%出来ないと言って良い状態だ。(40:07)

そんな訳で青森県との約束を守ることが出来ないのは実は皆分かっている。ただ、言ってしまうとどうにもならないので、今はとりあえず2045年まであと30年ほど時間もあるし、問題を解決する魔法が出てくるかもしれないと思いながら黙っている。この辺についても「申し訳ありません。2045年までには持ち出せないので、もうしばらく預かってください」と言わなければいけない。(41:03)

もんじゅについても同じだ。止めたらもんじゅ関連で来ているお金も止まる。しかし、六ヶ所村を含め国策に協力してくれた自治体には、「国が政策を変えたのだから経済振興は必ず続けます」と約束すべきだ。そのうえで「今までの政策は止めます」と言わなければいけない。そこは政治が決断する以外にない。そろそろ自民党政権で決断せざるを得ないのではないか。(41:35)

池田:少し整理したい。今は再処理をしてもんじゅで燃やす建前だが、実際には直接処分に移行するしかない。しかしそのための処分場をどこが引き受けるかも決まっていないし、中間貯蔵に関しても候補地は一応あるもののまだ決定はしていない。移行するような、移行しないようなことを言って中途半端になっているから直接処分の体制も出来ていない。しかし、それをするしかないような状況に刻々となっている。(42:20)

で、学術会議は去年、直接処分つまり地下数百メートルでの地層処分は出来ないという報告書を出したのだが、ここは少し誤解があると思っている。学術会議の報告書には、「直接処分の最終処分地が政治的に決定不可能」とある。今田高俊さんという何故か社会学者が出てきて、合意形成が云々ということを書いている。これは勘違い。候補地はある。誰も言わないが、六ヶ所村には大変広い土地がある。今はそこに再処理工場があるものの、動く可能性はない。それならば工場を潰し、そこで最終処分をすればすべて処理出来る。(43:18)

もっとヤバい話をすると、福島第一の横には人が住めなくなった土地がある。最終処分をする場所があるということだ。ただ、政治的には「ある」と言えないものだから、訳の分からない話が延々と続いている。こう言ってしまうと反発もたくさん出るが、現実的には六ヶ所村か福島第一周辺のどこかでひきとって貰うしかない。そういう風に、とにかく核のゴミをどこが引き受けてくれるのかという具体的な話をしなければ、以降の話はまったく進まない。抽象的な議論をしても仕方がない。(44:29)

田久保:どれも差し迫った問題だが、日本はどんな方向に進むべきだろうか。(45:27)

河野:プルトニウムは恐らく処分出来ない。プルサーマルも…、福島第一でもやっていたが地域のコンセンサスが取れない。また、アメリカとしてもそう簡単に核兵器を増やすことはないから、プルトニウムを渡しても使い道はないだろう。さらに、イギリスかフランスにある35トンのプルトニウムを今戻されても困ってしまうが、あちらに置きっぱなしであれば向こうも困る。結局、可能であれば氷付けのようにして、誰も利用出来ない形で直接処分するしかないと思う。(46:30)

プルトニウムを取り出す意味がないなら、韓国にもそれを伝えて再処理はしないよう言わなければいけないし、そのためにも「日本はもう再処理を止めます」と言うべきだ。「再処理はアメリカから勝ち取った権利だ」と言う方もいるが、権利を持っていても使えないのなら意味がない。(17:35)

池田:今は8キロほどのプルトニウムで原爆をひとつつくることが出来る。高性能なものであればさらに少なくても良いそうで、45トンあれば5000発ほどつくることが出来る。人類を100回絶滅させることの出来るプルトニウムを持っている訳だ。(48:15)

で、たとえば六ヶ所村の再処理工場ではIAEAの査察官が24時間3交代で監視をしている。日本がプルトニウムを武器へ転用しないように、だ。皆さん、まさか日本がそんなことをするとは思わないと思う。しかし、かつてインドだったかパキスタンだったか、IAEA査察のなかで1回に何グラムかずつ誤魔化し、最終的に原爆をひとつつくってしまった国もある。そういうことを考えても、プルトニウムを45トン持っているというのは大変危ないことだと言える。(48:49)

ただ、自民党の方と話をするとどうも…、公の場では絶対に言わないが、「プルトニウムは持っていたほうが良い」という人もいる。これは日米安保がなくなるケースを想定したものだ。憲法改正と国防軍を持つというのは自民党の党是だ。それで仮に在日米軍がすべて出て行ったら、「核武装しないと自主防衛出来ない」という訳だ。(49:34)

