純粋想起と助成想起(purerecall,assistedrecall)
純粋想起とは、製品カテゴリー等の手がかりが与えられたとき、特定のブランドを思い起こせること。たとえば、「ハンバーガーショップと言えばどこを思い浮かべるか」といったように、ハンバーガーショップというカテゴリーが与えられただけで、特定のブランド名を再生できる状態を指す。ブランド再生、非助成想起とも言う。また、回答者のうち、純粋想起した比率を純粋想起率、非助成想起率、再生知名率という。
一方、あるブランド名を手がかりとして与えられた時、そのブランドへの認知を確認できることを助成想起と言う。たとえば「○○というブランドを知っているか」というように、提示されたブランドについて、それが既知であると確認できる状態である。ブランド再認とも呼ぶ。また、回答者のうち、助成想起した比率を助成想起率、あるいは認知率、再認知名率と呼ぶ。
一般に、助成想起よりも純粋想起の方が記憶の程度が強い。そして、純粋想起の方が、購買の際により選択されやすいとされている。
広告戦略において、どちらを重視するかは製品のタイプによって異なる。たとえば、清涼飲料水やスナック菓子のように、消費者のこだわりが比較的小さく、店頭で手に入れやすいものを気軽に選ぶ製品(最寄品)では、比較的、ブランド再認が購買に結びつくため、再認知名率アップを目標とする場合が多い。
一方、車や高級腕時計などブランドの指名買いが多い製品(専門品)は、ブランド再生のレベルにないと購入の選択肢に含まれないため、再生知名率アップを目標に据えることが多い。
次回は「マインドシェア」を取り上げます。
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