ものごとの「とらえ方」が自分の生きる世界を決める 

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この連載コラムを開始するにあたって、最初に選んだテーマは、ものごとの「とらえ方」です。人生で遭遇する無数の出来事をどうとらえるかというのは、ひょっとすると、自分がどんな知識や技術を持つかよりも大事かもしれません。なぜなら、ものごとのとらえ方というのは、知識や技術よりも根底のレベルにあって、自分をどんな知識や技術習得に向かわせるかを決めてしまうはたらきをもっているからです。そして結果的に自分のキャリアや人生の運・不運にまで影響を与えていく。ともかく、それほど重要なテーマです。

そこで今日の概念図は、米国の臨床心理学者アルバート・エリスの「ABC理論」です。この理論は、ものごとの「とらえ方」が自分の感情をつくり、ひいては自分が生きる世界を決めていくということを説明するものです。

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「ABC理論」でいうABCとは、次の3つを意味します。

・A(Activating Event)=出来事
・B(Belief)=観念・解釈・思い込みといったものごとのとらえ方
・C(Consequence)=結果として表れた感情・気持ちなど

私たちは、何か自分の身に降りかかった出来事に対し、「よかった」とか「悔しい」とか感情を持ちます。そのため私たちは単純に、このときの因果関係を〈A〉→〈C〉であるかのように思いがちです。

ところが実際は、その感情〈C〉を引き起こしているのは、出来事〈A〉ではなく、その出来事をどうとらえたか〈B〉によるというのがこの理論の肝です。すなわち、因果関係は〈A〉→〈B〉→〈C〉と表されます。

これを理解するために次の具体例で考えてみましょう。

職場の同僚である織田さんと伊刈さんは、昼食のために定食屋に入りました。2人は同じメニューを注文して待っていたところ、アルバイトらしき店員が間違った品を持ってきました。そのとき、伊刈さんは「オーダーと違うじゃないか。いますぐ作りなおして持ってきてくれ」と、厳しく当たる対応をしました。

他方、織田さんは「まぁ昼食時だし、間違いも時にはあるさ。店員がまだ慣れてないのかもしれないし。ぼくはおなかがいっぱいになればいいからそのメニューでいいよ」と、穏やかな対応をしました。このように2人は同じ出来事に遭遇しました。しかし、結果として持った感情はまったく異なっています。これはなぜでしょう……。

それは、その出来事に対する各々の「とらえ方」が異なっていたからです。

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私たちは生きていく途上で実にさまざまな出来事に遭遇していくが、それをを100%コントロールすることはできない。しかし、それをどうとらえるかは、自分の意思のもとにあり、ある程度、コントロールができる。それによって、自分の感情や気持ちを好ましいほうへもっていくことができる。その積み重なりは、長い目で見れば、自分の生き方や運命を意思的に変えていくことにつながっている―

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ですから、ものごとの「とらえ方」というのは、平安に力強く生きていくためにとても大事なものです。

さて本連載では、文章とともに、ものごとの本質をとらえる概念図をさまざま紹介してまいります。まさに概念図は、「ABC理論」でいうところの〈B〉にあたります。1枚の強い概念イメージをヘソの奥に据えることで、あなたの仕事が変わり、キャリアコースが変わっていくことは十分に起こりえるのです。

最後に、今回のテーマに関連する箴言を2つ。

「人はものごとをではなく、それをどう見るかに思いわずらうのである」。
───エピクテトス(古代ギリシャ・ストア派の哲学者)

「事柄に怒ってはならぬ。事柄はわれわれがいくら怒っても意に介しない」。
───モンテーニュ(フランスの哲学者)

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