ジョン・コッターの8段階のプロセス: 企業変革は正しい手順で進めよ 

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『グロービスMBAリーダーシップ』の第1章から「ジョン・コッターの8段階のプロセス」を紹介します。

リーダーシップが最も強く求められるのは企業変革の場面です。近年のリーダーシップ論の第一人者であるコッター教授は、多くの企業が変革に失敗している点に着目し、その理由を解明するとともに、いかにその成功確率を高めるかということを研究しました。そこで提唱されたのが、変革のための8段階のプロセスです。変革を行うリーダーは、このプロセスを安易にスキップすることなく、適切に踏襲していくことが求められるのです。企業変革の必要性がますます高まる昨今、意識しておきたいものです。

(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、ダイヤモンド社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)

ジョン・コッターの8段階のプロセス

1980年代以降、アメリカの企業は、新技術の導入、戦略の大転換、リエンジニアリング、合併・買収、事業再編、技術革新の促進、社風の改革といった大規模な変革に取り組んできた。しかし、その多くが失敗に終わっている。

ジョン・コッターはその事例を分析し、大規模な変革が進まないのは、8つの「つまずきの石」が原因であると言う。すなわち、内向きの企業文化、官僚主義、社内派閥、相互の信頼感の欠如、不活発なチームワーク、社内外に対しての傲慢な態度、中間管理層のリーダーシップの欠如、不確実に対する恐れである。

そしてこれらのつまずきの石を乗り越え、大規模な変革を推進するために、以下の8段階のプロセスが有効であると主張する。

ジョン・コッターの8段階のプロセス

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出典:ジョン・P・コッター『企業変革力』日経BP社、2002年を参考にグロービスで作成

1) 危機意識を高める
市場と競合の状況を分析し、自社にとっての危機や絶好の成長機会を見つけ、検討していくことにより、変革に携わる関係者の間に「危機意識」を生み出すことができる。これがまず、変革を成功させる第1ステップになるとコッターは強調する。

1993年、経営危機に陥っていたIBMに乗り込み、大規模な変革を成し遂げたルイス・ガースナーは、「私は危機感を持っていない。私が持っているのは緊迫感であり、事業が好調なときも不調なときも、いつも変わらず持っている」と語っている(ルイス・ガースナー著、山岡洋一・高遠裕子訳『巨象も躍る』日本経済新聞社、2002年)。

コッターの言う“Sense of Urgency”を「危機意識」とする訳が定着しているので本書でもそうしているが、ガ一スナーのように「緊迫感」と捉えるほうがよいかもしれない。

2) 変革推進のための連帯チームを築く
変革をリードするための十分なパワーを備えたチームを築いていくために、変革の担い手を集める。変革推進チームには、変革の主導に必要となるスキル、人脈、信頼、評判、権限があることが望ましい。

3) ビジョンと戦略を生み出す
変革に導くためにビジョンを生み出し、ビジョンを実現するための戦略を立案する。成功した変革では、変革推進チームが簡潔で心躍るビジョンや戦略を策定している。

ビジョンとは何だろうか。コッターはビジョンを「将来のあるべき姿を示すもので、なぜ人材がそのような将来を築くことに努力すべきなのかを明確に、あるいは暗示的に説明したもの」と定義する。

さらに、優れたビジョンに備わる特徴として、「目に見えやすい」(将来がどのようになるのかがはっきりとしたかたちで示されている)、「実現が待望される」(従業員や顧客、株主などステークホルダーが期待する長期的利益に訴えている)、「実現可能である」(現実的で達成可能な目標から生み出されている)、「方向を示す」(意思決定の方向をガイドするために、明確な方向が示されている)、「柔軟である」(変化の激しい状況において個々人の自主的行動とさまざまな選択を許容する柔軟性を備えている)、「コミュニケートしやすい」(5分以内で説明することが可能である)の6つを挙げている。

4) 変革のためのビジョンを周知徹底する
シンプルで琴線に触れるメッセージをいくつものチャネルを通して伝え、ビジョンや戦略を周知徹底する。あらゆる手段を活用して、継続的に新しいビジョンと戦略をコミュニケートすると同時に、変革推進チームのメンバー自らが、従業員に期待する行動のモデルとなることも重要である。

5) 従業員の自発を促す
ビジョンが周知徹底されることで自発的に行動する人が増えていくように、変革を阻む障害を取り除くことが重要である。障害となりうる組織構造やシステムを変革することで、従業員がリスクを取り、いままで遂行されたことのないアイデア、活動、行動の促進が可能となる。

6) 短期的成果を実現する
業績上で目に見える短期的成果を生む計画を立案し、実際に短期的成果を生み出す。これらの短期的成果に貢献した人々をはっきりと認知し、報酬を与える。

7) 成果を生かして、さらなる変革を推進する
短期的な成果をテコとして変革に勢いをつけ、変革のビジョンに馴染まないシステム、構造、制度を変革する。また、変革ビジョン推進に貢献する人材の採用、昇進、能力開発を行い、当初の変革を定着させる。

8) 新しい方法を企業文化に定着させる
変革ビジョンに基づいた新しい方法と企業の成功の関係を明確に示し、各階層のリーダーが変革を根づかせる。また、リーダーや後継者の育成を進めていくことで、変革を企業文化として定着させる。

コッターはこの8段階について、第1段階から順を追って進めることが重要で、途中のプロセスを飛ばしてはいけないと強調している。

(本項担当執筆者: グロービス経営大学院 林恭子)
次回は、『新版グロービスMBAリーダーシップ』から「サーバント・リーダーシップ」を紹介します。

◆グロービス出版

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