「働きがい」、ありますか? 

グロービス・ニュース
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

あなたにとって「働きがい」とは何ですか――。かつてのバブル時代に闊歩した、モーレツに働いて役員や社長を目指す、というキャリア観はもはや前時代的。受験戦争を勝ち抜いて、良い大学から良い会社に入ることが一番という人生観も過去の遺物になりつつある。働き方に対する価値観は多様化し、「働きがい」に対する考え方もこの10~20年で様変わり。では、“今どき”の働きがいとは一体どこにあるのか。人材開発や組織行動論の専門家であり、同分野の人気講師でもある林恭子 グロービス経営管理本部長に聞いた。

4101 2

編集部: 「働きがい」というものは、人によって考え方が大きく違うでしょうし、掴みどころがないのですが、時代とともに変容してきたということは言えると思います。“今どき”の働きがいとは、どのようなものなのでしょうか。

林: 内発的な動機ということがよく言われますね。2008年のリーマンショックや2011年の東日本大震災を経て、日本だけでなく、世界的な規模で、お金や人生、家族、友人との関係、物を所有するということ、そして、何のために働くのかということなど、一切合切を含めた価値観のパラダイム・シフトが起きているのです。

かつては「生きるためにお金を稼ぐ」ということが働く目的という時代もありましたが、社会全体が豊かになってくると、「もっとたくさんのお金を稼ぎたい」という労働の理由付けが生まれ、さらには「経済的な豊かさこそが人生の勝敗を決する」というような行き過ぎた風潮も生まれました。日本ではバブル経済が膨張していた頃がその絶頂だったように思います。

ところが最近は様相が違いますよね。明らかに、お金以外の価値に「働きがい」を求める人が増えてきています。

編集部: 失われた20年を経て、経済的希望が失われたということなのでは。

林: 長い経済停滞の時期に社会人となった、「Japan as No.1」を知らない世代には、経済的成功など夢のまた夢と感じている人もいるでしょう。加えて、経済の活力を削ぐ少子高齢化、破綻しかけている年金制度など、将来に対する不安材料はいくらでもあります。ただ、そういう絶望感だけが変化の要因ではないと私は思います。

今起こっている労働観の変容は世界的な潮流です。ベストセラーになった『ワーク・シフト-孤独と貧困から自由になる働き方の未来図<2025>』(プレジデント社刊)を読んだ方も多いと思いますが、著者のリンダ・グラットン氏は「多様な人と協力して何かをなすこと」「他者との共感を大事にし、バランスのとれた生活をすること」「(大企業に所属するより)自身の興味や情熱を軸としたミニ起業家となり、そういう者同士で生態系を築いていくこと」が、これからの時代の「働きがい」の源泉になるのだと分析しています。

会社という組織の傘の下でしか力を発揮できなかった「個」が、少しずつ力をつけ、インターネットなどの便利なツールもうまく使って広い世界に飛び出し、互いにつながりあい、会社に依存しない「個」として自立する時代が、始まりつつあるのではないでしょうか。

最近の会社では、「職場環境」「人間関係」「報酬」といった経営用語で言うところの「衛生要因」に対する改善欲求をあまり持たない人が増えているのだそうです。「会社」という切り口ではなく、「自分」という切り口で、働くということの意味や意義、価値を再考しているからです。個の内面を充実させることを重視し、昇進や肩書き、お金の問題等はメインイシューではなくなっているような印象を受けます。かといって、会社との関係を断つわけではなく、緩やかにつながりながら、公私のバランスをフレキシブルに保っているんですね。

例えば、本業とは別に“二枚目の名刺”を持って活動する人もいますよね。プロボノという言葉も定着してきました。NPOなどに参加して途上国を支援する、震災被災地でボランティアとして活動する、ということに対して若い世代は抵抗感がありません。仕事を通じた「社会貢献」や、働くことへの「志」といった精神性が、これまで以上に重視されているのです。

