長寿企業になる秘訣は「徒弟制度」にある 

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前回は、企業が有する本質的な強みなり本質的な価値の源泉を「コア能力」と呼び、それをしっかり理解していることが長寿企業の一つの大きな特徴である旨をお伝えしました。今回は、長寿企業に共通して見られる人材育成の特徴について説明します。

長寿企業の人材育成について調べていくと、1つのキーワードが浮かんできました。それは、非常に古めかしい言葉ではありますが、「徒弟制度」です。徒弟制度とは、上げ膳据え膳で技術を教えるというものではなく、お弟子さんが親方の背中を見て育つ形のシステムのことを指します。このような人材育成が、長寿企業においては非常に丁寧に、時間をかけて行われています。

例えば岡谷鋼機竹中工務店では、新人は皆、寮に入ることになっています。そこで生活を共にしながら、価値観をすり合わせたり、いろいろな議論をしたりして、自分たちが企業の社員であることの意味などを考えていきます。月桂冠では、機械化された設備で日本酒をつくっていますが、新入社員は合宿において昔ながらの方法で日本酒をつくるトレーニングを課されます。長野県にあるヤマトインテックという鋳物の会社では、新入社員の職種や学歴に関わらず、まずは5年もの間、工場で製造に携わらせます。そうすると、5年が経った頃には、全員鋳物の匂いが好きになっているそうです。

このような状況下では、新入社員は先輩とたくさん会話し、先輩のたくさんの背中を見て、やり方を感じ取っていくでしょう。つまり、新入社員を1カ所に集めて1時間くらいのセミナーを開いて終わりとするわけではなく、徐々に徐々に刷り込むプロセスを経て、その企業にふさわしい人物をつくっていくのです。こうしたシステムがうまく組み込まれている企業では、社員寮があり、工場における長い研修、運動会、クラブ活動なども非常に盛んに行われています。実はこれらのことは、少し前の日本の企業の多くでしばしば見られたものでしたが、コスト削減という名目の元に廃止となってしまったのです。そうした企業は、現在では、社員間のコミュニケーション不足に悩むこととなっています。

このように長寿企業は、これまでの日本企業が当たり前のように大切にしてきたものを、今なお当たり前のように続けているのです。つまり、大切にすべき価値観を、景気の良し悪しや売り上げの良し悪しとは別の次元でとらえている点が長寿企業の特徴の1つとも言えるでしょう。ものすごくシンプルに、ただ大切だから続ける。大切でないものはやめる。そのような一貫した価値観が前提にあり、人材育成においても生かされているように思います。

300年企業ではありませんが、グーグルもまた、クラブ活動等を非常に大事にしているそうです。以上を踏まえれば、日本企業はやめなければよかったことをいろいろとやめてしまい、その結果、いろいろなところに軋みが生じていると考えることができるかもしれません。長寿企業を見習い、復活させるべき施策を復活させることがあっても良いのではないでしょうか。

(本記事は、FM FUKUOKAのラジオ番組「BBIQモーニングビジネススクール」で放送された内容をGLOBIS知見録用に再構成したものです)
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