グローバル経営人材の要件と育成プログラム: 能力開発は「3+3」で  

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このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、重要パートを厳選して、抜粋掲載していく、ワンポイント学びコーナーです。

『グロービスMBAマネジメント・ブックⅡ』からのピックアップ第8回目となるとなる今回は、「グローバル経営」章から「グローバル経営人材の要件と育成プログラム」を選びました。グローバル経営人材は、通常のビジネスリーダーの要件に加え、さらに3つの資質、能力を必要とします。それゆえ、その育成は容易ではありません。その鍵を握るのが、異質な環境から学ぶためのフィールドワークと、そのためのグローバルなネットワークです。

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【POINT】
グローバル環境で経営を担う人材には、ビジネススキルとして普遍的に求められるものに加えて、英語力、国際的視野、異文化コミュニケーションカの3つが必要となる。それを身につけさせるうえで、従来のクラスルーム型の育成方法に加えて、新たな教育メソッドが有効になる。

◆グローバル経営人材に求められる要件

一般に、ビジネス経営人材には、ビジネスフレームワークの理解、コンセプチュアルスキル、ヒューマンスキルの3つが必要だと言われている。これに加えてグロービスでは、世界次元で活躍するグローバル経営人材には、英語力、国際的視野、異文化コミュニケーション力の3つのスキルが必要だと考えている(3+3の能力)。

英語力とは世界に通用する言語を用いてコミュニケーションをする力、国際的視野はマクロ環境の文脈に沿った各地域や国の戦略など、さまざまな視点から物事を見て判断する力、そして異文化コミュニケーションカは、多様性の高い組織において信頼と人間関係を構築できる力である。これらの6つの力が、グローバル経営人材にベースとして求められる要件である。

◆グローバル経営人材育成のスコープ

グローバルに活躍する人材を育成するには、研修プログラムに代表されるOff-JTのみならす、OJTも含めた広い意味での人材育成プランを設計し、実施する必要がある。特に、実務の中で育成の機会をいかに担保するかが課題となる。

米ロミンガー社の調査によれば、グローバル経営人材の育成においては、70%が経験(on-the-job experiences)、20%が上司からの薫陶(working around good and bad examples)、10%が研修プログラム(courses and reading)から学びを得ているという結果がある(70/20/10モデル)。つまり、実務上の経験を通して成長しているケ-スが圧倒的に多いわけだ。したがって人材育成を設計する際には、業務上どのような経験をさせるべきか、そして、チャレンジングな経験をさせるうえで適切な指導ができる上司やメンターがいるかどうかが、きわめて重要な要素となる。付言すれば、全体の10%にしか満たない研修プログラムは、他の90%を占める業務上の経験からの学びを、後押しするものでなくてはならない。

◆グ囗一バル経営者育成プログラム

グローバル化を目前の経営課題としている企業では、前述の70/20/10モデルを前提としつつ、対象人材にスキルとマインドセットを醸成するプログラムを適切なタイミングで実施することになる。特に「未知の環境」で働くために必要となる力を身につけるプログラムを、準備しなくてはならない。それは、まずは頭で理解し、次に実際に体感し、最後にグローバルなネットワークづくりを行うことである。

(1)頭で理解する
MBAに代表されるようなプログラムで、経営に必要とされるフレームワークとその活用方法を徹底的に理解・訓練する。また、自社の課題を取り上げて今後の戦略実行計画をつくり、経営層との議論を繰り返しながら経営の思考プロセスを身につけさせる。通常、半年から1年ぐらいの期間をかけて徹底的に鍛え上げる。

(2)実際に体感する
頭で理解したことを、実際に現地の課題に適用させる。ビジネスのルールや常識が異なる新興国の産業や生活に入り込み、人々の息遣いを感じて初めて、実地で使える戦略や施策を考えられるようになる。また、異なる環境に身を置くことで、自身のミッション、ビジョンを明確に意識して、自社や自身のアイデンティティを確立する。こうしたプログラムをイマージョン(現地に浸る)・プログラムと言う。ここではフィールドワークの機会を多く設け、肌感覚に訴えることを重視する。

(3)グローバルなネットワークをつくる
異なる環境から継続的に学ぶためには、グローバルな社内ネットワークづくりが欠かせない。また、最新のビジネス環境や製品・サービス、ソリューションに関する情報を有効に入手できる環境も必要である。構築するネットワーク(人間関係)は通り一遍のものではなく、相手が何を求めているかを知り、腹を割った議論ができることがきわめて重要となるため、冒険教育などの屋外活動、芸術、スポーツ、武道などの体験活動や、本心をさらけ出し合うようなプログラムも有効である。

(本項担当執筆者:GLOBIS Asia Pacific Pte. Ltd.代表 高橋亨)

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次回は、『グロービスMBAマネジメント・ブックⅡ』の「グローバル経営」から「CSV経営への挑戦」を紹介します。

ダイヤモンド社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載しています)

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