MBA経営辞書「社内移転価格」 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

社内移転価格(TransferPricing)

社内の事業部門間の製品やサービスの取引価格のこと。単に移転価格、あるいは社内振替価格と言うこともある。

業績管理を徹底し、組織の生産性を上げるためには、事業部をそれぞれ独立会社とみなし、製造部門から販売部門への製品の移動についても取引価格を設定し、各部門をプロフィットセンターとして利益を計算していくことが望ましい。そしてそのためには、各責任単位の売上高、原価を厳格に決定する損益計算ルール、さらには責任単位別貸借対照表の作成ルールをも設定することが望ましい。その際、移転価格は各部門の利益に大きなインパクトを与え、必然的に業績評価や各部門の戦略策定にも大きな影響を及ぼすことになるので、その決定は慎重に行う必要がある。

通常、社内移転価格は、原価と市場価格の間で適当な価格に設定するのが一般的である。たとえば、製造部門から販売部門への社内移転価格が原価に近く設定されれば販売部門が有利となり、販売部門の努力次第で利益が決まるようになってしまう。一方、社内移転価格が市場価格に近く設定されれば製造部門のほうが利益を出しやすくなり、販売部門は自社内部から購入するメリットを感じなくなる。しかし、製造部門で一定の利益を獲得したうえで社内移転価格をベースに販売部門が努力をするようになるため、会社全体としてはより高い利益を獲得する可能性が出てくる。

事業部門間の取引については、社内だからという理由で、どんなに価格が高かろうが、あるいは品質が悪かろうが、無条件に取引を行うことは避けなくてはならない。可能ならば、取引価格についても事業部間の直接交渉に任せ、交渉がまとまらない場合には他社に販売したり、他社から仕入れたりすることができる制度を採用し、それぞれが独立した企業のように活動していくことが望ましい。

しかし一方では、社内間での取引価格設定の交渉がパイの奪い合いになれば、徒労感やむなしさを伴うことになる。事業部間の競争を促す半面、事業部の利益のため会社全体の利益が犠牲にされることも十分予想される。たとえば、開発初期の製品を、価格が高いという理由で社内購入しないとしたならば、規模効果や経験効果によるコストダウンのスピードは落ちることになる。

次回は「社内金利制度」を取り上げます。

▼「MBA経営辞書」とは
グロービスの講師ならびにMBA卒業生など、幅広い分野から知を結集して執筆された、約700語の経営用語を擁する辞書サイト。意味の解説にとどまらず概念図や具体例も提示し、マーケティング、ファイナンスなどの分野別に索引できる。今後、検索機能ほかサイト機能の追加を行う一方、掲載用語を1000語程度まで拡充した上でサイト上でのご意見の収集ならびに監修の実施を通じた更なる精緻化を図り、グロービス編著のベストセラー書籍『MBAシリーズ』と併読いただける書籍として出版を予定している。

名言

PAGE
TOP