言葉を選ぶセンスはどう鍛えればいい? 

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言語選択力とは、適切な言葉を選ぶことができるスキルのことです。

ビジネススクールの学生から、よく言語選択力について尋ねられることがあります。「言いたいことがあるんですが、大事な場面で適切な言葉がすっと出てきません」「インパクトがある言葉をぱっと言える人が周りにいますが、私はそういうのがどうも苦手です」といった感じです。

この問いに答える前に、言語選択力の重要性について説明しておきましょう。言語選択力は、どの業界、どの職種においても、非常に大切なスキルです。私自身、前職では採用に携わっていましたし、今でも初対面の方とコミュニケーションする機会が多くありますが、やはり、短時間しか話していないにも関わらずその内容が頭に残る人と、長時間話したにも関わらず話の内容が頭に残らない人がいます。その背景には、雰囲気の作り方など様々な要素が存在するのですが、その中でも言葉の選び方というのは少なからぬ影響を与えているように思います。

言語選択能力が高い人は、聞かれたことに対して、インパクトがありかつ的確でイメージしやすい言葉をぱっと持ってきます。それに触発されて、対話相手側のイメージが具体化され、相手からも新しい言葉が引き出されるので、高い次元の会話のキャッチボールが繰り返されていくのです。

言語能力は「制約をかける」ことで鍛えられる

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さて、そこで最初の問いに戻りましょう。言語選択力を鍛えることはできるのでしょうか。私は、できると考えています。いろいろなコツや鍛え方がありますが、最も大切なのは「制約をかける」ということだと思います。

日本の製造業の生産性の高さは、「工場や土地の狭さ」に起因する、ということが言われます。広大に広がる土地を持つ企業は、狭小の土地を持つ企業に比べて、土地の使い方の関心は低くなります。一方、狭い土地で生きて行かなくてはならない企業にとっては、土地活用の効率性は死活問題です。狭い土地の企業は、生き残るために皆で知恵を絞ります。必死に悩むわけです。そこから小さなイノベーションが生まれるのです。そんな試行錯誤を10年くらい繰り返したらどうなるでしょうか。広大な土地を持つ企業よりもはるかに効率的で生産性の高い現場ができ上がっているのです。

同じ原理が、今回の問いにも当てはまります。短時間で何かを相手に伝えなければならない環境下に置かれている人はおのずと、言葉の選択に関して知恵を絞るようになります。一方で、時間的な制約がなく、言葉で伝わらなくとも人間関係によって伝わるというような環境下に長くいる人は、言葉に対する感受性が徐々に落ちていきます。そうした人に、「短い時間内でインパクトがある事を話してください」とお願いしても、困ってしまうでしょう。

そこで、時間の制約を設けた訓練が必要になるのです。例えば、1時間続く会議において結論を5分で出すように指示すれば、皆知恵を絞って、どのように決めるかという点や誰が実際に仕切るかといった点にも意識を向けるようになるでしょう。こうした訓練を繰り返せば、皆、今までよりも短い時間で決断を下せるようになるかもしれません。

ビジネススクールのグループワークでは、擬似的な経営判断を10分以内に出せという課題を与えます。無理な話ですが、10分でベストの答えを出すためには、まず何を考えるべきなのかという点に意識が向くようになります。話す言葉にも無駄が無くなります。

あるいは、20分かかるプレゼンテーションを「3分でやってください」とお願いしたらどうなるでしょうか。冷や汗をかきながらも知恵を絞って、適切な言葉と内容を取捨選択するようになるのです。

時間的な制約をかけていくことによって、言葉に対するセンスが磨かれ、言語選択力が鍛えられるのです。

※ イラスト:荒木博行

(本記事は、FM FUKUOKAのラジオ番組「BBIQモーニングビジネススクール」で放送された内容をGLOBIS知見録用に再構成したものです)
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