フローレンス代表理事・駒崎弘樹氏 −社会起業家という生き方(講演レポート) 

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起業のきっかけは下町おかん

今日は私どもフローレンスの事業内容や立ち上げ経緯、あるいはこれまでの軌跡などをお話ししたいと思っています。若干自己紹介をさせてください。私は現在29歳で、子供がいる訳でも結婚している訳でもありません。そんな私が子育て支援という、割とコアなことを手掛けているので、「何でそんなことをしているの?」と、たまに怪しまれてしまうのです(会場笑)。

学生の頃、ベビーシッターをしていた私の母が、沈んだ調子で私に電話をかけてきたことがあります。母はいわゆる東京の「下町おかん」で、いつも元気なのですが、その日に限って元気がない。理由を聞くと、「私のお気に入りのお客さん……、双子のママなんだけど、その方がいきなり『今日で最後にしてください』って言うのよ」とのことでした。

母は何かミスをしてしまったと思い、その点を尋ねたそうですが、「単に私が会社に解雇されてしまったので、もうシッターさんにお世話いただく必要がなくなっちゃっただけです」というのです。

母はその理由も聞いたそうです。すると、子供が熱を出してしまったのですが、通っている保育園は37度5分以上の子は預かってくれないとのこと。だからご自身で会社を休んで看病していたのですが、双子ちゃんだったのでお互いに風邪を移しあってしまい、割と長い間会社を休まざるを得なくなってしまっていたそうです。そのことに勤め先が激怒し、「事実上解雇になってしまった」ということでした。

不思議な気分になりました。子供が熱を出すのは珍しくないし、それを親が看病するのも当たり前のこと。それで母に、「おかしいんじゃないの。お母さんが預かってあげれば?」と言いました。しかし、看てあげたくてもベビーシッター会社も行政のベビーシッターサービスも、熱を出した子供を預かるという「病児保育」は絶対にやってはならない、という規則があると、母は言います。

「なら僕が小さかった頃はどうしてたの?ベビーシッターになる前は自営業で働いてたでしょ?」と食い下がったら、「何を言ってるの。あんたにはマツナガのおばちゃんがいたじゃないの。忘れたの?」と、逆に怒られてしまいました。

私は東京の下町生まれです。我が家は団地の14階に住んでいたのですが、同じ団地の3階下に「マツナガのおばちゃん」と呼んでいた女性が住んでいました。おばちゃんといっても血の繋がりはなかったのですが、その方が、病めるときも健やかなときも私を預かってくださっていたんです。おかげで母は外で働くことができていた訳です。

その話を思い出し、「今の時代もうマツナガのおばちゃんのような存在はいないんだな」と。比較的コミュニティが残っている下町ですら、地域の子供の子育てに手を差し伸べ肩を貸す、そんな営みが失われてしまっていたんです。

強い違和感を覚えました。自分を育んでくれた環境が崩れているという感覚です。古い時代の下町をそのまま復興することは無理でも、新しい繋がりを作り、空洞化した地域を新生させることは出来ます。その繋がりがあれば、病児保育問題は解決出来るのではないかと思い、勝手に使命感に打たれ、「よし、俺はやるんだ!」と決めました。

そして、現在に到るNPOを立ち上げたのが6年前です。

「補助金のジレンマ」に陥った病児保育

病児保育の領域は社会的な取り組みが最も遅れており、「保育の闇」などと言われる世界です。事業立ち上げにあたり、まずたくさんの保育園の園長さんやベビーシッター会社の社長さんとお会いして、NPOの計画をお話ししてみました。しかし皆、反応がネガティブなんですね。95%の方が「やめておけ」と言います。

病児保育とは、「病」「児童」「保育」という言葉通り、病気の子供を預かる保育です。病気といっても風邪や発熱といった軽度の突発的な状況の子供を預かり、ケアするという意味です。「入院の必要はないが熱はある」とか、「風邪をひいている」とか、そういった子供を保育園に代わって一時的にお預かりするのが病児保育という訳です。

NPOの立ち上げ前、私はITベンチャー企業を経営していましたので、なんとなくビジネス業界の人間ではありました。ですから事業を立ち上げるときの基礎はなんだろうと考えて、色々とニーズ調査を行いました。

