MBA経営辞書「取引コスト」 

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取引コスト(Transactioncost)

経済的な取引を行うときに発生するコスト。たとえば量販店で家電製品を買う場合に発生するコストには、顧客サイドから見た場合、売価だけではなく、その製品を探す際の手間暇や、店頭での価格交渉の手間暇なども含まれる。

もともと取引コストという概念は、ロナルド.H.コースが1937年に『企業の本質』の中で提唱したとされる(当時、彼は「取引コスト」という用語は使っていなかったが、概念はまさに取引コストであった)。

コースの問題意識は、経済取引を行うに当たり、なぜすべてを市場取引に委ねず、企業組織という制度が存在するかというものであった。企業組織が存在するのは一見当たり前のように思えるが、それを経済学的な見地から解明しようとしたところにコースの着眼の鋭さがある。

コースは先の問いに対し、企業組織が存在するのは、市場取引だけでは効率化できないコスト要素(取引コスト)が存在するためであることを明らかにし、市場において適切な取引がなされるように促すための法制度などの必要性を説いた。

取引コストは大きく分けて以下の3つが挙げられる。
1)情報探索の費用:取引相手や取引条件(価格、品質、納期、アフターサービス等)を知る、あるいは相手に知らせるための費用。特にIT技術などがなかった時代にはこのコストは非常に大きかった。

2)交渉・意思決定の費用:取引相手と交渉し、取引条件を決定するための費用。特に機会費用の大きな人間が長い時間交渉に携わらなければならない場合などは、このコストは非常に大きくなる。

3)契約締結・履行確保のための費用:合意した内容を確認し、また確実に履行する(させる)ための費用。具体的には、監視を行ったり、履行がなされていない場合には様々な形で警告を発したりするコストが含まれる。一般に、商習慣が違い、距離も離れている国外の相手などはこのコストは大きくなる。

もちろん、企業組織が出来たからといってこれらのコストがすべてゼロになるわけではない。たとえば、部門間の交渉による移転価格制度を採用している企業であれば交渉の費用は発生する。とはいえ、すべてを市場取引に任せれば、そのコストは膨大になるのは明白であり、ゆえに、企業組織を作るメリットが生じるのである。

1975年にはオリバー.E.ウィリアムソンがコースの理論を発展させ、様々な状況において取引コストがどう高まったり下がったりするかを明らかにした。ウィリアムソンはこの功績によりノーベル経済学賞を受賞している。

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