日本が原子力の開発をはじめた頃、中曽根康弘さんや正力松太郎は将来に向けた核武装の布石として原子力開発を捉えていた。当然、それは公然の秘密というか、絶対表に出てはならない話だった。しかし今の核燃料サイクルを止めるという話になれば、恐らく自民党の一部は強硬に反対すると思う。(50:35)

これは最終的に日米同盟の議論になる。戦後60年続いている日米同盟は世界最長の同盟関係だそうだ。それが終わる日が来ない保証はない。ではたとえばアメリカと日本が…、考えたくもないが、かつてのような軍事的対峙をすることとなった際、「オプションとしてプルトニウムも何もなしで良いのか?」という声がある訳だ。(51:09)

日米原子力協定によって、日本は核不拡散条約下で核兵器を持たないという立場ながら、ウランの再処理が特別に許可されている。しかし民主党が去年の9月、原発ゼロと言ってしまった。そうすると、「それなら今持っているプルトニウムはなんだ?」という話になる。日本が核兵器を持つということは、アメリカにとっては日本が同盟をそのうち破棄し、完全な自主防衛へと移行するシグナルに映る。だからあのときにアメリカ国務省が前原(誠司・衆議院議員)さんに抗議し、それで話がひっくり返った訳だ。そんな風に、この問題は日米同盟や核兵器といった大変な問題にも絡む。(52:22)

澤:だからこそ再処理を止められない。私としては「止める」というようなことを政権が簡単に言っては駄目だと思う。その意味では、もんじゅを有望な研究開発プロジェクトにしなければいけないという考え方もある。あの炉型、あのプロジェクト、あの主体にこだわっていては駄目。他のオプションを考えるべきだ。海外では色々と実用化しているところもあるので、海外からの技術導入も考えながら核燃料サイクルを立て直す。それが政権の目指すべき道だと思う。(53:36)

河野:自民党でも潜在的核保有のような話をする議員はいるが、これは勘違いだ。核兵器は濃縮ウランかプルトニウムでつくられるが、原発を稼働させたらウランは消費される。原発を動かすことと核兵器をつくることはまったく別の話だ。ウランで核兵器をつくるのならイランのように濃縮施設をつくらなければならないが、福島での事故後、日本のウラン濃縮施設はすべて止まった。それでも爆弾をつくるのなら原発となんの関係のないところでウランを濃縮しなければいけないが、そんなことはすぐにばれるし不可能だ。(54:24)

では…、そんな必要はまったくないと私は思っているが、プルトニウムでつくるとしたらどうか。国内の10トンでつくることも出来る。ただ、プルトニウム型は核実験を行う必要がある。核実験を行った瞬間、NSG(原子力供給国グループ)は日本に対する燃料としてのウラン供給をすべて止めるだろう。つまり原発はすべて止まる。(55:23)

以前、54基の原発がすべて止まっている状態で、アメリカ国務省の人が冗談交じりに、「今なら日本はプルトニウム型をつくって核実験をしても大丈夫だよね」と言っていた(会場笑)。原発がすべて止まっているなら、ウラン輸入の停止を心配をする必要もないという意味だ。冗談で言っていたのだと思うが。(56:14)

いずれにせよプルトニウムはすでにあり、再処理をすればさらに出てくる。しかし高速増殖炉は動かせず、プルサーマルでもほとんど消費出来ない。しかも後者は12兆円をかけて9000億円の価値をつくるなんていうものだ。実際、核燃料サイクルは破綻している。一刻も早く「再処理は止めます」と言うべきではないかと、私は思う。(56:38)

そのうえで、現時点ですでにつくられた高レベル放射性廃棄物とプルトニウム、そして使用済み核燃料をどう処理するか。再処理は止めたうえで、「今まで協力してくれた自治体には迷惑をかけません」と。また、止めたら破綻してしまうかもしれない電力会社の再生についても議論していく。そうした決断は経産省には出来ない。政治がどうするかという議論をすぐはじめるべきだと思う。(57:13)