すると、「仕事と育児の両立で最も悩むことはなんですか」というアンケートに対し、子供を持つ親御さんたちのなんと72%が、「子供の病気で遅刻や欠勤をすることがあり、周囲に迷惑をかけてしまう」と仰っていることが分かりました。また、「必要性を感じる育児制度」は、「子供の看護休暇」との答えが9割弱。さらに、「保育園に子供を預けていて不満に思うことは」という問いに対して最も多かった答えは、「病気のときも預かって欲しい」というものでした。多くの方々が困っていると、これで再確認しました。

しかし、「いや、待てよ」となります。これだけ困っている人がいるなら、すでにインフラがないとおかしいですよね。調べてみると、実際に病児保育の施設はありました。保育園の横に居を構えるタイプ、小児科医のなかに小さい部屋を作って預かるタイプ、あるいは行政がお金を出して単独の病児保育園をやっているようなタイプなどがありました。

しかしこういった施設の数は、当時は全国で500足らず(現在でも600ちょっと)という程度でした。保育園自体は全国で2万4,000カ所あります。それなのに病児保育施設は保育所全体の約2%程度という少なさ。これは裏を返せば、98%の地域で病児保育施設が利用出来ないということを意味していたんです。ビジネスの世界ではニーズのあるところにマーケットありきというのが原則なはずです。なぜこれほどまでに少ないのか。

さらに詳しく病児保育施設の情報を調べてみたところ、非常にシンプルな事実に気が付きました。病児保育の施設は、経営が成り立たないんです。まったく儲からないどころか、施設の約9割が赤字という状況でした。病児保育をやってお母さんたちを助けたいという小児科の先生や保育園の園長さんはたくさんいらっしゃいます。しかし経営に関する実情から、「うちもそんなにお金があるワケじゃないから…」と、対応に二の足を踏んでしまうのです。だから新規参入もなく、広がってもいかないという状況にありました。

さらによくよく調べてみたら、厚生労働省から補助金も出ている。それにも関わらずなぜ経営が成り立たないのか。今度はさまざまな病児保育の施設に行き、「ちょっと決算書を見せてください」と調べ始めました。そこには皮肉な真実がありました。

病児保育は「補助金のジレンマ」という状況に陥っていたんです。厚生労働省からは確かに年間660万円という補助金が出ていました。しかし、ひとたび補助金を貰うと行政サイドからさまざまな手枷足枷まで付いてくるのです。「保育士と看護師を雇わなければいけない」、「敷地は規定の面積にしなければいけない」等々。もちろん子供の安全を保障するような規制は必要ですが、価格まで決められている。1日2000円で預からないといけない、というのです。

東京でのベビーシッターの価格は平均でおよそ1時間1600円から2000円。1日2000円では、到底やっていけず、儲けにはなりません。補助金の額は年間660万円ですから、そこから保育士と看護師を雇い、家賃を払い、事務経費を払い、高熱給水費を払うなどしていると、儲けがなくなってしまうどころか完全に赤字になってしまいます。

おかしな話ですよね。現場を補助するために作られたお金が、現場の補助になっていないというこの状況が、補助金のジレンマの実態だったんです。補助金が現場のニーズやあるべき姿からかけ離れているというのが、我が国を覆う病です。それが、病児保育にも、端的に表れていたのです。

フローレンスの2つの特徴

こういった事態を何とかビジネスで打破しようと思ったとき、「補助金を貰ってもどうせ成り立たなくなるのなら、貰うのは止めて自分でやってみよう」という結論に到りました。経済的に成り立ち、かつ人の助けになるような、そんなソーシャルビジネスモデルを自分の手で創ってみようと。辿りついたのが現在のフローレンスモデルです。特徴は二つ。ひとつは施設を持たない「脱施設型」である点。そしてもうひとつの特徴は、お金の頂き方が従量制ではなく「保険共済型」という点でした。

まず、一つ目の「非施設型」という特徴についてご説明します。フローレンスは、子育て経験がある方や保育の実務経験がある方などで構成される「子供レスキューネット」というネットワークを築いています。

例えば会員の方の子供が熱を出したとなると、まずフローレンスに連絡していただきます。するとその地域の「子供レスキュー隊」がお子さんのもとへ駆けつけます。親御さんはお子さんをレスキュー隊にバトンタッチして、お仕事に行っていただきます。そしてお子さんは、子供レスキュー隊員が地域のかかりつけの小児科医のところに搬送するのです。搬送は、東京で最もたくさん車両を保有するチェッカーキャブというタクシー会社と提携しています。

