ユニリーバに学ぶ新興国でのビジネスモデルと人材選び【解説編】 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【ユニリーバからの学び】
・新興国ビジネスとは、4つのPを駆使してその国に「生態系」を構築することである
・自社の「ベスト人材」を新興国にアサインできるかどうかが、新興国ビジネスの成否を分ける
・マイナーなステークホルダーに共感できる「心」を持つ人材を育成する

A884e1371a16e61559be590faa153488

Sandeep Kohli氏のインタビューは、我々が新興国でビジネスを行う上での多くの示唆を与えてくれた。オランダとイギリスに本拠を置く多国籍の家庭用品メーカーであるユニリーバは、事実、徹底的に現地に適応した商品を作っている。例えば、手洗いの仕方に則した棒状の洗剤、歯ブラシではなく指で使う歯磨き粉、シャンプー兼ヘアオイルなどなど。一般的に先進国のグローバル企業は、先進国で製品開発をして、その製品をベースに新興国向けに仕様変更して販売する戦略をとっている。いわゆる、「グローカル戦略」と呼ばれるものだ。ユニリーバはその逆を行く。新興国で製品開発を行い、逆に先進国にその製品を展開するリバース・イノベーション戦略を取り入れている。ちなみに、次回のコラムでは、リバース・イノベーションをさらに詳しく取り上げる予定だ。

では、なぜこのような戦略の実現が可能となるのか解説したい。

新興国では社会的な評価を意識する

ユニリーバで行っていることは、ビル・ゲイツ氏が2008年の世界経済フォーラムで提示した「創造的資本主義」という考え方を体現している。ゲイツ氏は、世界の多くに人々の生活を改善するには、政府補助金や慈善事業という手段を取るのではなく、イノベーターと企業を共に参加させる仕組みが必要だと述べている。その仕組みとは、1つは収益を上げる仕組みを持つこと、もう1つは今日の市場原理から十分な恩恵を受けられない人々の生活を良くし、それに対して収益以外のインセンティブ=社会的な評価によるインセティブを設計することであると。社会的な評価のインセンティブとは、企業の目的観(4Pで言うPurpose)をどう持つかと同義であり、Sandeep氏がCSRを越え、それ自体がビジネスモデルであると述べていることが頷ける。ユニリーバの例でいえば、「ミャンマーの子供たちの細菌感染率や罹患率をどれだけ下げたのか?」「5歳未満の子供の死亡率がどれだけ下がったのか?」といった指標を持つことだ。

志の高い人材をアサインし、現地では有能なパートナーと組むことが肝

次に、参入するマーケットが未成熟であればあるほど、誰と組むのか(ユニリーバの4PのPartner)が極めて重要だ。なぜならば、新興国でビジネスを行うというのは、社会を創造すると同義であるからだ。現地政府、起業家、NGOなどの市民組織などの関係者を巻き込んだエコシステム(生態系)を現地に構築することが求められる。もはや一企業としての視野ではなく、「国」としての視野を持たねばならない。人材と同様に新興国では有能なパートナーの数は多くない。素早くいいパートナーを探し、競合に先んじて関係構築する必要がある。こうした業務を遂行できる視野が広い、志の高い人材を自社の中から抜擢し新興国にアサインできるかが、新興国ビジネスの成否を決めるのだ。何となく日本のマーケットが縮小しているから、アジアの成長にあやかりたいといったレベルの人材では、現地の志高いパートナーと組むことは望めない。Sandeep氏が、「Baby cannot nurture Baby」と強調する所以だ。

皆さんの働く会社が新興国マーケットへの進出を考えるにあたり、何に力点を置くべきか、あらためて考える機会になればと思う。

【関連リンク】
GLOBIS ASIA PACIFIC

名言

PAGE
TOP