仮説とは: コンサルの定番思考法で仕事のスピードアップを 

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『グロービスMBAクリティカル・シンキング』の補論から「仮説とは」を紹介します。

仮説思考はコンサルティングファームなどでも基本となる思考方法の1つです。「たぶんこんなことが言えるのではないか」とあたりをつけて、検証しながら物事を進めると、格段に仕事のスピードや生産性が上がります。日本を代表する高収益企業のセブン-イレブンジャパンも、仮説思考を徹底していることで有名ですし、近年、ベンチャーで流行っているリーンスタートアップなども、仮説思考の応用と言えます。不確実性の高い昨今、仮説を立ててスピード感を持って検証していくことの重要性は、さらに増していくことでしょう。

(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、ダイヤモンド社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)

仮説とは

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●仮説の定義
本書では、ビジネスにおける仮説に関するほかの多くの書籍と同様、仮説とは広く「あるイシューに対する仮の答え」と定義する。

「仮の答え」であるので、本当にそれが正解であるかどうかは、仮説の段階では問われない。今後、検証する過程で反証例が出てくることもあるだろう。その際は、速やかに修正すればよい。正解を出さなければと妙にプレッシャーを感じて、発想が委縮してしまうのはむしろマイナスである。

とはいえ、まったく無制限に思いつきを出せばよいというものでもない。「あるイシューに対する」とあるとおり、何かビジネス上のイシューがあることを前提とする。イシューとは関係のない唐突な思いつきは、ここでは論じない。

また、仮説は「仮説・検証」とワンセットの言葉になっていることにも表れているように、検証という思考作業と不可分である。それが正しいかどうか後で検証されて、「仮」ではない「確かな答え」となるか、あるいは否定されるか、どちらかに至る。そのため、検証が可能な言葉で表現される必要がある。「検証可能」とは、仮説の意味するところが明確で具体的なことを指す。たとえば「芸術は爆発だ」や「お客様は神様です」というような、読み手によって異なる意味を想像できてしまう表現は、たとえそれ自体は深い洞察を示すものだとしても、「仮説」と呼ぶにはそぐわない。

●論理構造・分析における仮説の位置付け
第1部で紹介した論理の構造や、第2部で紹介した分析の過程で、仮説がどのように位置づけられるかを見ていこう。

仮説を出すという思考は、メインメッセージやキーメッセージをつくる際に行われる。たとえば、図では「A事業から撤退すべきか否か?」というイシューに対して、「市場」「競合」「自社」の枠組みで考えているが、ピラミッド・ストラクチャー全体の「頂点」であるメインメッセージ、および3つの枠組みのキーメッセージにあたる部分に仮説が入るというイメージである。

ピラミッド・ストラクチャーと仮説

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そして、立てた仮説について、「この仮説が正しいと言うためには、何を言う必要があるか」という観点から考え、それらの諸点について仮説を裏づけるファクトがあるかどうかを見る。これが「検証」作業である。

このように、ピラミッド・ストラクチャーを用いて思考を構造化するには、仮説・検証という思考が密接に絡んでいる。なお、第1章で解説したピラミッド・ストラクチャー作成のステップと、仮説検証との対応関係については、次項でより詳しく述べることとする。

そして仮説・検証を進めていくにあたっては、第2部で解説した「分析」の考え方が至るところで顔を出す。主な場面としては、次のようなものだ。

まず、初期の比較的粗い仮説を出すには、状況の全体像をざっくりと整理することが有効だろう。その際には、全体を俯瞰するフレームワークの知識が役に立つ。たとえば、上記の「A事業から撤退すべきか否か?」というイシューの例では、「3C」の枠組みを使おうとしている。

検証にあたって「この仮説が正しいと言うためには何が必要か」と考える際には、物事を属性によってMECEに切り分け、かつ説明するのに感度のよい切り口を探すという思考が必要になってくる。上記の例でたとえば「自社」の枠を埋める仮説が「わが社の強みが活かせない(だろう)」だとして、自社の強みを特定するのにどのように切ったらよいか、最も都合のよい(感度のよい)切り囗は何かを考えるのである。

さらに、より精緻に仮説を進化させていく際には、物事をプロセスで切ったり、モデル式に変換したり、因果関係をとらえたりといった思考を使うことがしばしばある。

次回は、『グロービスMBAクリティカル・シンキング改定3版』から「よい仮説とは」を紹介します。

◆グロービス出版

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