サントリーのJT自販機事業買収で生じた「のれん代」って何? 

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JTの飲料自販機事業の売却先がサントリーに決まった。飲料自販機事業はこれまでコカコーラが83万台とトップで2位のサントリー49万台に大きく水をあけていたが、今回のM&Aによりその差がグッと縮まりそうだ。

さて、2014年12月末におけるJTの飲料自販機事業の中核子会社であるジャパンビバレッジホールディングス(JB)のB/S(バランスシート)上の純資産は584億円。サントリーはこのうちの70.5%、すなわち、412億円分を1500億円で買収する。このように、M&Aでは買収金額とB/Sの純資産(買収相当部分)とに差額が発生することがある。ざっくり言うとこの差額が「のれん」である。のれんは、会社のブランド、人財、顧客、販路、ノウハウ等々の目に見えない価値の集合体と言うこともできる。現在の会計ルールではこのような自社で構築した目に見えない価値はB/Sには資産として計上されないが、M&Aにおいて顕在化することになる。

のれんは現在の日本の会計ルールでは、会社が設定する20年以内の一定期間にわたり償却される。サントリーのケースでは、20年で定額法償却すると(1500-412)/20=54.4億円/年となり、毎年約54億円の償却費用が発生し販売費及び一般管理費に計上される。サントリーはJBの営業利益(約30億円の水準)を取り込むことにより約30億の増益が見込まれるが、同時にのれんの償却費約54億円が営業利益の押し下げ要因となり、買収しただけではJBの飲料自販機事業は24億円の営業赤字となる。

M&Aの成否を買収後最高益(営業利益)の更新という見方をすると、今回のM&Aは買収金額が高額すぎた、M&Aの失敗と評される可能性もあるため、サントリーとしてはのれんの償却費を加味しても買収した飲料自販機事業をいかに黒字化するかが課題となろう。

なお、IFRS(国際財務報告基準)ではのれんの償却は不要であり、M&Aを推進している日本企業の中には会計ルールをIFRSに変更する例も見られる。


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