池田:政治的に何が出来るのかという話になると、これまた厄介な話にる。核燃料サイクルからの撤退を口にした瞬間、45トンのプルトニウムは軍事以外の用途で存在し得なくなる。そこで、下手をすると日米同盟にもひびが入るような問題になりかねない訳で、形のうえではしばらく廻しておかざるを得ないだろう。この問題は非常にセンシティブだ。日本人と違って海外の人々は、日本が5000発に相当する核兵器の材料を持っていることについて大変神経質になっている。そんな状況で「はい、再処理は止めました」と言う訳には、残念ながらいかない。(58:20)

建前とは別に核オプションの必要性を考えている人たちもいるが、政府でも大部分の人たちは文字通り平和利用のためにここまでやってきた。そこで再処理を止めるとなると、「一体なんのための45トンなのか」と、厄介な荷物も背負ってしまう。つまり止めるという意思表示自体が難しい。澤さんが仰っている通り、「やっています」と、そば屋の出前みたいにしておくというのが(会場笑)現実的判断だと思う。(01:05:05)

澤:恐らくその限界が、第2再処理工場の議論をする段階でやってくると思う。再稼動を認めるという現政権の方向性を併せて考えると、プールの容量がなくなってくるなかで、どんどん再処理をしなければいけなくなる。で、その量が第一工場の設備では追いつかなくなってくる。ただ、第2工場を建てると持て余してしまう。それでも本当に第2工場を建てるのか。建てるとすれば誰がコストを負担するのか。そういった議論のあたりで、恐らくは決断をしなければいけなくなるだろう。(01:01:49)

「エネルギー安全保障を担保しつつ、いかに目の前の問題に対峙するか。国民一人ひとりも考えるべき問題」(田久保)

田久保:ではこの辺で、会場からもコメントやご質問を受けたい。(01:02:17)

会場(山田邦雄・ロート製薬代表取締役会長兼CEO):ウラン型原発自体が非常に難しいというか、日本に限らずどこの国でも、基本的には破綻しているように感じる。ただ、先ほど「海外では色々と実用化しているところも〜」といったお話を伺った。実際に日本がお手本に出来るような海外事例はあるのだろうか。また、トリウム溶融塩炉というものが一時話題になっていたが、現在主流となっている技術体系とは異なる原子炉の可能性についてもお考えをお聞かせいただきたい。(01:02:43)

池田:核燃料サイクルを支持する人は、「再処理をすれば核廃棄物の体積が1/8ぐらいになる」と言う。そこでプルトニウムと他の廃棄物が分けられ、処分場の面積を効率的に活用出来るようになると。私が聞いた範囲ではこれがほぼ唯一、再処理の存在理由だ。しかし先ほど申しあげた通り、六ヶ所村には相当広い土地が空いているので実はそれも意味がない。(01:03:47)

そう考えると技術的には…、先ほどの“高速焼却炉”であれば多少何かの役には立つのだろうが、たとえばMOX燃料なども、結局は「出来てしまったから仕方がないのでそれをまた燃やす」という話だ。それなら最初からつくらなければ良い。従って、まあどう考えても存在理由はないと思う。それとトリウム溶融やビル・ゲイツがやっている進行波炉は、早くても20年後の話だ。出来るか出来ないか分からない。その辺について今議論をしても仕方がないように思う。(01:05:04)

河野:経産省や電力会社は「再処理をすれば体積が減ります」と言っているが、それは当たり前だ。再処理によって出てくる高レベル放射性廃棄物以外の回収ウランとプルトニウムについて言及していないのだから。これは林檎と苺の大きさを比べているような話で、少し違うと思う。(01:05:56)

それとトリウム溶融塩炉についてだが、トリウムを使ってもゴミは出る。また、トリウムの決定的な問題は、設備全体がγ線を受けて放射線を発生する点だ。従って現在の原子炉と違って、人間が操作するというより遠隔操作のような形になるそうだ。「トリウムが良い」と言う方はかなりいるが、今はそうした長短両面が議論のテーブルに上がっていないと感じる。また、実際には池田さんがおっしゃる通りかなり先の話だろう。その頃には核燃料サイクルの議論も決着をしているのではないかと思う。(01:07:19)

会場(坂野尚子・ノンストレス代表取締役社長):今日の議論を聞いて大変クリアになったが、同時に暗澹たる気持ちにもなった。やはり政治決断がすべてだと思う。これはいつ、どういったタイミングでご決断いただけるのだろうか。(01:09:14)

会場(藤野純一・国立環境研究所 社会環境システムセンター主任研究員):議論する場をどのように設計していけば、エネルギー問題をより正しい方向に進めることが出来るとお考えだろうか。(01:09:31)

