長寿企業のガバナンスはなぜ効くのか? 

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企業不祥事の謝罪記者会見をテレビでご覧になったことがあると思います。企業は不祥事をなくすなめに、ルールを作ったり、監視役として社外取締役を置いたり、対策を取っています。創業300年を超える日本型サステイナブル企業の場合、同様の取り組みをしている場合もありますが、一方で極めて高い倫理観に基づいて自分を律するガバナンスのシステムを有しているという特徴も見られました。つまり、経営者や経営陣の倫理観を非常に強く保つ仕組みが、企業内に存在しているのです。

例えば、京都伏見にある月桂冠では、歴代の社長が、地元の様々な要職や公職を引き受けてきています。月桂冠そのものが「伏見のブランド」になっているので、役員の人たちの中にはそのことに関するプライドが生まれています。従業員も、「月桂冠の人だから」という信頼を地域から得、結果的に地域からのガバナンスが働いているように見えます。

同じように、ある創業数十年の地域ゼネコンの跡継ぎの方は、「お酒を飲んだ状態でタクシーに乗りにくい」と話していました。タクシーに乗ると、運転手が「あなたのおばあちゃんには本当にお世話になって」などと話しかけてくるからです。地域に根差せば根差すほど、きちんとしなければならないという意識が従業員と経営者の中に育ち、背筋を伸ばす状態となるのです。それに加えて、お祭りの開催などによって地域に対する貢献活動や協力をたくさんしている以上、地域との距離が狭まり、ますます地域から信頼されていきます。人間は、信頼されてしまうと、悪いことをしようと思わなくなるのではないでしょうか。ここではある種の日本の恥の文化が影響を与えているかもしれませんが、どんどん自律が促される方向に向かうようなシステムができ上がっていると見ることができるでしょう。

一方で、長寿企業は神事や政事、仏事を非常に大切にします。千葉にあるヒゲタ醤油は、自社でつくった神社を保有しています。毎日、神の存在を意識しているのです。その一点のみをとっても、悪いことをしなくなるという感覚が芽生えるだろうことは、大いに伝わってきます。300年企業ではありませんが、ソニーやパナソニック、花王も、神社を有しています。自社の敷地内に、神を意識する場を作っているのです。自分自身が抗えないものを頭の上に設定し、それに対して謙虚になった上で、常に意識しながら経営する。これが、自律を促すガバナンスとして、長寿企業には共通して見られるのです。

(本記事は、FM FUKUOKAのラジオ番組「BBIQモーニングビジネススクール」で放送された内容をGLOBIS知見録用に再構成したものです)
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