子供は受診し、「これは保育園には行けないかもしれないが、そちらで預かっても大丈夫です」とのGOサインが出たら、今度は子供レスキュー隊員の家、もしくはそのお子さんの家でお預かりする、という仕組みです。

預かっている間はリスクがあります。熱を出したお子さんですから、もしかしたらさらに症状が悪化するかもしれません。そんなときのために医療のバックアップは欠かせません。私たちは地域の小児科医のなかからいくつかの小児科医と提携し、預かっているときにお医者さんが相談に乗ってくれるという体制を構築しました。例えて言うなら、「マツナガのおばちゃん」が地域の小児科医とタッグを組み、熱を出した子供を預かってくれるという仕組みなのです。

この仕組みのなかでは、レスキュー隊員として子供を預かっていただける方々を確保するのが大きな課題です。設立当時の私には病児保育をお願い出来る知り合いもおらず、まずは実家に戻り、「力を貸してくれ!おかん!」と頼んでみました。かくしてレスキュー隊員第一号は、私の母となりました(会場笑)。

そこからは、「それじゃあこのチラシ1万枚、近所のマンションとか団地に撒いてきて」と、母と一緒にチラシを撒く毎日です。あちこちの団地やマンションを訪れ、ポストというポストにチラシを撒くという非常に泥臭いことをしながら、少しずつレスキュー隊員を募っていったのです。

現在では子供に人気のレスキュー隊員も生まれました。“カリスマレスキュー隊員”のワタナベ隊員は、子供が熱を出してもいないのに、「ワタナベおばちゃんのところに行きたい」と言うくらい人気のある隊員です。保育士でも看護師でもなかったのですが、2人のお子さんを立派に育て上げ、自身の育児経験を生かして社会に貢献したいと参加してくださった方です。お子さんひとりひとりにあった遊びを発明をするのが得意なんです。預けた子供が楽しそうにしていると、親御さんも「預けて良かった」と、気持ちのうえでも楽になっていただけます。フローレンスにはお中元は届かないのですが、ワタナベ隊員には山のようにお中元が届けられているらしく、私的には複雑なところです(会場笑)。

地域の絆育む子供レスキューネット

こうして地域で眠っているワタナベさんのような貴重なリソースを掘り起こし、独自の再研修を行ったうえで現場に出動していただいているわけですが、このレスキューネットの構築を通して、地域の失われたコミュニティを新たに作りだすことにもチャレンジしています。地域の絆を新しい関係性のなかで取り戻していく取り組みです。例えばクリスマスなどイベントも頻繁に企画して、地域の人々同士で親睦を深めていただくということもしています。

子供レスキューネットの説明会を行う際、まず親御さんに、「あなたがたはお客さまではありません」とお話します。「皆さんはゲストでなくクルーであり、乗組員です。ともにコミュニティを運営するために船を漕いでいる乗組員同士。パートナーとして相互に貢献する関係です。一方的に皆さまがお金を出して私たちがサービスを提供する関係ではありません。互いに貢献し合うことを理想としてコミュニティを運営していきたいと考えています。その理念に賛同された方だけ入会してください」と。

ビジネスパーソンからすると奇異な感じがするかもしれませんが、これには、保育や福祉がとても複雑な領域、ということも関係しています。お金を出すのは親御さんですが、サービスを受けるのはお子さんですよね。この場合、親御さんのベネフィットとお子さんのベネフィットが必ずしも一致するとは限りません。

例えば「うちの子供を迎えに来て、ご飯を食べさせてから習いごとに連れて行ってください」というオーダーがあったとします。そこまでなら普通ですが、そのご飯というのがファーストフードで、しかもそれが1週間ずっと続いたらどうでしょう。ファーストフードを1週間毎日食べさせるのは、お子さんの健康には良くないでしょう。しかしその良くないことでもお金を払うお客さまに対してであれば、やらなければいけない状況も出てくるのです。保育の世界ではしばしばこのような矛盾に見舞われますし、現場の人間はそこで悩むことになります。お客さまという考え方がどこまで許容されるべきものなのか。

これは難しい問題ですが、そのせめぎあいに対する私たちなりの答えが理念なのです。理念というフィルタリングを通して納得していただいた方々のみに対し、私たちは、サービスを提供していきます。それによって貢献と受益の両立を実現させているのです。

