囲碁力と経済力は相関する ―単なるボードゲームと侮るなかれ 

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僕は新しい経済法則を発見した。名付けて、囲碁と経済、相関の法則。それは、「最も権威ある国際的な囲碁選手権を制覇する国は、経済の分野でも最も力強く成長する」というものだ(ご存知ない向きのために説明すると、囲碁とは19×19の格子を描いた盤面を使って行うチェスのようなボードゲームである)。

その証拠を示そう。

1990年代半ばまで、日本は囲碁のあらゆる主要な国際競技会で優勝常連国だった。その後、1990年代半ばから、日本が20年におよぶ景気低迷に陥ると、エレクトロニクス分野で日本を追い越しつつあった韓国が、囲碁の分野でも日本から優勝常連国の座を奪った。この状況は2010年、中国が覇権を握るまで続いた。

囲碁は複雑なゲームである。あまりに複雑であるため、プロの棋士をコンピューターで負かすことのできるプログラムはいまだに開発されていないほどだ。また、囲碁には運の入り込む余地がない。そして何より、囲碁は深い戦略的思考が要求されるゲームである。

囲碁は16、17世紀の日本において、織田や豊臣、徳川のような偉大な将軍たちに人気があった。現代においても、東日本大震災発生時に内閣総理大臣だった菅直人氏や、自由民主党の「闇将軍」として影響力を振るった小沢一郎氏などの政治家が囲碁を嗜むことは知られている。

西洋においても、同じくらい著名な囲碁ファンが何人か存在する。数学者のジョン・ナッシュ氏(2001年の映画「ビューティフル・マインド」でラッセル・クロウが演じた)は囲碁に大いに刺激されて、「ヘックス」という囲碁に似たゲームを発明した。マイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツ氏も、本格的な囲碁プレーヤーである。

影響力のある人物になぜこれほど囲碁ファンが多いのかは理解できる。囲碁では、戦争や政治やビジネスで必要とされるのと同様の意思決定を下すことが求められる。分析し、優先順位付けし、戦略を練ることがすべてなのだ。

19世紀末、日本はアジアの囲碁界において他の追随を許さない存在だった。韓国、中国、台湾のプレーヤーが来日して囲碁を学び、帰国後に各国で囲碁協会を設立した。

僕たちはどこでつまずいたのだろうか。

日本が凋落した原因は次の3つにあると思う。

1.1980年代にコンピューターゲームが伝統的なボードゲームの地位を奪った

2.トヨタ自動車や富士通のような日本の大企業が、日本で開催される国際選手権のスポンサーをやめた(現在、最大の国際選手権は韓国のLGとサムスンがそれぞれ主催する2つの棋戦である)

3.世間の支持を得ていない(韓国と中国において、囲碁のチャンピオンは歌手やスポーツ選手に匹敵する有名人である。日本にはプロの棋士が180人いるが、誰1人としてそのような存在ではない)

僕は40歳で囲碁を始めた。とにかく何か新しいことに挑戦して自分の鮮度を保ちたいという理由から始めたことだったが、結局は夢中になり、熱心な伝道者になった。僕の働きかけで、今では息子全員――さらには僕の会社の経営執行委員会のメンバーまでもが囲碁を打っている。

2013年、僕は日本棋院から理事就任の打診をいただいた。当然、引き受けた。次の3つの目標を実現させたかったからだ。

1.日本の囲碁ファン人口を増やす
2.国際競技会で日本を再び優勝させる
3.日本のプロ選手権の数を増やす

上記の目標のうち1つはすでに実現に成功している。5月初旬、世界初の20歳未満を対象とする囲碁選手権「グロービス杯」のスポンサーを僕の会社が務めたのだ。

もちろん、僕の究極の目標は、それよりもはるかに遠大なものだ。僕は新世代の囲碁プレーヤーの育成を手助けすることで、日本を再び活性化し、韓国と中国に流れてしまったように思われる剥き出しのエネルギーをいくらか取り戻してくれるような、新世代の戦略志向のリーダーを生み出すことができればと思っている。

だからこそ、僕は、グロービス杯の決勝戦出場者が2人とも日本勢だったことを報告できることが、何よりも嬉しい。韓国勢と台湾勢は準々決勝、中国勢は準決勝で敗退し、各国の囲碁協会を驚かせた。1997年(16歳である2人の決勝戦出場者が生まれた年)以来、日本が国際トーナメントで優勝したことはなかったという事実が、その衝撃をいっそう大きなものにした。

個人的には、この勝利が日本囲碁の復活。そして、それに続く日本経済全体の復活の前触れであってほしいと思っている。

さて、ボードゲームの世界で日本の覇権を復活させることにより、間接的に日本を復興させることを目指す僕のプロジェクトについて、あなたはどう思うだろうか。そもそも現実的だと思うだろうか、それとも前提からして間違っていると思うだろうか。

意見を聞かせてほしい。
(Cover photo: shutterstock / yanugkelid)
この記事は、2014年7月29日にLinkedInに寄稿した英文を和訳したものです。

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