「こうありたい」考え抜く 

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これまで若手ビジネスリーダーの基礎スキルとは何で、それをどう鍛えるのかについて議論してきた。このテーマの最後に、何回かに分けて自らのキャリアを作るということについて考えてみたい。

現在、日本人男性の平均寿命は約80歳である。今後の人口構成、財政問題などを考えれば、年金支給額の減少、年金支給時期の繰り下げは避けられないだろう。そうなると、今の現役世代は70歳かそれ以上まで働くことになる人が増えてくることは明らかだ。大学を22歳で卒業するとすれば、50年もしくはそれ以上の期間、働くことになる。

この50年をどう生きるか、つまり50年のキャリアをどう作っていくかというのは、個々人にとって最重要課題となる。しかし、現在の日本の教育体系の中では、自らのキャリアを考えるということはあまり明確に位置づけられていないように思える。

読者の皆さんの何人が、大学を卒業するまでにキャリア教育を受けてきただろう。結果的に、キャリアを作るという意識が希薄なままの状態が就職した後も続き、なんとなく企業に依存した状態になる場合が多いのだ。

最近は若くして起業する人も増えているものの、大半の人は既存企業に就職する。企業の寿命が平均30年であるという説があるが、それだけをみても、最低2社で自分がどのような人生を作っていきたいのかを考える必然性があるのだ。

では実際にキャリアを考える、作るとはどんなことなのだろうか。キャリアという言葉の語源は轍(わだち)である。馬車をイメージするとわかりやすいが、個人が生まれてきてから、切れることなく続いている轍=線、つまり人生の道筋を表しているのである。

そう考えるとキャリアを考えるとは、これまでの人生、そして今後の人生そのものを考えることだというのが分かる。自分はどうありたいか、どんな仕事でどんな活躍をしていたいかを考えるのだ。

「なんだ、そんなことか」と思う人も多いかもしれない。しかし、実際に10年後にどうなっていたいですかという質問に、明確に回答できるビジネスパーソンはそれほど多くはないのではないだろうか。

どこか、会社に身を委ね、流れに身を委ね、考えることをやめてしまってはいないだろうか。若い頃は色々考えたが……という人もいるだろう。しかし、現在45歳の人もあと20年、もしかすると25年働くのだ。

もちろん、実際のキャリアは偶然によって決まる部分が多いという説もあり、それが事実である場合も多いだろう。しかし、だからといって、自分の人生について考えなくてよいという話にはならない。

偶然によって何かが決まっていくにしても、その偶然を現実のものにするためには、自分自身にそこで求められる能力がなければ、偶然のチャンスがチャンスと自分の目に映らないかもしれない。

自分の価値観を見つめ直し、「自分がやりたいこと」「自分ができること」、そして「自らの生活を経済的に支えられること」の3つの輪が重なることは何なのかを、意識することが大切だ。

すぐには見えてこないかもしれない。しかし、自分自身のキャリアについて考え続けることが重要だ。そして、その姿に近づくために、このシリーズで議論した基礎スキルに加えて、次にどのような能力を身につけていけばよいかを考え、ぜひ自己成長を継続していただきたい。

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※この記事は日本経済新聞2013年12月4日に掲載されたものです。
(Cover photo: shutterstock / Ismagilov)

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