持続可能な保険共済モデル

フローレンスモデル二つ目の特徴は、お金の頂き方にあります。NPOを運営していると「NPO(NonProfitOrganization)は儲けを出したらいけないんでしょ?」と、たまに言われますが、これは間違いです。NonProfitOrganizationは、本当はNotforProfitOrganization。利益のために存在していないというだけで、利益を出すこと自体はよいのです。むしろ利益がなければ社員は生きていけませんから、団体を運営するなかで利益は出さねばなりません。

これを理解してもらうため、私は「酸素のメタファー」を使います。NPOにとっての利益とは酸素のようなもの。私たちは酸素がなければ生きていけませんが、酸素を吸うために生きている訳ではありません。NPOと利益もその関係に近いのです。そして、ソーシャルビジネスモデルを立ち上げる際に最も難しかったのが、いかにその利益を出して持続可能なビジネスモデルを構築するかという点でした。

どこまでも利益を拡大させる必要はなくとも、団体を運営出来る程度に上げる必要はあります。しかし通常のベビーシッターの給与体系では、1時間で3500円の料金になってしまい、高付加価値高価格帯サービスとして一部の方には受け入れて貰えるかもしれませんが、多くの方を助けようという理念には反してしまいます。

そこでふと思い付いたのが共済型でした。そもそも病児保育とは保育園との関係で言えば保険みたいなものです。普段は保育園に通う子供たちは、ときどき熱を出して保育園に行けなくなり、そのときに親御さんは困ってしまいます。それなら保険のビジネスモデルを病児保育に当てはめてみたらどうだろうかと考えました。

1時間いくらではなく、月々いくらという風に、掛け捨てで払っていただきます。そして助けに行くときは無料という形にすれば、収益も安定するのではないかと思いました。使わなければ月会費が下がっていくし、使うと上がっていくという自動車保険の仕組みにして、月1回の保育出動は無料、月2回目以降は利用料をいただきます。

この試みは保育業界には存在していなかったものですが、始めてみると意外と多くの人に安心料という形でお支払いいただけました。これで比較的安定した収入源を構築することが出来たのです。フローレンスモデルとは、前述した非施設型かつ、この共済保険型の組み合わせなのです。

サービスエリアの拡大、2区から23区全域へ

本事業の立ち上げは2005年4月。最初は私が生まれ育った江東区と中央区から始めたのですが、すぐに大変な反響があり新聞にも取り上げていただきました。新聞掲載後は何百通ものメールが届き、「江東区、中央区だけではなくて私の区にも来て下さい」「本当に大変です。助けてください」など、切実な内容ばかりでした。やはり多くの方が同じ苦しみを抱えていたと確信したのです。

たった10世帯から始めて、現在では東京23区で500世帯の方々に病児保育を提供できるようになりました。昨年からは法人企業も契約してくださるようになり、リクルート、松竹、日本女子大、JPモルガンなどが契約くださっています。「当社社員の子供が熱を出したときに助けて欲しい。その代わりに支払いは当社が行います」というニーズです。

ある金融系の大手企業からはこう言われました。

「これは慈善でもCSRでもない。私たちの会社には女性社員がたくさんおり、その女性たちに年間で一人あたり数百万〜何千万円という金額を投資してします。しかし結婚して子供を生むと、その方々の何割かが確実に辞めてしまいます。それは私たちにとっては投資を十分回収出来ないままに人材を失うことになります。彼女たちがしばらくして当社に戻ってきてくれれば良いのですが、なかには競合他社に移ってしまう社員もいます。ですから最悪の場合、マイナス1の損失だけでなく他社をプラス1に利するので、マイナス2の損失になってしまいます。これに対する人事戦略上の合理的な判断として病児保育を導入していくのです」

規模の小さなNPOでも大きな企業と対等に取引出来るという時代になってきたこと、男女関係なく子供がいる社員に対する企業の人事戦略も変わりつつあるということ、が改めて確認出来ました。「日本の地盤が変わってきている」という、大きな胎動を証明することになったのではないかと思います。

フローレンスモデルをできるだけ多くの人へ届ける

ある時、厚生労働省の方が訪ねて来て、「ぜひモデルを参考にさせてほしい」ということだったので、資料などを全部お見せしました。そして数カ月ぐらいたったころでしょうか。新聞の一面に、「子供が急病、任せて出勤」という見出しが躍っている。