会場(田村耕太郎・ランド研究所研究員/前参議院議員):たとえばモンゴルやシベリアにお願いするといった議論を耳にすることもある。使用済みウラン燃料の直接処理に関する国際的な枠組みについてはどのようにお考えだろうか。(01:10:00)

河野:再処理を止める決断については簡単だ。河野総理になればその日に止まる(会場笑)。問題はどこへお願いをするか。だから六ヶ所村を先日訪れた際も…、「河野太郎が来る」ということで身構えていらしたようだが、私としてはとにかく、国の政策判断で変わることはあるので少し待って欲しいとお願いしたうえで、「六ヶ所村に絶対に迷惑をかけません」とお話しした。それでなんとなく安心していただいたと思う。今まで、自民党は電力会社に金を貰っているとか選挙の応援をして貰っているとか、民主党は電力会社に労働組合で票を貰っているとか、そんな絡みがあって止められなかった。しかし「もう関係ありません。止めます」と言えば止まる。安倍改造内閣で経産大臣にでもしていただければ良いと思うので、会場のにいる世耕(弘成・内閣官房副長官/参議院議員)さんにも皆さんでお願いをして欲しい(会場笑)。(01:10:39)

それから外国での処理については、やはり倫理的にどうかという思いがある。国内で開発の遅れている地域に金をつけて原発をつくったのと同じ構図だ。自分たちで責任を持って処理していくということを、まず政治としては目指すべきだと思う。さらに言えば再処理を止めるとしても、「今あるプルトニウムはIAEAの管理下できちんと処分をします」と言えば、そこは問題も起きないのではないかと私は思う。(01:11:50)

池田:議論の枠組みといった高邁な話でなく、とにかく具体的な決定が大事になる。で、田村さんのご質問についてだが、モンゴル等に持っていく必要はないと私は思う。たしかに六ヶ所村と国とのあいだには、「再処理工場は置くけれども最終処分はしない」という建前がある。しかし、それは法律で決まったことではなく、ある種の覚え書きみたいなものだ。六ヶ所村にも行ってみたが、やはり我々がここでしているような話は皆していた。「核燃料サイクルはいつまでもつのかね」と。従って当地の方々としても、六ヶ所村を最終処分地として使うということは自然な発想というか、オプションとして考えている。もちろん公式の話にはなっていないが、お金も落ちる訳だし、私の印象では六ケ所村は最終処分地という話にOKを出すと思う。(01:12:42)

ただ、青森県と国との覚え書きではそうなっていない。たとえば西側の五所川原市などにしてみたら、県内に危ないものを持って来て、それで金はすべて六ケ所村に落ちる訳だ。「我々にはメリットがない」となるだろう。従って青森県知事はそれを認めていないという話に、どうもなっているようだ。この辺については知事が変わればなんとかなる可能性もあるが、いずれにせよ六ヶ所村の問題が片付けばキャパシティ等の問題もほぼ解決すると思う。ただ、そこでアメリカが何を言ってくるかについては要注意だと思う。(01:14:16)

澤:難しい問題が多過ぎてなんとも言えないが(会場笑)、まず国際的枠組みに関して言えば、プルトニウムが含まれているものと使用済み核燃料の二つがあると思う。で、後者のほうはたしかに倫理的問題はあるかもしれないが、テロの危険ということを考えると、プルトニウムよりは処理しやすいだろうと私は思っている。(01:15:14)

また、国内での処分についてだが、実はいくつかの自治体が「文献調査ぐらいはやってくれ」と思っている。大事なのはそういった自治体が出てきたとき、皆に叩かれてしまう構造をいかに止めるか。国が力強く主導して「候補地を探しています」と。法律上の手続きは整備されているので、国として選定のプロセスを動かすという政治決断をまずやって欲しい。(01:15:45)

田久保:「プールが一杯になる」、「現存するプルトニウムが45トン」といった目の前にある問題を受け止め、次の政策に反映させていく必要がある。政治家の方々だけでなく、国民ひとりひとりも考えなければいけないのだろう。今日は国防という視点もかなり出てきたが、歴史的にも多くの戦争にでエネルギー問題が絡んでいた。本当に重要な問題だ。時間はかかるかもしれないが、皆さんには今後も積極的にこの議論にご参加いただきたいと思う。今日はありがとうございました(会場拍手)。(01:16:24)

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