MBA経営辞書「知覚価値価格設定」 

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知覚価値価格設定(PerceivedValuePricing)

マーケティング・リサーチなどにより、「売れる価格帯」を発見し、原価がそれよりも高い場合には、コスト削減や製品仕様の見直しなどを行い、その価格帯に原価を近づける手法。需要志向の価格設定手法の一つ。

製品が差別化されており、激しい競争環境にない場合は、「売れる価格帯」を発見すること、さらには顧客に「適切な価格である」と認識させることが重要となる。特に、ブランド製品やある種のサービスは、古典的な需要−価格の関係が成り立たないことも多く、価格が上がったからといって必ずしも需要が減るとは限らない。逆に、価格を上げた方が、顧客に高品質や高い満足度を連想させ、需要が増える場合も少なくない。

この手法を用いて成功した例にアメリカの皮革製品メーカーのコーチの日本戦略がある。同社は従来、良質の革を素材に使用し、保守的なデザインと丈夫なつくりから人気を博していた。しかし1990年代半ばから、消費者はルイ・ヴィトンに代表されるヨーロッパの高級ブランドを好むようになり、コーチの提供するテイストから離れてしまう。

こうした状況を打破するために、経営陣は新しいコンセプト、「手の届く高級品(アクセシブル・ラグジュアリー)」を打ち出す。価格設定は、競合分析に基づき、ヨーロッパの高級ブランドのバッグ(最低でも7〜8万円)と、日本国内ライセンス・ブランド(3万円以下)の中間を狙い、中心価格帯を4〜5万円とした。

さて、この価格帯では、従来のように高品質な革を十分に用いたバッグを作り、利益を出すことは難しい。そこでコーチは、素材とデザインを変更してナイロンや布を使い、コストを大幅に抑え、軽量で明るいカラーのバッグを開発した。同時に、高級品としての地位を獲得するために、プロモーションに力を注ぎ、店舗空間にも工夫を凝らしたのである。

次回は「コストプラス・プライシング」を取り上げます。

▼「MBA経営辞書」とは
グロービスの講師ならびにMBA卒業生など、幅広い分野から知を結集して執筆された、約700語の経営用語を擁する辞書サイト。意味の解説にとどまらず概念図や具体例も提示し、マーケティング、ファイナンスなどの分野別に索引できる。今後、検索機能ほかサイト機能の追加を行う一方、掲載用語を1000語程度まで拡充した上でサイト上でのご意見の収集ならびに監修の実施を通じた更なる精緻化を図り、グロービス編著のベストセラー書籍『MBAシリーズ』と併読いただける書籍として出版を予定している。

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