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なぜこんなに発言しにくい? -集団浅慮

投稿日:2011/03/09更新日:2019/08/15

問題です

以下のCさん、Dさんの問題は何か。

ある会議において。

Aさん: 「それでは、この議題は誰も反対なし、全会一致ということでいいですね」

B社長: 「このプロジェクトはこの会社での仕事の総まとめだと思っている。くれぐれも皆の協力を期待したい」

Cさん: (うーん、正直言って、戦略的にも、実行面からも、あまりこのプロジェクトがうまくいきそうな感じがしない。ここは、俺も経営陣の一角として、ストップをかけるべきか。しかし、皆が賛成の中で1人だけ反対するものなあ。臆病だと思われるのも得策じゃなさそうだし・・・)

Dさん: (あの財務計画はかなり杜撰だ。たぶん、リアルオプションまで出したとしても、現実的な数字を洗い出したらノーになるはずだ。しかし、皆が賛成するところで、俺が口火を切れそうな雰囲気はないな。うーん、困った・・・)

A: 「では、特に反対もないようなので、あとはHOWの議論に移りましょう」

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解答です

今回の落とし穴は、「集団浅慮」です。英語ではグループシンクと言われます。集団の圧力により、その集団で考えていることが適切かどうかの判断能力が損なわれる状況です。

集団浅慮の結末として、往々にしてリスキーシフトと呼ばれる現象が起こります。これは、グループでの意思決定は、極端な方向に振れやすいという現象です。今回のケースも、Cさん、Dさんが勇気をもって発言しなかった結果、本来望ましくなかったプロジェクトに誰も反論せず、会社として非常にリスクの高い意思決定をすることになってしまいました。

集団浅慮の研究で著名な心理学者アーヴィング・ジャニスは、集団凝集性(集団の構成員を集団にとどまらせようとする力)が高く、クローズドな環境である、あるいは外部からのプレッシャーが大きい時など、いくつかの条件が重なった時に、集団浅慮が発生しやすいと指摘しています。

また、『「空気」の研究』で著名な山本七平氏は、こうしたジャニスの指摘に加え、日本では、『「空気」の支配』というものがあると指摘しています。これは、当事者以外には説明しにくい「場の空気」に誰も逆らえない結果、誰が決めたということが曖昧なまま、意思決定がなされてしまうというものです。その最も有名な例が第二次大戦です。「あの空気の中で反論を言える人間はいなかった、後講釈で非難するのは不適切」と当事者は言います。山本氏は、ディシプリンの欠如などを、こうした日本的集団浅慮の原因として指摘しています。

では、集団浅慮を避け、グループによる思考を適切に行うにはどうしたらいいのでしょう。ジャニスは次のような防止策を提案しています。

・集団のリーダーは、各メンバーが批判者としての役割を果たすように鼓舞する

・集団の中心的人物は、最初から自分の好みや期待を述べることを控えて公平な姿勢をとり、数多くの選択肢の探索を行うように部下を鼓舞する

・集団の外部に、別のリーダーをもつ立案・評価グループを設置する

・集団が最終結論に達する前に、各メンバーが集団の原案について同僚と討議し、それを集団にフィードバックする期間を設ける

・外部から専門家を招いて、集団の中核的メンバーの見解に挑戦させてみる

・集団がとるべき選択肢を評価するとき、多数意見に挑戦するDevil'sadvocate(悪魔の代弁者)役を設ける

・集団を2〜3個の下位集団に分けて、異なる司会者のもとに別々のミーティングを持ち、下位集団の意見を持ち寄って検討を重ねる

・最善の策と思われるものについての予備的合意に達した後、第二の合意を得るためのミーティングを開いて、それぞれのメンバーが積み残している疑念をできるだけ率直に表明するようにする

こうしたことを複数実行するだけで、会社が極端にリスキーな方向に走ることを回避しうるのです。ぜひ、自分の会社で集団浅慮が起こっていないか確認してみてください。

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