大人げない私は激怒しました。ビジネスの世界には先行者利益というものがある。やる前に一言ぐらいあってもいいじゃないかと。汗と涙で頑張ってきたものが、たった1時間半のヒアリングで持っていかれてしまうものなのかと。

大学時代の先輩にそのことを愚痴っていたら、逆にきつく叱られました。「あんたね、何言ってんの。そんなの当たり前じゃないの。あんたは何がしたいの。フローレンスは今すぐ仙台とか北海道で病児保育できんの。たった今全国で困っている人はどうすんの。何もできないでしょ。もし国にモデルを使ってもらって、その人たちが助かるんだったら、何が問題なの」と。

そういわれて、怒りを感じた自分が浅はかだったと猛省しました。民間や任意団体の人が様々な試行をし、屍を作っていき、その中で一部の人が成功したものを、国が制度として形作っていく。そうやって社会的な問題というのは解決されてきたのだ、ということを改めて噛み締めたのです。

ビジネスというのは自分たちの作った仕組みをブラックボックスにして成長していく。社会的ソリューションはどんどんオープンにしていって、各地で真似をしてもらい、各地で使ってもらう事で、広がっていく。社会的な問題が解決されていくわけです。

私たちは、「なかなかうまくいかない」「ノウハウがなくて立ち上がらない」と言う方々に対して我々の持っているノウハウを提供していく。一方で、足元の東京に関しては直営でやるという形をとっています。

今、月々掛け捨てで5000円から1万円、平均で大体7000円ちょっとぐらいいただいています。2人とも正社員の家庭にとっては、そんなに大きな負担ではありませんが、お1人で働かれている家庭にとってはとても負担が重い。特に1人親の方は大変しんどい。平均年収211万。これは日本の普通の世帯の年収に比べたら非常に低い。雇用保険に入っていなかったりすると、もう生活保護しかない。脆弱なセーフティーネットなんです。そんな人たちにも病児保育を提供しいくにはどうすればいいのか。

NPOの強みを生かして寄付を集め、「フローレンス一人親パック」というものを始めました。寄付を募るために最初は企業を回りました。そして外資系金融大手から寄付を頂くことができましたが、その後の経済危機もあり、中々寄付が増えていかない。オバマ大統領が1人当たり2000円ぐらいの寄付で何十億も集めているということで、これをパクろうと。

月1000円の寄付を頂く方が8人集まると1人救えるよ、ということで、寄付会員制度を始めました。現在そういったサポート会員の方が60人近くになりまして、20世帯を救えているということになっています。まだ始まったばかりですけれども、こういう形で色々な階層の方々に病児保育を提供していきたいなと思っています。

フローレンスの目指す社会、仕事と育児の両立

最後にフローレンスのビジョンについてご説明します。私たちは「子育てと仕事、そして自己実現のすべてに誰もが挑戦出来るしなやかで躍動的な社会」を作っていきたいと考えています。それは、お父さんが仕事を一生懸命頑張りながら家族に貢献出来て、子供の寝顔だけでなく笑顔も見ることができる社会を目指すことでもあります。そして地域社会への貢献や自分自身の勉強も出来る…、そんな社会が理想だとフローレンスでは考えています。

その実現に向けて、目の前に立ちはだかる病児保育の壁。まずはこれを突破するために病児保育の事業を展開します。同時に、子供が熱を出したときに休めるという働き方、職場環境、会社……、そういったものも実現する必要があるという考えから、「ワークライフバランスコンサルティング事業」を立ち上げました。主に中小企業の方々により良い職場環境を提案していく事業です。もちろん、企業の就業規則が変わったとしても職場の雰囲気や文化が変わらなければ、真に仕事と子育てが両立可能な社会は訪れません。

ですから価値観や文化、ノリを変えるための事業として「ソーシャルプロモーション事業」も展開していきます。具体的にはさまざまなメディアに露出することで、「病児保育」と「ワークライフバランス」というマイナーな言葉を流通させるとともに、仕事と子育てが両立可能な社会のビジョンをお伝えしていきます。

NPOにおけるプロモーションとは社会的課題をプロモーションすること。少しずつ言葉を知ることで認識が生まれ、認識が生まれることで行動が変化する。さらには行動が変化することで社会が変化していく。そんな流れを作っていきたいと思っています。それらの短期、中期、長期のアプローチを通じ、あるべき社会というのを作っていきたいなということで活動しています。

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