変化を起こせるリーダーの6つの特徴 ―『CEOからDEOへ』 

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「クリエイティビティ」や「デザイン」といった単語が経営用語として使用されることが増えつつある中、今回は21世紀に求められる新しいリーダーのカタチとして『CEOからDEOへ』を取り上げたい。MBAを含め、体系化されたマネジメントスキルが容易に入手可能になった昨今、それだけでは何か足りないと感じているビジネスパーソンにとって、これからの時代に必要なリーダー像を描くためのヒントになる1冊だ。

DEOとは「デザイン・エグゼクティブ・オフィサー」のことで、著者が提唱している新しいタイプのリーダー像だ。一言で言うと「変化をマネージできる人」である。

本書の2人の著者はガチガチの経営者ではなく、クリエイティブな仕事をしているのも興味深い。DEOのモデルと言えよう。クリエイティブな才能のある人はビジネス感覚(商才)に欠けるとみなされてきたが、彼女たちの活動から、まさに経営において求められている機能だということが分かるだろう。

クリエイティブな著者だけに、本書は「NOW」「ME」「WE」「DO」「BE」「NEXT」という各章から構成されている。DEOが求められる背景、個人・集団としてすべきこと、スタンス、将来に向けて考えたいこと、といったステップ感だ。

本書では、DEOの特徴として以下の6つをあげている。

1) 変化を起こす
2) リスクを冒す
3) システム思考をする
4) 直感力が高い
5) 社会的知性が高い
6) さっさとやる(GSD)※get shit done

これらの力を身につけるためのエクササイズも紹介されているので、まずは身近なところからトライしてみるのが良いだろう。途中に9名のDEOのインタビューも掲載されているので具体的な人物像についてもイメージできる。

中でも特に気になったのは「デザイン」「システム」「社会的知性」という3つのキーワードだ。

1つ目の「デザイン」は「問題を解決するためのプロセス」であり「集団的な変化を促すこと」と定義している。変化をもたらすデザインの力は、モノを変化させ、サービスや企業、国家を変化させる力になるだろうとも言っている。

2つ目の「システム」は「つながりを理解する能力」であり、具体的には「目の前にある出来事を単体で捉えるのではなく、出来事が起きているパターンや、そのパターンを作り出している構造、その構造を作り出しているメンタルモデル(先入観や価値観)を見て、最も効果的な働きかけをしようとする」と言っている。つまり、構造的類似性を認識し、他の事象に適応させるという考え方だ。

3つ目の「社会的知性(ソーシャル・インテリジェンス)」はSQとも言われ、人間の知能面の能力基準である(他にはIQ、EQ、HQがある)。SQは「複雑な人間関係や複雑な社会状況のなかでうまくやっていく能力」であり、分解すると「社会的意識(他人の気持ちを感じ取ったり、理解したりする資質)と社会的才覚(集団の中でうまくやっていく能力)の2つを合わせたもの」である。

最後にこれらの3つの概念に「リスクをとる」を加えておきたい。新しいものを生み出すためには重要な考え方だ。これをDEOは「実験」や「コントロールできるものとして気軽に操る」と捉えている。行動を起こさないことの方がさらにリスクを高めるのだ。スキルや経験、評価がほとんど同じなら、競争に勝つのは、適切なリスクをとれるリーダーなのである。他者より先にやることはリスクでもあるが、変化を起こすには必要なことだ。例えるならば、皆が尻込みする尖った絶壁の先端に立たないと見えないものがあるのだ。

本書から私なりのDEO像を表現すると、「変化を起こすために、構造的類似性からものごとを企て、触媒となってなんとか上手く(先に)やる人」といった感覚である。

経営者や起業家を目指す方だけでなく、組織の中でちょっと変わった立ち位置を創っていきたいと考えるビジネスパーソンにお勧めの1冊だ。

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