編集部: 経済危機や自然災害、テロや紛争などを目の当たりにして、人々はそうした精神性の大切さにいよいよ気づいたのかもしれませんね。

林: はい。例えば、日本では東日本大震災を機に、多くの人たちが「自分も何かをしたい」という強い思いを持ち、行動を起こしました。そして、そうした人たちがロールモデルとなり、その姿を見た人たちが「自分もあんな風に活動したい」「あの人のように生きたい」と触発され、行動の連鎖がつながっています。会社という枠の中での「働きがい」という発想から、この世界の中で何に価値を求めるのかという「生きがい」へ、より大きな発想へと焦点がシフトしているのだと思います。

編集部: そうした変化に企業はどう対応したらよいのでしょうか。

林: 私は今、新しい「War for Talent」(人材の争奪戦)の時代が到来していると考えています。グローバル化が進み、国籍、性別、年齢、指向、考え方などの多様性も一層広がる社会の中で、企業は、様々な人とネットワークを築き、シナジーを生みだせるような優秀な人材をこれまで以上に必要としています。企業にとっては、まさに優秀な人材の奪い合いの時代が来るのです。だからこそ考えねばならない一番の問題は、「どういう企業であれば優秀な人材に来てもらえるのか?」「どうすれば、長く居てもらえるのか?」ということです。

自分がやっていることの意味や意義、価値がしっかりと感じられること、良い同志や仲間に囲まれていること、自分のいる環境で成長できる実感があること――などが、その条件として挙げられるでしょう。

グロービスはこのほど、「Great Place To Work(R) Institute Japan」による「働きがいのある会社」調査で8位にランキングされました。私たちが一番大切にしていることは、大きな目標に向かって進んでいるという実感と意識を社員の皆さんにしっかり持ってもらうことです。

全拠点の社員が一堂に会するリトリート(合宿形式の研修)やAll Staff Meeting(全社集会)など、自分たちが取り組んでいることを見つめ直す機会を定期的にきちんと用意しています。そうした場で、代表の堀義人は年初に発表した年度方針を繰り返し伝え、進むべき方向を確認しています。何を目指すのか、なぜ目指すのか、自分はいかに組織に貢献できるのか、そして最終的に社会にどう貢献できるのか―。これを明確にしているので、社員一人ひとりが自分の頭で考え、会社との関係性の中で自分自身の「生きがい」を感じられるのでしょう。こうした営みこそが、「働きがいのある会社」としての良い評価につながっているのではないかと思うのです。

<グロービス・ニュース>

◆グロービス、「働きがいのある会社」調査で8位に選出

グロービスは、Great Place to Work(R) Institute Japanが実施している2015年「働きがいのある会社」調査において、従業員100~999名の企業カテゴリーで第8位に選出されました。昨年の調査(14位)より大きくランキングを上げる結果となりました。ランキング入りした企業は「ベストカンパニー」として公表され、「日経ビジネス誌」(日経BP社発行)の2015年2月16日号に関連記事が掲載されています。

1位 VOYAGE GROUP
2位 バリューマネジメント
3位 サイボウズ
4位 セプテーニ・ホールディングス
5位 マース ジャパン リミテッド
6位 コールド・ストーン・クリーマリー・ジャパン
7位 アイ・ケイ・ケイ
8位 グロービス
9位 ネットアップ
10位 ネクスト

ランキング結果の詳細は、http://www.hatarakigai.info/ で紹介されています。

リンク
◆グロービスの採用情報についてお知らせします

(1)グロービス採用情報サイト
(2)2015年4月4日東京開催【名阪Uターン歓迎!】採用セミナー
(3)2015年4月9日開催~企業変革を実現するグロービス流アプローチとは~

――― グロービス・ニュース ―――

【おすすめリンク】
人気セミナーの動画やMBA講師のコラムが満載。アプリで学んでスグ活用!
ダウンロードはこちら>>

名言

PAGE
TOP